流星の終着点
レオン、リリエッタ、魔王、マーサ、ルーファスの五者による均衡した状況は、ラトソルによって崩された。凍りついた湖面が、小さな石によって亀裂が走るように、その変化は劇的だった。投じられた小石——ラトソルはルーファスを知らない。よって、追い詰められたのは勇者・魔王連合軍に苦戦していたルーファスではなく、勇者パーティの本懐——魔王だった。
そうして大きくパワーバランスが崩れたことにより、魔王はルーファスを倒した後に勇者を始末するため残しておいた全力を発揮する。その力は、想像を絶するものだった。
「ただ100年大人しく封印されていただけだと思ったのか、ルーファス!?」
「貴様から始末したほうが良さそうだ……」
100年越しの元勇者と魔王の戦いは、とても他4人がついていけるものではなかった。呆然と見ることしかできない他3人に対して、唯一動いたのは勇者レオンだった。
「ラトソルっ!」
その一言で全てを察したラトソルは、再び大規模転移魔法陣を作成する。
転移。
ラトソルの眼前には、リリエッタが立っていた。二人の転移先は、魔法学園。"悪役令嬢"と"ヒロイン"の決戦の場は、ここをおいて他はなかった。
転移。
レオンとマーサは、魔王城にて対峙していた。勇者は、数百年もの間ずっと停止まっている少女の刻を動かすことが出来るのか。
戦いは、佳境を迎えていた。




