偶発的接触 ― ゴブリンとの短い遭遇
偶発的接触 ― ゴブリンとの短い遭遇
薬草を半分ほど採取した頃、森の奥から甲高い声が聞こえてきた。
「……ゴブリンだ」
リナが低く告げ、すぐに身を低くする。セラが盾を構え、エルがローブの胸元を軽く押さえて魔力を確認した。
木々の隙間から、小型のゴブリンが四匹現れた。武器は粗末な棍棒と短い剣だけで、明らかに索敵中の小集団だ。こちらに気づくと、驚いたように叫び、しかしすぐに威嚇して近づいてくる。
「少人数です。正面からぶつかる必要はありません」
エルが静かに判断を下す。
「魔力を最小限に抑えて、離脱しましょう」
セラが前に出て時間を稼ぐ。俺は彼女の横に一瞬寄り、半透明の胸当て越しに乳房を掌で強く掴んだ。セラが小さく息を呑み、防御の魔力が盾に薄く宿る。
「……これで、少しは持ちます」
同時にリナの肩に手を置き、半透明の胸当てに指を滑らせた。先端が硬くなっているのがわかり、彼女が「っ、いいよ」と短く返す。敏捷の魔力が乗り、リナの姿が森の陰に溶けるように動いた。
ゴブリンの一体が棍棒を振り下ろす。セラが盾で受け流し、俺は魔力を込めた剣でその腕を浅く斬った。深追いせず、すぐに距離を取る。
リナが側面から石を投げ、ゴブリンたちの注意を散らす。エルは攻撃魔法を使わず、足元に薄い霧を発生させて視界を悪くした。
「今です。後退してください」
四人は薬草の袋を抱え、森の茂みへ身を滑らせる。ゴブリンたちは霧と痛みに混乱し、追ってくる気配はすぐに遠ざかった。
安全な距離まで離れると、リナが息を弾ませながら笑った。
「うまく離脱できたね。魔力、あんまり使ってない」
セラが胸当てを軽く押さえ、顔を赤らめている。
「……勇者様の手、強かったです。でも、おかげで盾が安定しました」
エルがローブの胸元を整えながら、静かに頷く。
「小規模な接触でした。これ以上深入りせず、薬草の採取を優先しましょう。魔力の補充は、もう少し安全な場所で行います」
四人は再び薬草の群生地へ戻り、静かに採取を再開した。
ゴブリンとの遭遇は、短く、そして確かに終わった。
(続く)




