草原の巡回をさらに進めると
さらに続ける
草原の巡回をさらに進めると、風の向きが少し変わり、草の匂いが濃くなった。
エルがふと足を止め、感知を集中させる。
「……微かな反応があります。遠くの茂みに、小さな魔力の光です。希少種の可能性が高いです」
リナが目を細めて指差す。
「あそこ、草がキラッと光った。ウィンド・ラビットかな?」
慎重に近づくと、草むらの中から小さな兎型の魔物が顔を出した。体に淡い風の魔力を纏い、こちらに気づくと一瞬で姿を消すように走り去る。捕獲は難しく、戦闘の意思は全く感じられない。
「ウィンド・ラビットです。報告対象ですね」
セラが安堵したように息を吐く。
「攻撃してこなくて良かったです」
フェアリーがその方向へ小さく光を飛ばし、ラビットの残した魔力の乱れを穏やかに浄化していった。
四人は目撃情報を記憶し、巡回を再開する。
草原の午後の光が、柔らかく四人を照らしていた。
巡回は、まだ静かに続いている。
次は森の探索
草原の巡回を続けていると、南の端に小さな森が見えてきた。
「依頼の範囲に含まれています。少し調べてみましょう」
エルが静かに提案する。四人は草原から森の入り口へ進路を変えた。
森は木々がまばらで、光が地面まで届いている。空気が涼しく、魔力の流れが草原より少し穏やかだった。フェアリーが木の間をふわりと舞い、四人の胸の近くに戻ってくる。
リナが半透明の胸当てを押さえながら周囲を警戒する。
「森の中だと、気配が少し読みにくいね。でも、フェアリーがいるから安心」
セラが盾を構え、慎重に進む。エルが感知を深めながら言った。
「大きな異常はありません。ただ、奥に弱い残滓の反応があります。古い魔力の痕跡かもしれません」
俺が三人の胸に軽く触れて循環を確認すると、魔力が安定したまま流れてきた。
森の探索が、静かに始まろうとしていた。
(続く)




