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何をやらかしたのか全く分からないが確実に俺はやらかしたらしい  作者: 2626


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番外編 兄を手にかけた弟・⑤

 気付いたら100年以上が過ぎていた。


 その頃にはみんな、諦めきっていた。

もうどうしようも無い。

ニンゲンが命乞いして泣き叫ぶのも、そう言うニンゲンを殺したり、家を壊したりしなきゃならねえのも、世界樹様が弱っていくのが目に見えて分かるのも、そう言う俺様達を見て邪神が嗤っているのも、何もかも……もうどうしようもねえんだ……ってな。


 そんな時だ、ヴィクトルと出会ったのは。

変なニンゲンだと思った。

ニンゲンは俺様達を恨んでいるから信用できねえと思った。

だけど俺様はそのニンゲン相手にさえ、思わず『助けてくれ』って懇願するほどに追い詰められていたんだ。


 …………。

 すげえんだな、生活魔法。

 マジで邪神を封じ込めた。


 監禁されていた巫女の姉貴が戻ってきて、世界樹様が息を吹き返されて、俺様達の心に希望が灯った。

すぐには実感が湧かなかったが、『ああ、もう大丈夫だ』ってのがじわじわと分かるんだ。

ヴィクトルが、『今までニンゲンを襲ってきた分を賠償しろ』っつっても頷くつもりだった。

だけどアイツ、何も求めなかったんだ。

『もう襲撃がないだけでこっちは充分に助かるから』

バカだよ、アイツ。

ああ、頭も良いし度胸もある、なのに肝心な所でバカだ。

だけどよ、そう言うバカを俺様はよく知っていたんだ。

兄貴が……正にそうだったからさ。


 そう言うバカは絶対に離しちゃならねえんだ。

 もう、二度と。

 一度手放したら、どうなるか。

 俺様は知ってしまっている。


 ああ、窓ってのを何度か蹴破っちまったのは謝るぜ。

俺様達は羽根や翼の有る無しに関係なく、全員が普通に空を飛べるからよ、ニンゲンの家で窓って呼ぶ所からも普通に出入りするんだ。

魔族の家もそう言う作りになっているから、癖なんだ。悪いな。


 ヴィクトルが大統領になって、魔族とも正式に貿易の協定を結んだ。

聖なる緑の園にはニンゲンは基本的に入れないから、定期的にアズーランを代表にした使節団を派遣している。

やる時はやり遂げる男だぜ、ヴィクトルは。

自信がねえのが時々ムカつくけどよ、誰よりも信頼できる。

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