34話 いにしえの神代魔法
祝7000PV!
これもひとえに皆々様のおかげです!
神代魔法。
エミリアの話じゃ、原初の魔法で数万年生きる古竜が使える魔法なんだとか。
一般的に使われる魔法は、昔の人が神代魔法を真似ようとして出来た魔法。
それでも遠く及ばないんだと。
「う〜ん……一言で言えば、森羅万象を司る力なんだよ。
大嵐に大洪水。火山の噴火に地震と言ったところかな」
「森羅万象を司る力? 俺が覚えたスキルって、そんなすごい力なのか?」
「もちろんだよ。その力は強大すぎるって、昔の文献にも残っているくらいなんだよ。
古い時代の出来事だけど、竜の怒りに触れてた国が一夜にして滅んだみたいだけどね。
えーっと……たしか空から火が降り注いだり、地面からは炎が噴き出したとかだったかなぁ」
一夜にして国が滅んだ!?
そんな力が俺に使えるようになったって言うのか?
はっきり言って、そんな力を上手く使える自信は無い。
どうしたらいいんだ、この力を……
「でも、安心しておくれよ。ボクがちゃんと使えるように、教えてあげるからさ」
「教えるって……どうやってだよ?」
エミリアは神代魔法は使いないはずだろ。
いったいどうやって教えるっていうんだ?
「いいかい? そもそも神代魔法と一般魔法は、かなり似ている魔法もあるんだよ。考え方を変えれば、基礎さえしっかりすれば、普通の魔法も使えるはずさ」
なるほどなあ。
応用すれば、一般的な魔法が使えるようになるって事か。
「剣に魔法を付与するのも、しばらくお預けか……」
「当たり前だよ! いいかい? キミの魔法は、国を滅ぼすような力なんだよ? そんな力を下手に剣に付与したら、どうなるか……キミにも分かるよね、カケルくん」
国を滅ぼしかねない魔法。
そんなの使ったら、街一つなんてあっという間に破壊されてしまう。
だけど一般的な魔法も使えるようになれば、そんな心配は無くなる。
エミリアにはきちんと教えてもらうしか、今の俺には他に方法がないんだ。
「でも……ボクの弟子から、そんな凄い魔法を使える人間が出てくるなんてね……嬉しくなっちゃうよ」
嬉しいのか?
師匠を超えるような弟子なんていたら、嫉妬とかしないのかね。
「なあ。俺がエミリアをあっさりと超えちゃったら、嫌じゃないのか?」
エミリアは一瞬キョトンとし、
「嫌? 何を言ってるんだい、カケルくん! 師匠ってのはね、弟子を自分以上に育てるための存在なんだよ?
ボクを超えること……それはボクにとって、一番嬉しいことさ」
たしかにエミリアの言うことも少し分かるな。
シロが俺以上に強くなったら、ちょっと嬉しいかもしれない。
師匠って、そういうモノなのかもな。
そのシロは、どこへ行ったのかは分からないが……そろそろ探してやるか。
この塔の階層は思った以上に広い。
あんまり遠くへ行ってないといいんだけど。
「あ〜……俺、ちょっとシロを探してくるよって……なにニヤニヤしてるんだよ?」
「なんでもないよ〜?」
なんだよ、なにか言いたそうなニヤけた顔は。
決してシロを心配してるわけじゃない。
弟子の行動管理も師匠の務めだ。
うん、心配してるわけじゃなんだからな。本当だ。
俺は自分にそう言い聞かせた。
さてと……いったいどこから探したらいいのか。
周囲を見渡すが、シロらしき姿は見えない。
ったく。どこまで走っていったのか……うん?
もう一度ぐるっと周りをみていると、シロが猛スピードでこっちに走ってくるのが見えた。
「お〜い! シロぉ!」
「師匠師匠師匠ぉ!! 見て見て!」
ちょっと待てえ! な……なんだ、あれはぁ!
尻尾を振って嬉しそうに走るシロの背後に、なにかデカイの球体が追いかけるように転がっている。
弾む球体か!?
いや、それにしてもデカすぎるだろ!
弾む球体なのに、なんで跳ねてなくて転がってるんだよ!
「カケルく〜ん。危ないよぉ」
「あ! エミリア、お前!?」
遠くで手を振りながら、エミリアが叫んでいる。
いつの間にか、あんな遠くへ逃げてやがる。
なんて薄情なんだ、あのエルフは!
あんなスピードから逃げるのなんて無理だ。
俺に見せたい一心で、シロは走ってくるわけだから……俺がどこに逃げても追いかけて来そうだ……どうしよう。
なんて考えてる暇はない。
(ポーン! スキル『神代魔法』をご利用されますか?)
このタイミングでか。
剣は最上階に置いて来たから……これしか無いのか。
潰されて死ぬのはごめんだ。
リスクは高いが、俺は自分を信じる。
「神代魔法……利用!」
(ポーン! スキル『神代魔法』を使用します。ご利用者様の神代魔法レベルが低いので、一番弱い魔法の使用をお勧めします)
一番弱い魔法?
死ぬリスクは無いってことか……じゃあそれで!
(ポーン! スキル『神代魔法』を使用中は、呪文の詠唱を必要としません。では、お楽しみください)
楽しめるかあ!
相変わらず空気を読めない音声ガイダンスめ。
とにかく詠唱は不要ってことな。
じゃあ思い浮かぶ魔法を使ってやる。
「シロっ! 横に飛べっ!」
弾む球体の前を走っていたシロが、横に飛び退いた。
シロも俺から何か感じとったんだろうか。
今はどうでもいいことだ。
あのデカイのをどうにかするのが先だ。
ゴォオオオオオオ!
轟音と共に構えた俺の左手から、三匹の炎の龍が飛び出した。
炎の龍は雄叫びをあげながら、弾む球体に向かって飛んでいく。
俺は呆気にとられてしまった。
魔法が当たる前に、魔物が蒸発して掻き消えたからだ。
怖っ!!
怖っ!! いやいやいや! 燃える過程は?
そんな過程すら無しで灰になったぞ!?
「カケルくん! カケルくん! 魔法を制御しておくれ!」
へ……? 制御って、ああああ!?
猛る三匹の炎龍が縦横無尽に暴れて、岩場や床に当たって、塔を破壊している。
「せ、制御ってどうすればいいんだ、エミリア!」
「集中だよ! 集中して自分の意思で操るんだよ、カケルくん!」
集中集中集中……静まれ炎龍ぅ!
炎龍を操るように、手のひらを通じて集中してみるが……
どっごおおおおおおおんっ!!
轟音と共に塔の壁を撃ち壊すと、三匹の炎龍はスッと消えてしまった。
大きく穴が空いてしまった壁。そこから外が見えている。
「……なにやってるんだい、カケルくん!! あんな危ない魔法を制御できないなんて……危うく塔全体が壊れるところだよ!」
散々エミリアに説教されてしまった。
危ないから、しばらくは魔法禁止になってしまった。
「それにしても、こんな大きな魔物が一瞬で灰に……あれが神代魔法なんだね。
一方間違えば危険な魔法だけど……これは研究のやり甲斐が出てきたよ」
エミリアは灰になった魔物を触っている。
「……可愛いかったのに……残念……」
シロもしんみりした表情で、灰をかき集めている。
神代魔法……一番弱い魔法ですら、塔の壁を破壊するなんてな。




