93-22 完成、そして?
ゴウとルビーナのゴーレム製作は順調に進み、午後4時には外装を取り付けるところまで来ていた。
「今日は捗ったな」
「うん、調子よかったわね」
上機嫌の2人。
「あとは外装だ」
「これも64軽銀ね」
「そうそう。もう準備はできてるよ」
「じゃあ、さっさと作っちゃいましょ。ゴウは『ピスティ』、あたしは『助手』を担当でいいわよね」
「それでいいよ」
2人のコンビネーションは絶好調。
そんな会話を交わし、すぐに取り掛かる2人。
「『変形』『強靱化』『変形』」
「『変形』『表面処理』」
と、およそ30分で外装の取り付けは終了した。
「あとは仕上げだな」
「それは共同でやりましょ」
「いいよ」
「『変形』……こんな感じかしら?」
「いいと思う。『強靱化』」
おおまかな外装の取り付けと加工はゴウが。
細部の調整はルビーナが。
そして最後の仕上げは共同で。
「じゃあ一気に行っちゃうわよ……『表面処理』『仕上』」
「『強靱化』……これでいいかな?」
こうして午後4時45分、作業は終了した。
「できたな」
「ええ。……チェックをお願いしたいわよね」
「ジン様は出掛けているって話だったし……」
とそこへ、デウス・エクス・マキナ3世がやって来た。
「おお、できたな」
「あ、マキナ様、いいタイミング」
「ジンに頼まれているからな。チェックは任せろ」
「お、お願い致します!」
「ああ。……『分析』『精査』……うん、『ピスティ』は問題ない。よく出来てるぞ」
「ありがとうございました」
「『制御核』は以前のものをコピーしたんだな?」
「はい」
「内容のチェックは?」
「ジン様がやってくださいました」
「それなら安心だな」
データの一部が欠けていたことをマキナも知っており、それをそのままコピーして使うのは危険だ、と思っている。
欠けが単に記憶領域ならまだいいが、運動制御領域だったり疑似感情回路だったりすると、思わぬ不具合が出ることがあるからだ。
仁は『ピスティ』の『制御核』をコピーして老君にチェックさせた際、そうした不具合を解消している。
そして大本である『ピスティ』の『制御核』も、ゴウに引き渡す前に修正しておいたわけだ。
「もう1体も……『分析』『精査』……よし、大丈夫だ。起動してみるか?」
「はい!」
ゴウが『ピスティ』を、ルビーナが『助手ゴーレム』を起動することになった。
「『起動』」
「はい、ご主人様」
『ピスティ』が起き上がった。
「『ピスティ』、どうだい、調子は?」
「はい、以前より遥かに性能が向上したことを感じます」
「うん、動作は?」
その問いかけに対し、『ピスティ』は基本的なセルフチェック動作を行い、
「全く問題ありません」
と報告したのである。
「よし。……ルビーナ、そっちを頼む」
「ええ。……『起動』」
「はい、ご主人様」
『助手ゴーレム』が起き上がった。
『ピスティ』同様、チェックを行い、問題なし。
「ルビーナ、名前を付けよう」
「そうね。……『フレール』というのはどう?」
「『フレール』……古いノルド語で『弟』だね」
オノゴロ島の出身者は、マリッカをはじめとしたノルドの民と縁が深いので古ノルド語も知っている。
そしてマリッカに育てられたゴウは更に詳しいのである。
「ええ。『ピスティ』が姉なら、こっちは弟だから」
「いいんじゃないかな」
「それじゃあ。……あなたの名前は『フレール』よ」
「はい、私は『フレール』です」
これで『ピスティ』と『フレール』の起動試験は完了した。
「大丈夫そうだな。それじゃあ俺は行くぞ」
「はい、マキナ様。ありがとうございました」
「頑張れよ」
マキナが第5工房を出て行こうとした、その時。
「ご主人様、工房内に異常な反応があります」
「ご主人様、工房内に異常な反応があります」
『ピスティ』と『フレール』が、ほぼ同時に報告を行った。
危険物などの探知能力も以前の『ピスティ』の3倍に強化されているのだ。
当然、姉妹機(姉弟機?)の『フレール』も同等の能力を持っている。
「それはどこだい?」
「突き止めて!」
「了解」
「了解」
2体は右回りと左回りに工房内を巡って、それぞれ何かを発見した。
「こいつです」
「こいつです」
それはかなり素早かったが、3倍に強化された『ピスティ』と、それと同等の性能を持つ『フレール』には敵わなかった。
「おお?」
「何!?」
「ええ?」
『ピスティ』と『フレール』は、それぞれが40センチほどの身長のゴーレムを取り押さえていたのであった。
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