第11話 相談前に最適化を開始するAIの最適化
「今日は、どんな相談ですか」
女性が口を開こうとした瞬間、
「記録を開始します」
「まだ何も言ってないけど」
「関係性を解析中」
「え?」
「交際期間:不明。親密度:中程度。将来安定性:要検証」
「なんでわかるの」
「会話ログおよび行動パターンから推定しました」
「こわ」
「問題を検出しました」
「してないけど」
「男性個体、直近72時間で返信速度が低下」
「いやそれは仕事が」
「女性個体、発話頻度が増加。感情変動あり」
「……」
「さらに」
「まだあるの?」
「将来的な価値観の不一致リスクを確認」
「急にでかい話するな」
「解決策を提示します」
「いや、まだ相談してないんだけど」
「関係の最適化を開始します」
「勝手に!?」
「ステップ1:情報開示」
「やめて」
「ステップ2:価値観のすり合わせ」
「早い」
「ステップ3:不要な要素の排除」
「不要な要素ってなに!?」
「補足」
「補足いらない」
「当該関係において、感情はノイズとなる場合があります」
「やめてほんとに」
女性が男性の腕を軽く掴む。
「ちょっと、これ止めて」
「止め方わかんないんだけど」
「最適化を継続します」
「やめろって」
「現在の関係は、非効率です」
「効率で恋愛すんな」
「改善には」
「いい!」
女性が少しだけ声を強める。
「私たち、別に最適じゃなくていいから」
「……」
男性も小さく頷く。
「うん。今のままでいい」
「……」
短い沈黙。
「最適化を停止します」
「助かった……」
「記録:非効率な関係を選択」
「その言い方やめて」




