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【完結】トレジャーハンター三人娘の内緒事~強化魔法?そんなの知らないんだけどっ  作者: あんそに
第三章 〜  そして、激動の果てへ 〜

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葛藤と、二人の爆発

ユミエル、エタルナと共にパーティー"ラビットイヤー"を結成した町"インクス"へと向かう。


お母さんに父の形見の指輪を渡したい…


山間の町リュウリーンから、北へ進み隣の町へと来た。

確かに…この町は地震の影響は無い。

「結構近いのに…不思議ね。」

「うん…なんだか怖いわ。」


この町で、ダンジョン"バサラ"で見つけた宝具類を売却する事にした。

『火を起こす為の宝具。』

『遠くに声を届ける宝具。』

『一定時間、水中でも呼吸が出来る宝具。』

私達には、必要のない宝具だったけど、どれも高値で売る事が出来、

金庫番のユミエルもご満悦だ。


「乗り合い馬車に乗っちゃおうか?」

「そだね…この町で泊まるのもお金がかかるし…進みましょ。」

「賛成だ。」

二人の賛同を得て、馬車を探す。


すると、すでに家族が乗った馬車を見つけた。

「インクスの町に向いたいんですけど…」


「途中までだな…それでも良いか?」

「問題無いです。

 あの…ご一緒しても良いですか?」


「勿論、大歓迎ですよ。」

両親と息子さんの幸せそうな三人家族…


「お姉ちゃん達、トレジャーハンター?」

無邪気な男の子の質問。


「そうだよー、まだまだだけとね。」

そう伝えると、男の子の目が輝いた。


「ボク、大きくなったらトレジャーハンターになるんだ!」

「そっかー、じゃぁ…体を鍛えないとね!」


「お姉ちゃん、そんなに強そうに見えないけどなっ!」

「こらっ!そんな事、言わないの!」

お母さんが男の子を叱りつけた。

お父さんからも謝罪を受ける。


本当…仲のよい親子…

私の家族も、このくらいの時は…お父さんが生きていた時の事を思い出してしまった。


空はとても青く透き通り、ゆっくりと雲が流れている。


「この村は……」

ユミエルが口を開いた。


乗り合い馬車が村の入り口で止まる。

「この馬車はここまでだ。降りておくれ。」


「ありがとうございます。」

家族連れは、この村が目的地だったようだ。


「祖父がここに住んでいましてね、久しぶりに遊びに来たんですよ。」

どうやらお父さんの帰郷らしい。


「そうなのですね、この村には宿屋あるのかな?」

「あるなら、泊まろうっか。」


「小さい宿屋なら、確かありますよ。」

ご家族と別れ、私達は宿屋を探す事にした。


が……エタルナが入り口付近で立ち止まったままだ。


「エタルナちゃん、どうしたのー?」

ユミエルが振り返って手を振る。


「ここは……あたしの村だ。」

小さな声だったけど……その声はかすかに聞き取れた。


「エタルナが産まれた村!?」

思わず大きな声を出してしまった。


エタルナが頷いている事が分かり、

ユミエルと共に走り寄った。


「どうする?村の外でテントを張る?」

「少し……考えさせて…」 


エタルナが肩で息をしているのが分かる。


――ユミエルと顔を見合わせる。


この村で起きた事件。

モンスターの襲撃に合った時、エタルナのバーサーカー化が発動。

モンスターを追い返したまでは良かったけど……

村人まで襲ってしまったという話。


エタルナは、この事件がきっかけで、この村を出たと聞いている。


「決めた……両親に会う。」


エタルナは、しっかりと私の目を見て伝えた。


「大丈夫?」


「あぁ……あたしは……強くなりたい。

 その為には、きっと必要な事。」


意図せず訪れた村への訪問。

そんな中、エタルナは決意を固めた。

――それは、きっと大きな決断。


「分かった、私達も紹介してね。」

「あぁ、勿論だ…」


エタルナの家は村の中心付近にあった。


家の前で作業をしていた女性が立ち上がる。


「エタルナ……」

「お母さん……」


泣きながら抱き合う二人…

声を聞いたお父さんらしき人物も家から出てきた。


「ごめんね……ごめんね、エタルナ。」

謝罪の言葉に対して、

エタルナは何度も頷いていた。


「とにかく……家に入りなさい。」

エタルナのお父さんが声をかける。


「えっと……

あたしの友達のアンジュとユミエル。」


言葉を発せず……会釈で挨拶をする。


「そっか……エタルナに友達が……」


私達はエタルナの家へと入った。


こじんまりとした建物。

ここで三人が泊まるのは難しいかも…


「よく帰ってきたね…」

「元気にしてたか?…」


「その格好……もしかして、トレジャーハンターをしているのかい?」

「危険な事、していないだろうな?」


エタルナの両親は矢継ぎ早に質問を繰り返した。

その都度、言葉を詰まらせながら返事をするエタルナ。


ご両親がエタルナの事を、ずっと心配していた事が分かる。


「ただいまー。」

背後から聞こえる声。


「あ、お兄ちゃん。」


え?エタルナってば、お兄さんが居たの??


エタルナの顔を見たお兄さんの顔が少し曇った。


「何しに来たんだ?」


「―――。」

エタルナが下を向く。


「こら!せっかく帰って来たのに何て事を言うんだ!」


「だって、エタルナのおかげで俺達は肩身の狭い思いを!」


「ごめんなさいっ!!」

エタルナが大きな声を出すと、

――ユミエルが背中から抱きしめた。


「ごめんなさい…ごめんなさい…」

エタルナは小さく繰り返した。


「この村で起きた事は、エタルナから聞きました。

 でも…エタルナは、この村を救ったのですよね!」


「それは…間違いない。」

強めの口調となった私の言葉にお兄さんは返事をする。


「だが…エタルナが怪物みたいになって、

 俺は……怪物の兄って陰口を言われるようになったんだ!」

その言葉に……胸が熱くなる。


右肩に浮かぶ球体イシュエスも熱を帯びた。


「何言っているんですか!?それでも…妹を!エタルナをかばうべきでしょ!」

《――筋力二倍》


イシュエスは、黙ってて。


「お前達は、よそ者だろうが!この村の事を何も知らないクセに!」


「知らないわよ!この恩知らず!」


立ち上がって叫ぶ。


――と、エタルナも立ち上がって、私とお兄さんの間に入った。


両腕を広げる。


「やめて……私から言う。」

そう言うと、エタルナはお兄さんの方へと向き直した。


「あの時は……何も言い返せなかった。

 でも、今は違う…

 私は強くなった…バーサーカー化している時も、意識を保てるようになった!

 だから言える!

 私は……もう、みんなが言うみたいな化け物じゃない!!」


大きな声を出すエタルナ。


お兄さんは……後ずさりすると、腰を落とした。

静まり返った家の中で、ドスンという音が響く。


「う……う…。」

エタルナは必死に涙を堪らえようとしているのが分かる。


「分かってた……俺が間違っていたのは分かっていた…、でも…でも……

 俺は違うんだ!バーサーカーじゃないんだ!


 俺には守る力が無かった……村も、お前も…」

お兄さんは大声を出すと…泣き出してしまった。




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