とある文書の冒頭
カンニガム伯爵家は、この国に代々伝わる由緒正しき家だ。
王家にも忠誠を誓い、ほかの貴族からも一目置かれる存在であるため、伯爵家の一員であることに誇りを持つことが大切である。自らの身なり、立ち振る舞いには細心の注意を払うことが求められる。
気を遣いすぎるのも良くない。こちらが下手に出て対応すると、他の貴族から下に見られる場合があるから。その辺りは、場数を踏んで覚えていくしかない。
そして伯爵自身に求められるのは、伯爵家をまとめ上げる頭脳や統率力もそうだが、剣の腕も必要だ……
――中略――
そして、これを何よりも忘れてはいけない。
もし、影華の君が現れたときには、伯爵家に災いが降りかかると、心しなければならない。美しく酔いしれるような魔力を持った香りだが、それもその瞬間のみ。すぐに意識が遠のき、体の一部に黒い花を咲かせ、幕引きとなる。
私もこの文章を書きながら、意識が遠のくのを感じる……
どうして、一体、どうしてこんなことになったのだろうか。
今これを読んでいる、いつかの伯爵家の名を持つ者よ。
どうか、君たちの幸せと繁栄を……………………………………そして、もし道ならざる道を選んでしまったならば、自分自身で、後始末をつけなければならない。それが、カンニガム伯爵家の者としての最後の務めである。




