第6話 陰の実力者(笑)は、スポットライトに愛される
「——私は、神である。
深淵を覗き、世界の裏側で歴史の歯車を……」
あー、くすぐったい! このセリフ、口の中がムズムズする!
よっ! 今日も今日とて全知全能、ゼウス様だよ!
今日はアテナに「カッコいいおやつ」をリクエストしたら、
真っ黒なパッケージの『極厚ブラックペッパー味』が出てきたよ。
この刺激、中二病の心に刺さるねぇ。
「ゼウス様。今日こそは、本物の『美学』というものをお見せしましょう。
表舞台ではモブを演じ、裏では強大な力を振るう……
全人類の男の子が一度は夢見る、孤高のヒーローの物語ですわ」
アテナが酔いしれた表情でモニターを操作する。
映し出されたのは、夜の街の屋上で、長いコートをパタパタさせている少年だった。
「へー、今度の救済対象の名前は?」
「カゲ・ナシオー、15歳。
前世では『核爆弾に勝つには魔力が必要だ!』と信じて山に籠もり、
修行という名の不審者ムーブの末、異世界へとやってきました!」
「……不審者ムーブって言っちゃってるじゃん、アテナちゃん。
で、このナシオー君は今、何してんの?
暗い場所で一人でブツブツ言ってるけど。怖いんだけど」
「ふふふ……。彼は今、自分が適当に作った嘘の設定……
『悪の教団が世界の裏で暗躍している』という設定を部下に話しているのです。
ですが、実はその嘘がたまたま全部本当だった、というミラクルが起きているのです!」
「ご都合主義の極致だな!!
だいたい見てよ、このナシオー君。
『フッ……すべては計画通り……』とか言ってるけど、
こいつ、鏡の前でこのセリフの練習、最低3時間はやった顔してるぞ。
っていうか、その部下の女の子たち!
なんで全員、モデル並みの美少女で、しかも彼を神みたいに崇拝してんの?
『陰の実力者』っていうか、ただの『ハーレムの主』じゃねーか!」
「そこがいいんです! 彼は気づいていないのです、自分が愛されていることに!」
「気づけよ! 鈍感にも程があるだろ!
あ、ちょっと待って。
ナシオー君が何か構えたよ。
指先を合わせて、なんかボソボソ言ってる。来るぞ、大技だ!」
画面の中では、カゲ・ナシオーが中二病全開のポーズで呟いた。
——『アイ・アム……エコノミック。』
「……え? 今なんて?」
「……本来は『アイ・アム……アトミック(核)』なのですが、
著作権と環境への配慮で、アテナ・プロデュース版では『エコノミック』に変更しました」
「ダサっ!!
『私は……経済的』って、
最強奥義じゃなくて、ただの節約主婦の決め台詞じゃん!
ほら見ろ、敵も『えっ、何その家計に優しそうな技……?』って困惑してるよ!」
「効果は絶大です! 周囲の経済を混乱させ、インフレを発生させて敵を自滅させます!」
「地味だよ!! もっと派手にドカンとやれよ!」
アテナが「これが大人の戦略ですわ」とマウントを取ってくるのが癪だったので、
俺からも『神の演出(嫌がらせ)』を追加してやった。
——『カッコつけて影に潜もうとすると、必ず真上から「超強力なサーチライト」が彼一人を照らし出す』!
これな!
「陰」の実力者のくせに、どこに行っても物理的に「陽」が当たりすぎる呪い!
「ゼ、ゼウス様ァァ!! 彼のアイデンティティが消滅します!!」
画面の中では、路地裏で格好をつけていたカゲ・ナシオーに、
天界からの爆光サーチライトが直撃。
『……なっ!? 誰だ、俺の潜伏を暴いたのは……!?』
と驚きつつも、光に照らされてキラキラ輝く自分の姿に、
ナシオー君が少し嬉しそうな顔をしてポーズを決めている。
「……あ、こいつ、これこれで喜んでやがる。
自分にスポットライトが当たるの大好きなんじゃん。
ダメだこりゃ。本物の中二病は、嫌がらせさえも演出(ご褒美)に変えやがる……」
アテナが溜息をつきながら、俺のブラックペッパーポテチを一枚奪って、
「刺激が強すぎますわ……」と呟いた。
「さてアテナ、次はどうする?
そろそろ、もっと『泥臭い、おっさんの物語』とか見たいな。
ほら、最近よくある……
『ギルドの受付嬢にモテまくる、冴えないおっさん冒険者』とかさ!」
「……ゼウス様。それ、中身はただの『若返り願望』ですわよ?」
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