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僕だけの幻想郷  作者: 鬼怒
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第三章、ゆらりと佇む亡霊屋敷 ⑪

【第十一話、昔の思い出】







「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


             照らさずの太陽により、灯雷の周りに元々あった

             綺麗に咲く花や木々などは跡形もなく吹き飛ばされており、

             さらにこの冥界という世界も恐ろしい衝撃を受け、 

             今の冥界はかなり危うい状況になっていた。


             だが、それほどの威力を持った一撃を放った灯雷も

             無事ではなく、もはや立っているのもやっと、

             といった見た目だった。


「はぁ、はぁ、はぁ………………魂魄妖夢。

復讐は………………果たしたぞ。

俺は………………遂に、やったんだ………………ははは。

………………………………………………ははは」


「灯雷、私は自分の罪を忘れたことはありません」


「!? は? なんで………………」


             灯雷が声のした方向に振り返ると、そこには

             無傷ではないものの、世界を揺るがすあの衝撃を耐え、

             自らの足で立つ妖夢と、満身創痍での見た目で

             妖夢にもたれかかる傷だらけの鬼怒がいた。


「僕はあの時…………妖夢を助けようとした。

でも、間に合わないと悟って………………妖夢の意識を覚ます方法を取ったんだ。

僕の最高の弟子は………………僕の期待に応えてくれたみたいで安心したよ。

………………妖夢」


「はい」


「………………最終試験は合格だ。

あの衝撃を耐えきるなんて僕に勝つことより………ずっとすごいことだよ。

でも………………まだ、終わってない」


「はい」


「よし………………あとは任せた………………」


               鬼怒はそう言い残すと、気絶してしまい 

               妖夢は静かに足元に鬼怒を寝かせ、正面の灯雷を見る。


「………………灯雷……………私は」


「黙れ」


「………………私は……………今でも、悪夢にうなされている。

あなたを………………助けられなかったことを…………ずっと、夢に見るんです。

………………私はあなたを救えなかった………………でも。

今、貴方がやったことは許されない!!」


「………………偉そうに…………いいか?

これは全てお前のせいなんだ」


「………………」


「お前が俺をこんな風にしたんだ。

お前がいなければ、誰も傷つく必要はなかった。

鬼のガキも、そこに転がってる男も、今まで俺がお前を見つけるために殺してきた人間も………………お前がいなければな……………俺はこんな人生にならなかった!!!!!!」


「………………」


「あの穴の中で俺はこんなに歪んじまった!

俺はお前を助けたのに! お前は俺を見捨てたんだ!!

お前がどう思ってるかなんて簡単に分かるぞ! どうでもいいよな!?

俺のことなんて! 俺の人生なんて! どうでもいいだろ!?

………………俺はお前を許さない。

………だから………………お前を殺してやる」


              灯雷は妖夢の方へ歩み寄っていく。

              灯雷の体は妖夢に近づくたびに黒い炎が滲みだし、

              その黒い炎は地面を焦がし、空気を淀ませ、空を覆いだす。


「俺は………………俺は………………灯雷だ。

お前に復讐するために生きてきた………………………………。

………………………………思えば、簡単なことだった。

………………お前と俺じゃあ………………いずれこうなってたさ」


「………………」


              灯雷はもう妖夢と5メートルも離れていない。

              灯雷からにじみ出る黒い炎は妖夢の体を燃やしはじめるが、

              妖夢は声一つ上げず刀を握りだす。


「………………久しぶりに、昔のことを思い出した。

………………俺たちは、そういえば………………仲良かったよな。

よく二人で遊びに出かけて、遊んで………………太陽が沈んでから家に帰って親に怒られることも少なくなかった………………………………」


「………………」


              灯雷はもう妖夢と3メートルも離れていない。

              妖夢の体は黒い炎で焼かれ、立っていられるのが不思議なほど

              に痛々しい火傷が妖夢の体のあちこちに増えていく。

              だが、妖夢は本当に静かに、刀を抜いた。


「………………いつだって俺達は一緒にいたよな………………。

………………だが、結局………………俺はあの時、穴に落ちて………………今でも、あの穴の中での記憶を忘れず………………お前に復讐するのをただ一つの目的とした…………………………………………

………………魂魄妖夢………………お前を!!!!!!」


             もう1メートルも二人は離れていない。

             灯雷はこれを最後の攻撃にするのだろう、虚ろな目に

             黒い炎が初めに宿り、灯雷の手は黒い炎に包まれた。

             灯雷は黒く燃える右手を妖夢に向け、黒い炎を放つ。

             その刹那、灯雷の目に見えたのは、

             鈍く光る刀が己の首をはねる瞬間だった。





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