表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
80 新たな仲間篇
3039/4345

80-25 人の業

 『オノユニ山』から西へ30キロの地点で、礼子が地下に何かを発見した。


「お父さま、アーノルトさん、どうやらここのようですが」


 窓から見下ろすと、一面の荒れ地である。


「うん、こんな何もない荒野で地下に自由魔力素(エーテル)反応があるということは、十中八九ここが目的地だな」

「では、どうすればいい、アーノルト?」

「うーん……自由魔力素(エーテル)反応の深さはわかるかい?」

「ちょっとお待ち下さい。少し移動して測定してみれば……ホープ、1キロほど西へ移動してください」

「はい、お嬢様」


 これにより、三角測量ができ、距離がわかる。高度分を引けば深度が出るわけだ。

 移動後、すぐに礼子が報告してきた。


「地下120メートルです。分布を見ると、空洞があるようです」

「間違いないな」


 実は、老君が『覗き見望遠鏡(ピーパー)』を使い、既に確認済み。間違いなくいにしえの施設である。


「出入りにはおそらく転移魔法陣を使っていたんだろうが……さすがに地上部には残っていないだろうな」

「だろうなあ」

「なら、どうする?」

「地下探査用の『ミニモグラ』を使おう」

「ミニモグラ?」

「まあ、見てくれ」


 いかにも『ハリケーン』に積んであったように見せ、その実は蓬莱島から老君が転送機で送り込んだ『ミニモグラ』。

 ミニモグラは直径10センチ、長さ30センチの円柱状。マイクロ魔力反応炉(マギリアクター)が動力源だ。推進力は力場発生器フォースジェネレーター


「おお、これは凄いな!」

「小さいですが、大丈夫なのですか?」

「それは大丈夫。乗員はこの『コマンド1』だ」

「おお!」


 『コマンド1』は身長5センチ。アーノルトが驚くのも無理はない。


「こんなに小さくて、ちゃんと動くのか……どうやって作ったんだい?」

「ノーマルの4分の1の作業用ゴーレムを作り、それがさらに4分の1のゴーレムを作り……とやったのさ」

「なるほど。160センチ、40センチ、10センチか」

「5センチは4分の1じゃなく2分の1だけどな」

「だが、いい発想だ」


 アーノルトは仁の発想を賛美した。

 仁としても、いずれアーノルトを『仁ファミリー』に迎えたいと思っているので、今は小出しに製作物を見せていこうと思っているのだ。


「調べた内容はこっちのモニタに表示される」

「いいな」


 実際には、映像は蓬莱島の司令室に送られるのだが、老君が『ハリケーン』に転送してくれるので大丈夫。


 仁は『ハリケーン』を一旦着陸させ、ミニモグラをセットした。


「『コマンド1』、頼むぞ」

「ハイ、ご主人サマ」

「では、『ミニモグラ』発進だ」

「ハッシン!」


 『ミニモグラ』は地面に穴を穿うがち、進んでいく。すぐにその姿は見えなくなった。


「なかなか速いな。どのくらいの速さで掘り進めるんだい?」

「うーん、土や岩の質によるから一概には言えないが、条件さえよければ1時間に50メートル以上行けるだろう」

「それは凄いな。2時間ちょっとで地下施設に到達できそうだ」

「その地下施設だが、まだ生きていると思うか?」

「いや、思わない。自由魔力素(エーテル)反応もそれほど大きくないようだから、せいぜいが空調か整備用ゴーレムだろう」

「そうか」


 『最終兵器』と大仰おおぎょうな開発コードを付けられた兵器とはいったいどんなものなのか。

 そもそも、この地に封じられているのか。

 老君だけは『覗き見望遠鏡(ピーパー)』で見ているのだろうが、何も言ってこないところを見ると危険はないのだろう、と仁は思っていた。


*   *   *


 そして、待つこと2時間。

 その間は暇なので、仁たちは付近の地形を確認したり、土壌の成分を確認したりと、動き回っていた。


「この土地にも重金属が含まれているな」


 主に水銀、ベリリウム、ニッケル、クロム、鉛、亜鉛、ヒ素、カドミウム、バナジウム、マンガンなどの重金属による環境汚染を『重金属汚染』という。

 仁が『分析(アナライズ)』で確認したところ、主にヒ素とカドミウム、鉛、水銀が微量ながら含まれていた。


「『抽出(エクストラクション)』……ふむ」


 仁が試しに工学魔法を使ってみたところ、ちゃんと金属鉛が抽出された。

 とはいえ、1立方メートルほどの土壌から抽出してやっと1グラムほど。


 鉛の比重は11.4くらいだから、見た目にもほんの僅かである。

 仮に鉛の鉱山として考えたら、とうてい採算が合うような含有量ではない。

 にも関わらず、その金属鉛他を含んだ土壌は、植物の繁茂を妨げていて、殺伐とした荒野を作り上げているのだ。


「うーん、専用の魔導機(マギマシン)を作って、地下5メートルまでの土壌から有害物質を取り除くとして……結構大変そうだ」


 仁が作る魔導機(マギマシン)だと、1平方メートル、深さ5メートル……つまり5立方メートルの土壌から有害成分を『抽出(エクストラクション)』するのに2秒くらいかかると思われた。

 この『オノユニ山』西の汚染面積はざっとみたところ250平方キロメートルくらい。

 魔導機(マギマシン)1台だと16年近く掛かる計算になる。

 つまり16台作れは1年、32台なら半年、200台作れば1箇月弱。


 同じものを使ってボロロン荒野の浄化をするなら、面積からいってその20倍の数を揃える必要があるだろう。


「これも、王様に報告してからの話だな」


 勝手に行うこともできるが、ここはやはり国王に報告してから指示をもらい……という形で動くべきだろうと仁は考えていたのである。


「どういう方法で汚染させたんだろうな?」


 これもまた、気になる仁であった。


「僕も聞いただけだけれど、金属を気体にして空中に撒き散らしたらしい」

「……えげつないな……」


 気化した金属は肺や皮膚から身体に取り込まれて、いろいろな障害を引き起こすだろうことが想像でき、仁はその非人道的な戦術に嫌悪を覚えたのである。

 気体にした方法は『分解(ツェルゼッツン)』のような魔法だろうか……とも想像する仁。


「こうした行為は、ばらまくのは簡単だけれど、回収するのは面倒なんだよな」


 時間の逆転みたいな魔法があるといいのに、と思う仁であるが、さすがにそれは無理な願いであった。


「地道に回収するしかないか……」


 目前に広がる荒野に、仁は人のごうを思わずにはいられなかった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日8月8日(日)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20210808 修正

(誤)これにより、3角測量ができ、距離がわかる。

(正)これにより、三角測量ができ、距離がわかる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ベトナム戦争でゲリラを炙り出す為に枯れ葉剤を散布して森を枯れさせ、そのあと三世代ほどに渡る奇形児出産を招いた米国みたいですね。ホント昭和の米国って「手に入れた力は使わないと気が済まない」感じ…
[良い点] アーノルトさんをとっても気に入っている訳ですね。 情報を小出しにするなんて焦らしプレイとは高度なテクニックをw o…rz(©︎匿名希望) 仁「言い方ぁ#…しかも、コメ投稿者の呼び名を微妙に…
[一言] >老君が『ハリケーン』に転送してくれるので大丈夫。 老君経由なので、グロいものが映っても自動的にモザイク処理とか適当に差し替えしてくれますw >金属を気体にして空中に撒き散らしたらしい …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ