1.ルシアス子爵令嬢アマリス
ルシアス子爵家は、国の南東に位置する農業が盛んな中規模程度の領地を持つ、ごくごくありふれた貴族である。
隣領のリドリー男爵領とは、業務提携や、隣り合う領地同士でお互いに様々な協力をし合う仲であり、2領の交流は盛んであった。
そのため、ルシアス子爵令嬢のアマリスとリドリー男爵令息であるデュークとはいわゆる幼馴染の関係であった。
2人は、初めて出会った6歳の頃より、会えば、いつでも一緒に野原を駆け回ったり、街に遊びに出掛けたりと、まるで兄妹のように仲良く過ごしていた。
その頃、ルシアス子爵家には、待望の嫡男であるルイスが生まれており、8年ぶりということもあって、その誕生に沸き上がっていた。次期子爵であるルイスへの期待は年々高まるばかりであった。
(お父様もお母様も、ルイスのことばっかり…)
アマリスも、まだまだ甘えたい年頃の子供である。
そんなアマリスの寂しさを埋めてくれたのが、デュークであり、それはデュークも同じであった。
次期男爵として、日々厳しい後継者教育を受けており、アマリスと過ごす時間は、デュークにとっても特別なものだった。
そうして、お互いがお互いを大切に想い合うようになるのに時間は掛からなかった。
「アマリス、大きくなったら、僕と結婚して。」
「私も、デュークと結婚したい!」
2つの領地は交流も盛んで、家格に差もなく婚姻相手としてお互いに何の問題もないように思えた。
アマリスは、子供ながらにきっと大きくなったら自分はデュークのお嫁さんになるんだ、とその頃はそう、信じていた。




