74-05 制圧作戦が開始された
基地の名称はそのまま『メメンタス基地』とすることになった。
これでまた1つ、『遺跡の管理者』マリッカの配下が増えたことになる。
これで『メメンタス基地』から『ポーセ』の残存勢力を心置きなく一掃できる。
「『クラース』、この基地の兵力は?」
マリッカDに質問してもらう。
『クラース』には、旧『メメンタス』の情報データを全て残してあるためすぐに返答が来た。
『はい、警備用ゴーレム20体です』
「それだけですか?」
『はい。失敗作の自動人形は1000体ほどあるのですが』
『紛い物』8人と、侍女・執事自動人形が各100体として1000体である。
それを修理したとしても、出力が人間並みでは戦力にならない。
それについては、後ほどマリッカを通して改造の許可をもらい、もう少し使い勝手のいいものにしたい、と思っている仁なのであった。
それは置いておくとして、『メメンタス基地』には警備用ゴーレムが20体、それが現存する戦力である。
「基地内のマップはあるんだよな?」
『はい、もちろんです。ですが、『ポーセ』の勢力圏の分は信頼性に欠けます』
「それはそうだろうな」
『ポーセ』がどう改造したかわかっていないのだから当然である。
ここで、これ以上時間を掛けても仕方ないだろうと判断し、『ポーセ』のエリア制圧を実行することにした。
まず、『メメンタス基地』の警備用ゴーレム20体は『クラース』の守りとして残しておく。
そして『オエステ2』の警備用ゴーレム200体が『ポーセ』のエリア制圧を行う。
最終目標は、『余計な転移魔法陣の抹消』だ。
地上部分に穴もハッチもないところから、老君は転移系の移動で『ポーセ』は施設内を出ていったであろうと推測している。
そして、出ていく際に用いた転移魔法陣が残っていたなら、戻ってくることも可能なのだ。
これを防ぐためには『魔法障壁』を四六時中展開していればいいのだが、それでは他の基地からの出入りもできなくなる。
そういうことだ。
* * *
「では、12日午前0時を、『メメンタス基地制圧作戦』の開始時刻といたします」
『わかりました、マリッカ様』
「……50体くらいは送れる転移魔法陣を用意してある。作戦が終わったら消すけどな」
『ジン殿、感謝します』
2体ずつ100回に分けての転移は、さすがに作戦の遂行に支障が出るだろうと、仁Dは『メメンタス基地』と『オエステ2』を結ぶ大型転移魔法陣を刻んでいたのである。
現在時刻は11日午後11時50分。あと10分で作戦開始である。
ちなみに、『オエステ2』には今現在『職人』101から110までの10体を呼んである。
加えて礼子がいるので、こちらの守りは十分と思われた。
作戦成功後、『職人』たちは『メメンタス基地』を再整備することになる。
午後11時59分30秒。
「さて、あとは待つだけだ」
「でしゅね」
仁DとマリッカD、それに『紛い物』たちは『メメンタス基地』から送り出されるゴーレムの視覚情報によってもたらされる映像を見つめていた。
午後11時59分50秒、カウントダウン開始。
『10……9……8……7……6……5……』
あと5秒。
『4……3……2……1……0!』
作戦が開始された。
専用に刻んだ転移魔法陣を使い、50体ずつ転移していく。
4回の転移で200体は移動を終えたのである。
* * *
「さあ、いよいよだな」
蓬莱島でも、仁、エルザ、ハンナ、サキ、ラインハルトの5人が大型魔導投影窓を見つめていた。
蓬莱島と『メメンタス基地』の時差はおよそ6時間。こちらは午後6時である。
* * *
50体ずつ転移していく『ルゥカーゴーレム』。
転移先は『クラース』のあるフロアの1つ上だ。
そこにあるホールに転移魔法陣が刻まれている。
転移した50体は、すぐに階段へと向かう。続いて転移してきた50体は別方向の階段へ。
さらに転移してきた50体は最初の50体と同じ階段へ。
4番目の50体は2番目の50体と同じ階段へと向かった。
そして。
MGー1〜3の3体が殿として転移してきて、このフロアを守るわけだ。
* * *
「うむ、なかなか壮観だな」
『ジェドエフ』が呟いた。
『メメンタス基地』では仁D、マリッカD、そして『紛い物』8名が魔導投影窓を見つめている。
「送り出したゴーレムのうち何体にこうした視覚情報を送れる個体がいるんだろうな?」
『ジン殿、一応全部である、とお答えします』
「ほう」
『今回送り出したのは警備用ゴーレムです。その視覚情報を、私『ルゥカー』が判断するケースもあるため、ゴーレム全部の視覚情報をチェックすることができるのです。もちろん取捨選択できます』
「そうだったか。……あの時、確かにそういうインターフェースを取り付けたなあ」
『ルゥカー』を新造したときのことである。元の魔導頭脳にあった機能はすべて互換性のある形式で再現したので、『ルゥカー』は問題なく旧機能を使えているわけだ。
とにかくそういうわけで、『ルゥカー』が選別した映像を魔導投影窓に映し出しているというわけであった。
「……何も起きないな」
「まあ、起きないのはいいことだ」
1フロア上がった階層を200体がくまなく巡ったのだが、そこで見つけたのは資材倉庫と運搬用ゴーレム5体だけであった。
この運搬用ゴーレムは『忍部隊』が『魔法障壁』の通過時に利用したやつである。
今回は……今回もMGー1〜3が調査に来た時と同様に、『魔法障壁』は張られておらず、200体の『ルゥカーゴーレム』は楽々と上の階層に上がったのであった。
『ここからが正念場でしょう』
『ルゥカー』が言った。
『忍部隊』はこのフロアを『工場』と呼んだ。
量産工場ではなく、丁寧な作りを行う工場、大規模な工房、と形容したのである。
「あの時と変わっていないようだな」
呟くように仁Dが言う。
ゴーレムの部品や『ミティアナイト』、『エルラドライト』、『マギ・アダマンタイト』も見つかる。
貴重な素材のオンパレードだ。
よくよく調べていくと、金やプラチナのインゴットもあり、一財産……いや、二財産は築けそうである。
もっとも仁には興味のない話だったし、『紛い物』たちも同様なのであるが。
それよりも各部屋に何があるのか、の方が仁たちの興味を惹いていた。
「『忍部隊』も、すべての部屋を調査したわけではないしな」
仁Dを操縦している仁としても興味があったのである。
そして、『ルゥカーゴーレム』は、フロアを調査し、抵抗を受けることなく各部屋を押さえていった。
調べ終えた部屋には2体を残していく。
このフロアには12の部屋があったので、24体が割かれることになる。それが『制圧』ということだ。
今は11の部屋を『制圧』し、フロア最後の部屋の扉が今、開かれた。
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本日は 異世界シルクロード(Silk Lord) も更新しております。
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