表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕だけの幻想郷  作者: 鬼怒
43/43

第三章、ゆらりと佇む亡霊屋敷 ⑫

【第十二話、罪への償い】








「!? なん………で…………」


「………………理由は単純だ…………俺は、もう………………【人間じゃない】」


               妖夢の刀は灯雷の首を確実にとらえた。

               だが、その刃は灯雷の首を抜けはせず、

               刀は首に数ミリ斬り進んだところで止まってしまった。


「!?…………ひ……ら…………い………」


「………………ふぅーー………はっ、嫌な空だぜ、せっかくの復讐なのによ」


               妖夢は灯雷の首をはねることが出来なかったことに

               動揺してしまい、その隙を見逃さなかった灯雷は、

               妖夢の腰にあるもう一つの刀である白楼剣を奪い取り、

               妖夢の心臓を突き刺した。















「!? ……てめぇ、化け物かよ!! くそ!!」


               気絶していたはずの鬼怒はいつのまにか妖夢の亡骸のそばに

               立っており、気づいた灯雷は鬼怒に向かって殴りかかるが、

               鬼怒は避けようともせず、器の力を手の中に溜め、

               刀を作り出した。


「ぐっ!?……………危ねぇな………くそっ……」


               灯雷は鬼怒の刀を見て咄嗟に拳を引く。

               だが、鬼怒は息をしない妖夢をじっと見つめてるだけで 

               灯雷には見向きもしない。




「………………………………復讐………か………。

そんなことして何になった?」


「!? くそ!!……おらぁ!!!」


               鬼怒はいきなり器の力で作り出した刀を使い、

               灯雷の心臓を突き刺そうとするが、寸前で灯雷は

               避け、鬼怒を殴りにかかる。


「………………なぁ、妖夢を殺して何になった?」


「は? !?…………てめぇ、本当に邪魔なんだよ!!!!!」


               灯雷の拳は鬼怒の腹に直撃する。 

               鬼怒はまるで亡霊のような佇まいをしているが、

               灯雷の拳を食らっても鬼怒は倒れず、作り出した刀で

               灯雷の右腕を斬るが、灯雷の腕からは血は流れない

               


「………………………………僕は…………甘かった。

 どうしても殺しだけはしたくなかった

………………命を奪うことがどういうことかを、妖夢に教えていたくせに………………僕の手はまだ血で濡れていない………………」


「てめぇ………………」 


               鬼怒は灯雷の攻撃を避けながら、話し始める。

               だが普段の鬼怒からは考えられないほどにその声は低く、

               灯雷を見つめる目は冷たかった。


「僕は………………誰も殺したくはない。

僕の持つ力は大勢の命を奪うことが出来る………………でも、僕は誰も殺したくない。

昔、沢山の人間を無意味に残酷に殺した鬼達がいる………………彼女達も殺戮をしていたその時は自分の罪に気づけていなかった………………だけど、犯した罪はいつか必ず償わなければいけない。

………………さっき、お前が燃やした角のある子供はその鬼達の一人だ。

だけど彼女は今までの自分の罪を理解し………………積もった罪を償っている」


「はぁ、はぁ、だからどうした! 俺には関係ない!」


               灯雷の攻撃は一発も鬼怒には当たらず、

               息が上がっている灯雷に比べ、鬼怒は不気味なほどに

               静かに話していた。


「…………これが最初で最後だ。

………………今まで殺した人たちと妖夢を殺した罪…………償う気はあるか?」


「………………」


               鬼怒は攻撃をやめ、灯雷に問いかける。

               だが、鬼怒の刀は灯雷に真っ直ぐ向いていた。

               まるで灯雷が何と答えるのかが分かっているように。


「………………償いか…………いいぜ」


「………………」


「考えてみりゃあ、あの穴に落ちたのも全部妖夢のせいってわけじゃないしな。

それで殺されるって言うのはあまりにも理不尽だ。

俺が悪かったよ、償い………………させてくれ」


「あぁ、分かった」


               灯雷にそう答えると鬼怒は灯雷に背を向け

               妖夢の方へ歩き出していく。 


「………………」


               灯雷も妖夢の方へ歩き出すが、その手には

               もう必要ないはずの黒い炎が渦巻いていた。


「…………なぁ、お前の名前なんだったけ?」


「鬼怒だ、ただの人間の」


「そうか………………なぁ、鬼怒。

こっち向けよ」


              鬼怒は灯雷の言う通りに後ろへ振り返る。 

              その手には、器の力で作り出した刀が強く握られていた。


「悪いな、鬼怒! 俺には償いが出来るほどの清い心はもうないんだよ!!!」


「あぁ、だと思ったさ!!!」


              鬼怒が振り返るその瞬間に灯雷が黒い炎を放つが、

              鬼怒は難なく受け止め、灯雷を正面から斬ろうとするが、

              灯雷も鬼怒の刀を危なげなく避けた。


「ちっ! おらぁ!!」


「ぐっ! は!!」


              鬼怒と灯雷はもはや情人では目で追えないほどの速度で

              動き、その炎と刀をぶつけ合っている。 

              だが、お互いが無数に繰り出す攻撃は並の妖怪なら

              一撃で命を奪うことができるほどの威力であり、

              それを防御もせずに食らい続ける鬼怒と灯雷の体は、

              もはや限界をとうに超えており、戦いの終わりはすぐに訪れた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、………………」


「くそ………どこまでも邪魔してきやがって………………

お前さえいなければよぉ………………くそが!!!! !? なんだ、体が!?」


              どんなに攻撃を食らっても倒れることのなかった灯雷は

              いつでも自分を殺せる鬼怒の目の前で隙だらけに倒れていく。


「うっ………あんたの器……一体どうなっているんだ?」


「は? 器?」


「こんなに純粋じゃない力だったのか………どおりで、威様が一撃で倒れるわけだ」


「て、てめぇ…………いったい……………何をしやがった!」


「あんたの器の力を吸っただけだ。

器の力を全て失うと普通気絶するんだが……………まぁ、関係ないな」


              鬼怒は倒れた灯雷のほうへ歩いていく。


「……あんたはきっとここで殺さないと、これからもっと多くの罪のない人を殺す」


「お、おい………やめろ」


「ここであんたを殺さないと、きっと僕は後悔する」


「やめろ………やめろ……やめろ」


「……妖夢はもう死んだ。 あんたが殺したんだ」


「くそ、動け!」


「だけど、僕にも守れなかった責任がある。

あとで、僕もあんたと同じところに行く」


「くそ!…………………… !? やめろ!!!!!!!!!!!!!」


「受け入れろよ、あんたはここで死ぬんだ」





              










































「ごめん………………妖夢…………」


              鬼怒は妖夢の亡骸に話しかける………




               

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ