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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
84 子孫の弟子篇
3207/4413

84-37 作戦、その第2段階

 作戦第2段階。

 それは人質の救出である。


 『支配の輪(ドミネイトリング)』で操られた人たちも人質といえなくもないが、まずは明らかに監禁されている人々を救うことになる。

 具体的には……。


「グローマとカチェアの他に3人くらい見かけたようだ」


 仁は、まずはそうした『人質』を救出する、とエイラとベッカーに説明した。


「どうやってだい、ジン?」

「うん。カチェアとグローマが監禁されている場所は大体わかっている。そこへマキナの配下のゴーレムが突入し、救出する。そばに他の人質もいるはずだから、そちらも同時に救出する」

「なるほど」


 あとは現地での判断に任せる、と仁は説明した。


「とにかくこれは『世界警備隊』絡みの作戦だからな」

「わかってるよ」


 『アヴァロン』に寄ってトマックス・バートマンからの正式な依頼を取り付けてあるからこそだ。

 私的な行動ではないというのは対外的に大いに意味がある。

 いくら『3代目魔法工学師マギクラフト・マイスター』であっても、勝手に軍に匹敵する配下を町中で動かすわけにはいかないからだ。


*   *   *


 5月2日の夜明け前……普通の人間なら眠っている時刻……作戦は第2段階に入った。


 まず、デウス・エクス・マキナの『アリストテレス』から、配下のゴーレム部隊が降下する。

 実際にはランド部隊で、総数100体。


 そして彼らとは別に、10体のランド隊が『転送機』で『魔法障壁(マジックバリア)』の手前まで送り込まれた。

 もちろんこちらはエイラたちには内緒である。


 100体のゴーレムは街中に散っていく。しかもほとんど音を立てずに。


「す、凄い……これが、デウス・エクス・マキナ殿の戦力……」

「改めて見ても凄いな……」


 公国にいた時や『アヴァロン』などで戦闘に巻き込まれたことのあるエイラも、この威容には目を見張っている。


「だが、おそらく魔導頭脳には気付かれているだろうからな」

「それはそうですね。魔導頭脳は眠りませんから」

「半分は陽動なんだよな?」

「そう。エイラの言うとおり、陽動をしておいて、真の目的を隠しているんだ」


 真の目的とは、もちろん人質の救出である。

 そちらも同型のランド隊なので、傍目はためには見分けがつかないのだ。


*   *   *


 『魔法障壁(マジックバリア)』の前に送り込まれたのは10体のランド隊。番号は201から210である。


〈この奥に人質がいるわけだな〉

〈行こう〉


 内蔵魔素通信機(マナカム)での会話はコンマ数秒で行える。

 10体のランド隊は老君から聞いた監禁場所を目指した。


 魔導頭脳『ユーベル』にとっても、これは奇襲であったようで、まったく邪魔されずに10体は監禁場所に到着。


〈カチェア殿とグローマ殿は209と210に任せる〉

〈了解〉

〈202から208は他の人たちを確保してくれ〉

〈了解〉

〈了解〉


 リーダーのランド201の指示で、7体は奥へ向かった。


「カチェアさん、グローマさん、起きてください」

「うー……誰だ?」

「あ……もしや、ジンさんかマキナさんのゴーレム?」

「そうです、カチェアさん。ジン様とマキナ様の指示で、お助けに参りました」

「ありがとう!」

「さあ、早くこちらへ」

「は、はい」


 カチェアとグローマはそれぞれランド209と210に背負われた。これが一番速い。

 そしてそのまま脱出していく。


 『魔法障壁(マジックバリア)』を抜けたあとは、降下したランド隊も護衛に付く。

 電撃作戦は大成功、彼らは無事にフレクの町の外まで脱出できたのだった。

 そこへ仁の『ハリケーン』が降下してくる。


「おーい、カチェア! グローマ!」

「ああ、助かったんですね……」

「助かったんだな……」


 ハッチからエイラが叫び、手を振っているのを見た2人は、ようやく助かったという実感が湧いたようで、へなへなとその場にくずおれてしまった。


「しっかりしてください」


 それをランド隊が支え、『ハリケーン』へと運んだ。


「カチェア、グローマ、2人とも無事でよかった」

「ジンさん……」

「ジン殿……」


 『ハリケーン』では仁も2人を出迎えた。


「ありがとう、ございます……」

「助けてくれて、ありがとう」

「大変だったな。まずはゆっくり休んでくれ」


 ハッチが閉じ、『ハリケーン』は空へと舞い上がった。

 カチェアとグローマは船室キャビンへと招き入れられ……。


「カチェア! 無事でよかった!!」


 ベルリッヒ・ベッカーがカチェアを強く抱きしめた。


「あ、ベ、ベル君……」


 ベルリッヒ・ベッカーがこの『ハリケーン』に乗っているとは思わなかったカチェアは、少し頬を染めてベルリッヒ・ベッカーの抱擁に身を任せた。

 そしてグローマもまた、エイラに抱きつかれていた。


「無事だったんだな、グローマ!」

「ああ、心配かけたな」

「まったくだよ。気が気じゃなかったぞ」


「……ええと、まだ終わったわけじゃないんだが」

「す、すまん」

「……ごめん」


 気まずそうな仁の言葉に、4人はぱっと身を離した。


「ええと、他にも捕まった人がいるようだから、そちらも救出しているところなんだ。それから、現状だが……」


 仁は現状とこれまでの経緯を説明した。


「あ、やっぱり『世界警備隊』がジンさんとマキナさんに依頼してくれたんですね」

「そうそう」

「で、急いで駆けつけてきたんだ」

「本当に助かりました」


「……あの手紙、ちゃんと『アヴァロン』に届いたんだな」

「ああ。グローマがちゃんと手を打っていてくれたから、こっちもすぐに動くことができたよ」

「本当に、助かったよ。ありがとう」


 カチェアとグローマは、改めて仁に礼を述べたのであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20220131 修正

(誤)そちらも同型のランド体なので、傍目はためには見分けがつかないのだ。

(正)そちらも同型のランド隊なので、傍目はためには見分けがつかないのだ。

(誤)魔導頭脳『ルーベル』にとっても、これは奇襲であったようで

(正)魔導頭脳『ユーベル』にとっても、これは奇襲であったようで

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  実はこの時点で既に、エイラさんは余計な事を喋らないよう誘導されていたのです。
[一言] >>人質の救出 ハ「冗談でのトトカルチョすら出来ないほど素早く」 エ「その後全てのゴーレムとの接続を絶った後に・・・」 老「あくまでも『教育的指導』ですので」 >>夜明け前 ハ「より瑠(r…
[一言] ゴーレムさんそこです!(録画的な意味で)
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