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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
88 アヴァロン躍進篇
3393/4345

88-13 その日の終わりに

 午後5時過ぎ、記念すべき『フェニーチェ量産型』の最初の1機が完成した。

 同日朝に素材が手に入ったおかげと言える。


 軌道に乗れば、1日あたり4機……いや、仁が少しだけ手を加えたので効率が上がり、5機を製造することができる。


「よかったら、この機体はゴウ君とルビーナさんにあげるよ」


 プロジェクトリーダーのアーノルトが2人に言った。


「え?」

「いいの?」


 一般的に言ったら高価すぎる機体である。

 が、アーノルトは笑って頷く。


「ジン殿から多大な寄付をもらっているからね。それに、これは決めていたんだよ。シリアルナンバー001は君たちに、とね」

「ありがとうございます!」

「ありがとうございます!!」


 2人は大喜びした。


「カスタマイズしたければ好きにしていいよ」

「はい!」

「ゴウ、それじゃあここを……」

「それは明日な」

「ジン様……」


 もらった機体を早速カスタマイズしようとしたルビーナを、仁が止めた。もう午後5時半になっていたからだ。


「今日は2人とも朝から頑張っていたから疲れたろう。そんな状態じゃあいいものは作れないぞ。……俺が言うのも何だがな」

「う……はい」

「わかったわ」

「それに、メルツェが2人と話したくてうずうずしているようだぞ。行ってやれ」

「はい!」

「はい!!」


 2人は居室方面へと駆けていった。


「アーノルト、ありがとうな」

「いや、助かったのは本当だし、彼らに1機贈呈することも決まっていたことだしね」


 量産1番機になったのは、その方が彼らが喜びそうだったから、とアーノルト。


「彼ら2人に代わって礼を言うよ」

「もういいさ。将来が楽しみな技術者への投資だと思ってくれ」

「そうだな」


 立ち話ではあるが、仁とアーノルトは少しの間語り合い、その後別れたのである。


*   *   *


「ゴウさん、ルビちゃん、私、今日はですね……!」

「う、うん」

「『アヴァロン』の各局を見学させてもらったの!」

「そ、そう」

「よ、よかったわね」

「それでねそれでね……」


 メルツェは喜々として1日のことを語る。彼女がここまで興奮して話をするのは珍しい。

 なのでゴウもルビーナも、驚きながらもそんなメルツェの話に微笑みながら聞き入ったのであった。


*   *   *


「エルザ、お疲れ様」

「ん、大丈夫」

「なんだかメルツェ、楽しそうだな」

「そう。私もちょっと意外だった。彼女、管理職に向いている、かも」

「へえ?」


 エルザは、メルツェが『アヴァロン』の各局を見学し、とりわけ『総合管理局』の人員の少なさを気にしていた、と言った。


「それは、俺もちょっと感じてる」

「ん、トマックスさんの負担が大きい」

「マノンとシモーヌだけじゃあ足りないか?」

「今日見た限りでは、それだけが原因じゃあ、ない」


 メルツェと一緒に見学して回っていたエルザは、『総合管理局』の問題点に気が付いていたようだ。


「トマックスさんは、どうしても自分で抱え込む性格」

「それは思った」

「ジン兄も、だから?」

「え?」

「ジン兄も、抱え込む、タイプ……だった」

「だった?」

「ん。出会った頃は、そんな、感じ。でも、今は……」

「今は?」

「少し、周りに頼るように、なった。『ファミリー』や『老君たち』に」


 そう言ってエルザは笑ったのだった。


*   *   *


「資源の盗難が相次いでいるのには何か理由があるのでしょうか?」

「それは何ともいえないな」


 トマックス・バートマンは副官イルミナ・ラトキンと話し合っている。

 ここ最近、各地の鉱山における『魔結晶(マギクリスタル)』の盗難に続き、今回、輸送船沈没事件が起きたからだ。


「推測になるが、謎の犯人が、ちょうどそういった資材を必要な段階に来ているんではないかと思う」

「それはいえますね」

「うむ。だからまずは、『魔結晶(マギクリスタル)』盗難の犯人を捕まえたい」

「そのための『フェニーチェ』量産ですね」

「そうだ。本日、1機完成したと報告があった。明日は5機はいけるとのことだ」

「朗報ですね」

「うむ。だが……」


 イルミナ・ラトキンの言葉に頷いたトマックス・バートマンは言葉を濁した。


「まだ何か心配事が?」

「ああ、いや、まあ、そうだ」

「……もしかして、他の輸送船も襲われると思われたのですか?」

「そうだ。どう思う?」

「ありえますね」


 とはいえ、輸送船の数は多くはない。

 調べてみたところ、


「4日後、エリアス王国から鉄・銅などの金属インゴットを積んだ船が来ます」


 とのことだった。


「よし、その船には護衛を付けよう」

「飛行船と快速艇でいいでしょうか?」

「そうだな。それに『フェニーチェ』量産機も飛ばそう」

「わかりました」


 そんな決定がなされる。


「マキナ殿にもお伝えしておきましょうか?」

「そうだな、ラトキン君、頼む」

「はい」


*   *   *


 同じ頃、蓬莱島でも、老君が一連の事件について考察していた。


『やはり、この謎の存在が、資材を必要としていることは間違いなさそうですね』


 その種類から、何に使うのかまでは不明であるが。


『『フェニーチェ』量産機の製造を加速するのがよさそうですね……とすれば、マキナにも助力させましょう』


 そう結論した老君は、マキナの『頭脳』とも言うべき『導師』に指示を出した……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日8月4日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >もらった機体を早速カスタマイズ 元々原型機は、メルツェと一緒に飛ぶのが目的でしたから、真っ先に3人乗りに戻そうとした ……のだったり。 ア「まあ、改造しなくても、補助席はあるんだけどね」…
[一言] >>俺が言うのも何だがな ハ「手に持ったままのブーメランを自分に突き立てるスタイル?」 エ「やっと教育の成果が・・・少しだけだけど」 >>少しの間語り合い 腐「でゅふっ」(-_★)キラーン…
[一言] >マキナにも助力させましょう マ「職人ゴーレム部隊を連れて来た」ぞろぞろ 胃「おお、これで量産が捗りますな」 マ「日産30機は行けるぞ」 胃「ふぁっ」
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