53話 エピローグ
あれから一週間後。
「あ! カケルさん、エミリアさんにシロさん!」
「よう、シアン!」
今日もギルドに来ています。
まあ一週間に一度のギルドに来て、元同級生に情報が入ってないかの確認。
鈴木が生きていた事から、他の連中が生きている可能性があるって希望が湧いてきた。
だから、諦めずにギルドに通い続けて行こうと、そう考えるようにした。
「あ、そうだ! カケルさんに手紙が届いてますよ」
「カケルくんに手紙? 誰からだい?」
「んふふふ〜……じゃ〜ん! なんとミト皇女様からの手紙で〜す!」
シアンは顔の前で、その手紙をピラピラと降っているが、皇女の手紙をそんな軽々しく扱っていいのか?
「へえ〜ミトくんからねぇ……どれどれ……」
「ウチも見たい! エミリア、読んで」
おいおい。
俺宛なんだから、勝手に何取ってるんだよ?
「あ〜、だったら私も気になります!」
シアンまで、カウンターから出てこなくてもいいだろう。
仕事、そっち退けかよ。
手紙を持ったエミリアの背中から、シロとシアンが覗き込んでいる。
「じゃあ読むよ……え〜っと、なになに……」
手紙の内容は、あの後の話の事だった。
事件解決後、王都に戻ったミトは……国王にめちゃくちゃ怒られたそうだ。
しばらくは城から出ないように、言いつけられた。
ただ、目を盗んでは城を抜け出していることを、一言添えられたいた。
その次には、元領主ラングスの処遇についてだ。
元領主は国外退去を命じられたとだけ、書いてある。
なぜ極刑にならなかったのか、理由は書かれていなかった。
ま、国家反逆を企てたとはいえ、親友の父親が極刑になるのは、みたくなかったんじゃないか。
そんな気がする。
「んで、肝心のディナのことは、書かれてないのかよ?」
「まあまあ、そんなに焦らないでよ、カケルくん……ん〜と……」
そのディナのことだ。
あの後ディナは、ミトたちと一緒に王都に行ってしまった。
父親のことで、いろいろ知っている事を聴取するためだと、エレスがそう言っていた。
手紙には、ディナは今回のことで塞ぎ込んでいる様子は、無かったと書かれていた。
自分たちの前では、気丈に振る舞っているだけじゃないかと、ミトは書いてあった。
親友の目は誤魔化せない、とも書いてある。
そして、今後のことらしいが……
あと数年もしないうちに、ディナは正式に領主に就く事が決まったそうだ。
もちろん、この地域の領主にだ。
それまでは王国の人間を置くらしい。領主(仮)ってところか。
ディナのように、しっかりした子が領主になるなら、この辺りも安泰だろう。
絶対にいい領主になるに決まっている。
「えと、追伸……うん?」
手紙を見ていたエミリアとシアンの顔が、不機嫌そうなになった。
「……なんだよ? 急にそんな顔して……ミトがなんて書いてあるんだ?」
「……自分の目で、読んでみるといいですよ、カケルさん」
「うん。これは自分で読むべきだね」
無造作に渡された手紙に、目を通してみる。
『追伸。エレスとダイアが王国に戻って依頼、元気ないんだけど……あなた、二人になにかした? もしそうなら責任取りなさいよ!』
その文章だけ、他の文字より大きく書かれていた。
いや、なにもしてないし?
責任ってなんだよ。エレス達に元気が無い理由も知らないぞ?
「ちょっと待て! あんな状況で何か出来るわけが、ないだろう!」
決してやましい事はして無い……あ、ただディナに胸に顔が……
「あ、その顔。なにあったんですね!?」
「へえ……そうなんだ、カケルくん……へえ〜」
冷たい目で、俺を睨むんじゃない。
「シロなら信じてくれるよな? な?」
「……師匠、浮気ダメだよ?」
あ〜シロまで信じてくれてなーい!
「ちょ〜っと、来客室までいいですか、カケルさん……」
来客室に連行された俺は、そのあと小一時間ほど詰められますた。
そして身の潔白をなんとか証明して、なんとか解放された。
「今日も邪魔したな。また来るよ、シアン」
「はい。次までに、カケルさんの知り合いの情報が入ってる事を期待しててくださいね」
俺たちはシアンに見送られ、ギルドを後にした。
ギルド出て少し歩いていたら、シロがお腹を押さえ、
「……お腹が減った……師匠」
懇願するような瞳で、俺を見つめている。
「カケルくん……ボクもお腹が減ってきたんだ」
エミリアまでもかよって、かく言う俺も腹が減ってきたな。
あれから屋台や市場も、元に戻ってる事だろう。
「しょうがない。市場の串肉の屋台にでも行くか」
「うん! お肉!」
シロのはしゃぎようは、相変わらずだな。
俺の周りを嬉しそうに駆け回っている。
「そうだね、行こう! お肉だよ!」
「肉だ、肉! 行くぞ!」
「お〜!」
今度こそ、串肉を食ってやる!
一旦第一章はこれにて完結します。
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