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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
79 捜理協会篇
3008/4342

79-35 作戦実行

 『大聖堂』の中には、『朝の礼拝』にやって来た信者たちが十数名いた。


「きゃああ!」

「う、うわっ!?」

「なんだ? 何ごとだ?」


 一般人なので、こうした軍事行動は見慣れておらず、パニックになる者がほとんど。

 そうした者たちには、


「『世界警備隊』だ。一般人は壁際へ退避し、じっとしていろ!」


 と告げることで、幾分か落ち着かせることができていた。

 マキナ3世たちは、そのまま奥へと突入。

 行き先は、礼拝が行われる大ホールだ。『礼拝堂』と呼ばれている。


「おやおや、いったい何の騒ぎですかな?」


 マキナ3世一行の前に、1人の中年の男が立ちはだかった。

 白いローブのような服を身にまとい、白い僧帽を被っている。

 おそらくこれが『導師』であろう、とマキナ3世は見当をつけ、厳しい声で告げる。


「『世界警備隊』だ。ここにある『麻薬ファナ』と『暗示の魔導具』を回収に来た」


 だが、『導師』と思われる男は動じない。


「ほう? 証拠はございますかな?」


 自信満々に告げる『導師』だが、


「あるぞ」


 と言ったマキナ3世の言葉に、虚をつかれる。


「は?」

「先日、ここで出されたお茶に『ファナ』の成分が入っていた」

「なっ!? そ、そんな出鱈目を言っても無駄です……!」

「出鱈目ではありません。……先日、『聖女』アリアンヌに従者ともどもお茶を御馳走になりました。その時のお茶を分析したらファナの成分が含まれていましたよ」

「馬鹿な! 暗示により、そのようなことを覚えているはずはないのに」

「レイは自動人形(オートマタ)ですのでね」

「……は?」

自動人形(オートマタ)ですので暗示にはかかりません。飲んだお茶も体内に保存しています」

「くっ……」


 そこへさらなる追撃が。


やましいことがないなら、そこをどいてください。私は『アヴァロン』医療研副室長のメイ・シャイ・ジョーイです。この先に、麻薬依存症患者の反応があります」

「なっ……!」


 ここで、メイ・シャイ・ジョーイは『スペース10』に持ってもらっていた、検知距離10メートルの『脳波検査機(ブレインディテクター)』を確認。

 個人を特定するには10メートル以内に近づく必要があるが、依存症患者の有無だけならその3倍の距離でもなんとなくわかるのだ。


「奥に、3人の依存症患者がいます!」

「どけ」


 マキナ3世は、言葉をなくした『導師』を押しのけ、『礼拝堂』へと足を踏み入れる。

 残る5人も後に続いた。


「きゃ」


 礼拝堂にいたのは3人の女性。皆、同じデザインの、神官のような白い服を身にまとっている。

 1人はアリアンヌだ。おそらく他の2人も『聖女』だろう、とマキナ3世は見当をつけた。


「麻薬依存症患者はこの3人です」


 メイ・シャイ・ジョーイが告げる。


「なっ……私、たちは……」

「その、違っ……」

「あの、まっ……」


 チェルが進み出て、『聖女』の1人に手をかざした。一番若年に見える『聖女』である。

 そして『脱依存(ディデペンド)』を行使した。


「きゃあ……………………あれ?」

「もう大丈夫です。麻薬依存症の症状は治りました」

「え? あ、あれ?」


「次はあなたです」

「え、あ………………?」


 その隣りにいた『聖女』に『脱依存(ディデペンド)』を掛けるチェル。

 そして最後はアリアンヌに。


「あ…………」


 かざしていた手を放したチェルは、マキナ3世に報告。


「3人の麻薬依存症は治療しました」

「うん、ご苦労。……メイ、3人の身体的なダメージはどうだろう?」

「はい、お待ち下さい。……『診察(ディアグノーゼ)』『診察(ディアグノーゼ)』『診察(ディアグノーゼ)』……大丈夫です。まだそれほど健康に影響はありません」

「そうか、よかった」


 そしてマキナ3世は、3人の『聖女』に向き直った。


「君たちの『麻薬依存症』は治療した。……首に掛かっている『暗示の魔導具』を引き渡してくれるか?」

「あ、は、はい!」

「はい!」


 3人の『聖女』……いや『元聖女』は、首からネックレスを外し、マキナ3世に手渡したのである。


「ありがとう。君たちの安全は『世界警備隊』が保証する。しばらく一緒に行動してくれ」

「わかりました」

「わかりました」


 『元聖女』の2名は素直に頷いたが、残る1人……アリアンヌだけは、何やら考え込んでいる。

 そして、


「あ、あのっ!」


 と、マキナ3世に何やら訴えかけようとしたのである。


*   *   *


 一方、『ファナ農場』。


 仁Dとフランシス・ヴァロア・ド・セルロアは『ハリケーン』のモニタでことの成り行きを見ていた。


 ランド91は、イルミナ・ラトキンを襲おうとしたゴーレムを簡単に無力化した。


 が、問題はハーン対戦闘用ゴーレムである。ハーンは力負けしていた。

 ここに配備された戦闘用ゴーレムのパワーはおよそ人間の10倍。汎用ゴーレムであるハーンは5倍。

 歴然とした力の差があった。


「ハーンは汎用ゴーレムだと言うが……やはり戦闘用ゴーレムには敵わないか……」

「ジン殿、どうするのだ? 農夫に逃げられてしまうぞ?」


 フランシスはやや焦り気味に、仁Dに尋ねた。


「逃しはしません。……ですが、ハーンのサポートが必要ですね。……礼子、頼めるか?」

「……わかりました」


 礼子は1つ頷くと、『ハリケーン』の非常扉を開け、飛び降りたのである。


「ジ、ジン殿!」


 それを見て焦るフランシス。

 だが仁Dはそれを抑え、


「大丈夫です。ご覧ください」

「……む?」


 礼子は着地の直前に『力場発生器フォースジェネレーター』で減速していた。

 そのため、ほとんど衝撃を感じずに着地できたのだが、その様子はモニタには映っていなかったため、フランシスには礼子が100メートルの高度からダイビングし、無傷で着地したように見えている。実際礼子なら可能であるが、その場合着地した場所が無事ではすまないだろう。


 着地した礼子は、20パーセントの出力を発揮し、逃げ出した農夫の眼前に現れた。


「な、なんだ!?」

「逃げても無駄です」

「邪魔するな!」

「おとなしく捕まりなさい」


 手にした農作業用のくわを振り回して威嚇する農夫だったが、礼子はあっという間にそれを奪い取ってしまう。


「……は?」


 手にしていたくわが消えてしまったため、呆気にとられる農夫。その腕を捻り上げる礼子。

 そこへイルミナ・ラトキンが追いついてきた。ランド91とハーンも一緒である。


「これはレーコ卿、取り押さえありがとうございます」

「容疑者を引き渡します」


 農夫は手錠を掛けられた。

 その時礼子が一言。


「……気を付けてください。おそらくこの者を奪い返しに、ゴーレムが集まってきています」

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日7月8日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20210708 修正

(誤)マキナ

(正)マキナ3世

 地の文で4箇所修正。


(誤)そのため、ほとんど衝撃を感じすに着陸できたのだが

(正)そのため、ほとんど衝撃を感じずに着地できたのだが

(誤)無傷で着陸したように見えている

(正)無傷で着地したように見えている

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「馬鹿な! 暗示により、そのようなことを覚えているはずはないのに」 いくらド三流とは言え、語るに落ちるにも程がw [一言] >「……気を付けてください。おそらくこの者を奪い返しに、ゴーレ…
[良い点] >「馬鹿な! 暗示により、そのようなことを覚えているはずはないのに」 語るに落ちたw 振「レーコやローシがやらかした時の言い訳と同じだなw」 例:◯◯しようだなんて考えておりませんのことで…
[一言] こうやって踏み込まれてもどうとでもなるとか思ってたんだろうなあ そして聖女のほうの事情はどんなもんだったんでしょうねー
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