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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
79 捜理協会篇
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79-03 仁D、行動開始

 仁は、ロイザートの屋敷へ行くと、エルザ、ダイキ、ココナ、ゴウ、ルビーナ、メルツェ、アマンダらに、今の状況を説明した。


「……メルちゃんを誘拐した奴らを追っていたら、過去の亡霊が現れたってわけね」


 ルビーナがちょっと洒落た言い回しで現状を形容した。


「ん……まあ、そういうことになるか。で……」

「ちょっと行って、ちょちょっと解決してくるわけね!」


 今度はなんとも語彙ごい力のなさをうかがわせるセリフであった……。


「まあな。だからしばらく留守にする」

「ん、行ってらっしゃい」

「ジン様、お気をつけて」

「ジン様! メッタンメッタンのギッチョンギッチョンにしてやってね!」


 ルビーナの最初のセリフは本か何かで読んだばかりだったんだろうなあ、と思いながら、仁は皆に頷いてみせる。


「任せろ」


 一言短く告げて、仁はロイザートを後にした。


*   *   *


 仁は蓬莱島の司令室に腰を落ち着けた。礼子はそのすぐ後ろに立つ。


「老君、まずはエイラたちの様子を見に行こうと思う」

『はい、御主人様(マイロード)。用意はできております。『ハリケーン』はホープの操縦でセルロア王国首都エサイア上空に差し掛かったところです』

「よし、それじゃあ『分身人形(ドッペル)』に代わろうか」


*   *   *


 同時刻、セルロア王国王城。


「陛下、『魔法工学師マギクラフト・マイスター』ジン殿がおいでです」

「うむ、早速の来訪だな。すぐに通せ」

「はっ」


 マキナ3世が出動して以来、事態は急を要すると王城の者全員が認識している。

 そうした近衛兵により、仁は最短距離で国王の執務室に通された。


「ジン殿、レーコ卿、ようこそ。一別以来だな」

「この度はお騒がせして……」


 言いかけた仁を、国王は遮った。


「いや、国内の不祥事に巻き込んで済まないと思っているのはこちらだ」

「そんなことは……」


 だが、今ここで責任の所在を云々し合っていても仕方がないと、仁Dも国王も悟った。


「まずは、『魔力パターン』の測定をしたいと思います」


 仁Dはそう言って、礼子に持たせた魔導具を指で示した。『魔力波形分析機マギスペクトラムアナライザー』である。


「それは?」

「魔力波形を測定する魔導具です」

「ほほう? 危険はないのかね?」

「まったく。これに向けて魔力を放ってもらえればそれで測定できます」

「面白い! 余の魔力を調べてくれ」


 王家の魔力パターンのデータが是非ともほしいところだったので、この申し出は渡りに船であった。

 早速仁Dは、セルロア王国国王、ボザール・ヴァロア・ド・セルロアの魔力パターンデータを公式に手に入れたのである。


「ほほう、これが余の魔力パターンか」


 『魔力波形分析機マギスペクトラムアナライザー』にはモニタが付いており、波形を確認できる。

 プリンタ機能はついていないので、モニタの上に紙を置き、礼子にトレースしてもらう。


「ジン殿、貴殿のものも見せてくれぬか?」

「いいですよ」


 別に秘密にするものではない。

 仁Dは、セルロア国王の魔力パターンを紙に描くだけではなく記憶装置にも保存し、自分の……『分身人形(ドッペル)』なので仁と同じ……魔力パターンを測定してみせた。

 それも礼子にトレースしてもらう。


「ほうほう、余のものとはかなり違うな。なんというか……平らであるな」

「そうですね。自分のものは全体的に見てフラットです」


 それが『魔法工学師マギクラフト・マイスター』の特徴であるとまでは説明しない。


「陛下のものはこことここ、ここにここ……の4箇所に特徴的なピークがありますね」

「確かにな。……おい宰相、お前も測定してみろ」

「はい、陛下」


 そういうわけで、宰相の魔力パターンも測定してみることに。


「ふむ、余のものともジン殿のものとも違うな」

「そういうものです。だからこそ認証のキーになるんですから」

「なるほどな」

「おそらく、この特徴的なピークが王家の方々の特徴なのではないかと」

「ふむふむ、なるほど」


 こうした魔導具による解説は初めてなのか、非常に興味を持って聞いている国王であった。


「ジン殿、この後、『アヴァロン』の客人たちの魔力パターンを調べるのだな?」

「そうです」

「その後、できればでいいのだが、余の身近な者たちの魔力パターンも調べてもらえぬだろうか?」

「え? あ、いいですよ」

「そうか、感謝する」

「ええと、3時過ぎでいいでしょうか?」

「うむ。では午後4時に、この執務室で頼む」

「わかりました」


 そんな約束をし、仁は国王秘書の案内で、『アヴァロン』からの面々が休憩している客室へと向かったのだった。


*   *   *


 仁が客室に顔を出すとエイラやグローマはびっくりした顔になった。


「ジン殿!」

「ジン! 来ていたのか!」

「今さっき来たばかりだ。大変だったみたいだな」

「ああ、そうなんだよ。……まあ、座ってくれよ」

「うん」


 エイラに言われ、客室にある応接セットの1つに腰掛ける仁。


「ええと、マキナから事情は聞いた。で、地下の魔導頭脳が暴走した原因を探っているんだが、誰かの魔力パターンが原因の可能性もある」

「そんなこともあるのか……」

「ああ。そこで、みんなの魔力パターンを測定させてもらいたいんだ」

「そんな事ができるのか?」

「できるよ」


 仁は礼子が持つ『魔力波形分析機マギスペクトラムアナライザー』を指し示した。


「これで測った俺の魔力パターンがこれだ」


 そしてまず、先程測った仁D=仁の魔力パターン図を見せた。

 自分の波形を既に測定していることを示し、忌避感を和らげるのが目的だ。


「ふうん……まあ見ても意味がわからないんだがね」

「まあとりあえず測らせてくれよ。そして比較してみよう」

「そうだな」


 そんなやり取りがあって、仁はエイラ、グローマ、そしてアレオ・ヨカ・ナイツ、カイン・ゲイ、ラザロ・デロッシ、ギジュウ・シツド、リンカス・カンデの順に測定を行っていったのである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日6月6日(日)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20210606 修正

(誤)の順に測定を行っていっったのである。

(正)の順に測定を行っていったのである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >過去の亡霊が現れたってわけね」 >「ちょっと行って、ちょちょっと解決してくるわけね!」 >「ジン様! メッタンメッタンのギッチョンギッチョンにしてやってね!」 仁「……ホントーに、ルビー…
[一言] ルビーナの語彙力は読んだ本の影響かなw 仁「ヒルデ陛下が書いた本でなくて良かった…。」 ルビーナ「読んだ本の著者?『ヒルデ陛下』…不敬と言われそうなペンネームね。」 仁「(アカン…)」 帝「…
[一言] >プリンタ機能はついていないので 小さいゴーレムアームとペンを付けてプロッター機能を搭載しよう。 ロール紙に波形を書く古い地震計みたいなのもレトロで良いけどw
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