表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
87 謎の黒幕篇
3379/4347

87-64 判断と今後

 『偏光フィルター』で『こそ泥ゴーレム』の存在だけは把握できるようになった調査団は、遠巻きに監視をしている。

 『こそ泥ゴーレム』の自律性は低いようで、そんな調査団を気にも留めていないようだった。


*   *   *


「なんとも、お粗末なゴーレムだな」

「そうね」


 『こそ泥ゴーレム』と調査団の両方を見守っている第5列(クインタ)、レグルス14通称『タクス』とデネブ14通称『テネス』はそんな会話をしていた。


「飛行船はそこそこの出来だがな」

「ええ」


 フラットヘッド山に駐機してある飛行船は、全長20メートル、直径10メートルの気嚢を持ち、下部に船室が付いている。

 かなりずんぐりした形状だ。

 だが、1点だけ侮れない部分がある。


 『重力魔法装置』だ。


 おそらく元になった魔法は『gravita(グラヴィータ)』。

 どういうルートでそれを会得したのかは今のところ不明。


「つまり、大きさの割に積載量はありそうだ」

「そうね」

「問題は、この『gravita(グラヴィータ)』をどこから学んだか、だな」

「それもそうだけど、どこまで……何Gまで使えるのかも調べる必要があるわ」

「確かにな」


 今のところ解析できたのは表面的なスペックだけである。

 それ以上となると、相手に気取られる可能性があると判断し、不用意に手を出せなかったのだ。


 が、転機が訪れる。

 『こそ泥ゴーレム』がくすねた魔結晶(マギクリスタル)を運んできた後、飛行船が動き出したのだ。


「必要量が溜まったのかな?」

「多分そうなんでしょう」

「だとすると、向かうのは黒幕の所」

「そうなるな」


 間違いなく老君が『覗き見望遠鏡(ピーパー)』で追跡するであろうことを知っている(・・・・・)『タクス』と『テネス』の会話であった。


*   *   *


「透明ゴーレム、どうやら山頂へ向かったようです」

「そうらしいな」


 一見『透明』に見えるゴーレムだが、偏光フィルター越しに見れば、ぼんやりとした影となって、そこにいることだけはわかる。


「どうするんです? 追いますか?」

「……追おう」


 少しのためらいはあったが、調査団のリーダー、アレオ・ヨカ・ナイツは追うことを選択した。

 が、条件も付ける。


「追うのは私とVー12号で、だ。残りはここで待機。もしも我々が1日経っても戻らなかったら『アヴァロン』に戻って報告しろ」

「……わかりました」


 世界警備隊隊員のアレオ・ヨカ・ナイツ以外は研究員で、荒ごとどころか体力的にも心もとない。

 それでアレオ・ヨカ・ナイツはゴーレムのVー12号と共に山頂を目指すこととなったのである。


 Vー12号には『透明ゴーレム』の姿はよく見えているようなので、追跡の先導を任せ、アレオはその後を付いていくことで、かなり精神的な負担を減らすことができた。

 とはいえ、フラットヘッド山の山頂へ続く道などないので、多少傾斜がゆるく、手掛かり足掛かりのある程度の斜面を登らなければならず、山頂に着いた頃にはアレオ・ヨカ・ナイツはへとへとになっていた。

 なにしろ標高差1000メートルを2時間ほどで登ったのだから無理もない。

 息を整え水を飲むと、少し落ち着いたのでアレオは待機していたVー12号の案内で先へと進む。


「この先に何があるのだ?」

「どうやら、飛行船の、ようです」


 Vー12と共に向かったその先には、偏光フィルター越しに見て、なにやら巨大なぼんやりした影を見つけた。


「飛行船だと?」

「はい。全長は、20、メートル、ほど」

「それを使って、くすねた魔結晶(マギクリスタル)を運び出そうというのか……」

「そのよう、です」

「むむ……どうすべきか……」


 アレオ・ヨカ・ナイツは考え込んだ。

 ここで逃していいものか、どうか。


「……見逃した場合、魔結晶(マギクリスタル)をどこかへ届けた後、また戻ってくる可能性がある。それまでに準備を整えて待ち伏せていれば、黒幕を見つけられるかもしれない、か」


 一方で、ここで捕まえられるかといえばいなであろう。

 自分とVー12号だけで飛行船を捕獲できるとは思えない。


 ここまで考えたアレオ・ヨカ・ナイツは、飛行船を見逃すこととした。

 ただし、Vー12号には、その外観・特徴をできるだけ詳細に記憶しておくよう指示を出して。


*   *   *


 アレオ・ヨカ・ナイツの様子を、『タクス』と『テネス』は姿を隠しつつ観察していた。

 そしてその結論を称賛する。


「この場では適切な判断だと思う」

「そうね。どうやっても飛行船を捕まえられるとは思えないですものね」

「戻ってくるかどうかは賭けになるがな」

「それでも、他の効率が落ちた鉱山も同様の『こそ泥ゴーレム』が来ていると考えられるから、調査団ではなく『世界警備隊』を派遣すれば捕縛できるかもしれない」

「それは言えるわね」


 『タクス』と『テネス』はこんな会話を『内蔵魔素通信機(マナカム)』で交わしていたのである。


*   *   *


 そして老君は、今はロイザートにいる仁に中間報告を行った。


『……と、いうことです』

「うーん……その『こそ泥ゴーレム』を使役している黒幕はいったい……老君、推測できるか?」

『はい、御主人様(マイロード)。今のところ考えられるのは『リノウラ・モギ』だけです』

「やはりあいつか」

『はい。ですがそれは、可能性がある、というだけで、他の可能性が低すぎるというだけです』

「それはわかる」


 該当者が他にいない、というだけで、要するに情報不足とも言える。


「とはいえ、老君の情報収集能力で他に該当者がいないわけだからなあ」

『恐れ入ります』


「……で、その飛行船は?」

『はい、御主人様(マイロード)。間違いなく『gravita(グラヴィータ)』を併用し、浮力を増しております。今のところプラスマイナス1Gを出せる程度と見ております』

「魔力を喰うからな」

『はい』


「で、調査団は?」

『はい。アレオ・ヨカ・ナイツも他のメンバーのもとに戻り、まもなく報告のため『アヴァロン』に帰投するようです』

「そうか。なら、もうしばらくこの件は『アヴァロン』に任せておいてよさそうだな」

『はい、御主人様(マイロード)

「だが、こっちはこっちで情報収集だけはやっておいてくれよ」

『お任せください』


 このように、『こそ泥ゴーレム』もしくは『透明ゴーレム』の件は、もうしばらく『アヴァロン』案件となりそうである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日7月21日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20220721 修正

(誤)『こそ泥ゴーレム』の自律性は低いようで、そんな調査団を気にも留めていないうようだった。

(正)『こそ泥ゴーレム』の自律性は低いようで、そんな調査団を気にも留めていないようだった。

(誤)少しのためらいはあったが、調査団のリーダー、アレオ・ヨカ・ナイツじゃ追うことを選択した。

(正)少しのためらいはあったが、調査団のリーダー、アレオ・ヨカ・ナイツは追うことを選択した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 87-64 判断と今後 更新ありがとうございます。 [気になる点] 『アヴァロン』側は、『偏光フィルター』頼みなんですよねえ? 自らで改善できるのか、マキナかジンに泣きつくのか(笑) …
[良い点] >ここまで考えたアレオ・ヨカ・ナイツは、飛行船を見逃すこととした。 そこで強行して全部を台無しにしない辺り、流石は研究員とは言え世界警備隊員。 怪「実は、私が選出される前はナージャスに決ま…
[一言] >「なんとも、お粗末なゴーレムだな」 それを言ったらこそ泥に気づかない採掘ゴーレム達もお粗末だよねぇw >一見『透明』に見えるゴーレムだが、偏光フィルター越しに見れば、ぼんやりとした影と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ