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【完結】トレジャーハンター三人娘の内緒事~強化魔法?そんなの知らないんだけどっ  作者: あんそに
第三章 〜  そして、激動の果てへ 〜

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軍法会議と、揺れる光

王都で一番高い塔の屋上に私達は居た。


子供の頃、ここは何の塔なのかな?

と思って、執事の方に聞いた事を思い出す。


あの時は…説明を受けても理解出来なかったな。


今は分かる…ここは王都軍の施設。

下層は軍の人達の宿舎、上層は重要な研究部署や会議室となっている。


「アンジュちゃん、凄いねー。王都の全部が見えそう。」

「王都どころか、遠くの森まで見えるぞ。」

はしゃぐユミエルとエタルナ。


でも、私の心は不安で溢れていた。


「うん、風が気持ちいいわ。」

何もかも忘れてしまいたい。

そう思う心を風が何処かへと吹き飛ばしてくれるかのよう。


「アンジュちゃん、来て欲しいって。」

「はーい。」

ミランダさんとダグラスさんが一緒なのが心の支え。


「あなた達二人も呼ばれているわ。一緒に来て。」

「えー、ウチ達もですか!?」

呑気に陽だまりを感じでいたユミエルとエタルナの表情が一気に曇った。


今から軍法会議。


「会議室は7階よ。」

ミランダさんの後に続き、部屋に入ると参加者全員からの目線を受ける。

ダグラスさんは、すでに座っていた。

部屋は重苦しい空気が漂い、目に見えるかのよう。


「空いている席に座りたまえ。」

中央に座るのは、総司令のナシュールさん。

今日は鎧姿では無く、白い服に青い肩掛けの姿。


「すでに、議題を進めていてね。

 キミ達には、あの黒い鎧について知っている事を教えて欲しい。」

席に座ると同時に早速、本題を突きつけられた。


「知っている事だけで良いのよ…」

最初から会議に参加していたミランダさんの優しい声に少し心が落ち着く。


「あの黒い鎧は、操り人形みたいなモノでして、

――右肩に浮かぶ見えない球体が操っています。」

広い室内……精一杯、大きな声を出して伝える。


ザワザワと声が乱れる。


「その見えない球体というのは、どういったモノなのだ?」

参加者の一人から質問を受け、私は自分の球体、イシュエスを見つめた。


――イシュエスは微動だにせず、ただ右肩で浮かんでいる。


「えっと……丸くって、光輝いています。」


「それで……その球体というのは、キミ達三人にしか見えないのか?」

前のめり気味に身を乗り出しながら、質問をする総司令。


「あ、いえ……私だけです。私にしか見えません。」

少し声が小さくなってしまった事が分かる。

隣に座っていたエタルナが私の左肩にそっと手を添えた。

――それだけで心が落ち着く。


「何故、キミにしか見えないのかね?」

大柄な男が質問する。


「それは……分かりません。」


会議室内がふたたびザワついた。


「それは……おかしいだろ!?」

質問者が声を上げる。


あり得ない…おかしい…嘘では…

怒号のような声があちこちから聞こえてくる。


右肩に浮かぶイシュエスが熱を帯びる。


「静かにしてください。」

冷静な声でミランダさんが言うと、場は少し静まった。


「皆、落ち着け。」

総司令も声を出すが、表情は固いままだった。


「右肩を攻撃した事で、黒い鎧が倒れた事は事実だ。

 ――嘘では無い。」

ダグラスさんはそう言うと、『嘘では…』と呟いた人物を睨みつけた。

睨まれた男性は萎縮している。


「私だけ見えるのは謎ですが……本当の話です。」

ミランダさん、ダグラスさんまで疑われるのは嫌。

そんな気持ちから、私の声は大きくなった。


「この娘は、エターナルインテンションのリーダーだった、シリウスの娘だ。」

ダグラスさんは、そう伝えると総司令の表情が変わった。

「何?あのシリウスのか……」


総司令は、お父さんの事を知っているのね。

そう言えば、ミランダさんの事も知っているようだったわ。


「ねぇ、イシュエス……あの人を知ってる?」

囁くように聞く。

《――知ってる》

《昔、助けた》

頭の中に響くイシュエスの声。


「とにかく……黒い鎧の撃退方法は、分かったわ。

 ――議論を進めましょう。」

「そうだな……奴らがまた、いつ襲ってくるかは分からない。」

ミランダさんの声により、総司令が議論を進めた。


「投石機を下げ、槍の発射装置に。」

「もう一度、ダンジョンに調査隊を。」

「弓部隊は的を狙う訓練の強化だ。」

「魔法師は、物理攻撃魔法の訓練を。」

様々な意見が飛び交う。


そんな中、総司令が私の方を見た。

「キミ達の意見を聞きたい。」


「え?私……??」

思わず驚きの言葉が口に出てしまうと…

室内は静まり、人々の目線が集まった。


――右肩のイシュエスから声が聞こえた。


《シリウスが探していた宝具》

《――それを見つける》


「あの、お父さんが探していた宝具!

 ――それを見つけるべきです!」


ふたたび部屋内は、騒然とした。

右隣に座るミランダさんからも、

「一体、どういう事なの?」

と、質問される。

「あの……イシュエスが探せ。って。」


「静かに!」

総司令が場を鎮める。


「――シリウスの娘よ…それにどういった意味があるのか説明出来るか?」


《止める事》

《――出来る》

え?黒い鎧を止める事が出来るっていうの?

お父さんの探していた宝具で??


《そう……合ってる》


「あの……その宝具で、鎧を止められる。

 ――かも、知れません。」

イシュエスの言葉は信じている。

でも、流石に自信を持って伝える事は出来ない。


――私は断言を避けた。


総司令を含め、会場内の全員が怪訝な表情に変わる。


「どうでしょう?

 この三人で、その宝具を捜索。

 ――見つける事が出来たら幸運。

 という考えでは駄目かしら?」

そう言うとミランダさんは、私に向かいニコリとした。


会議室内は騒然している。


「あなた達の旅の目的とも重なる……どうかしら?」

「願ってもない事です。」

ユミエルとエタルナも賛同する。


「よし、分かった……

 キミ達三人は、シリウスが探していた宝具を捜索。

 元々、助っ人だったんだ。

 ――異論がある者はいるか?」


そうだな…元々期待していない…

そんな宝具など信じられるか…


ボソボソと呟く声。

イシュエスの意見を信じてくれない事に私は苛立ちを覚えた。

――右肩のイシュエスも熱を増す。


「では、俺達はもう退室していいか!?」

ダグラスさんは、そう言うと立ち上がった。


総司令から許可が出ると、私達は足早に会議室から出た。

「相変わらず、胸糞悪い連中だ。」

「まぁ、まぁ、頭の固い連中だから仕方ないわ。」

肩を震わすダグラスさんをミランダさんが諌める。


「あなた達、三人で大丈夫?私達まで行くことは出来ない雰囲気だったから、ゴメンね。」

「いえ、きっと探し出して、あの人達をギャフンと言わせてやります!」

ミランダさんに答えると、ユミエルとエタルナも頷いた。


――右肩に浮かぶイシュエスは、その光を揺るがせた。

それが何を意味するのか…この時の私は、まだ知らない。

~~~~~~~


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