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ドラゴン娘になった俺、ダンジョン攻略の果てに神になる。  作者: 覇気草


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第2話 ドラゴン娘、初めてダンジョンに挑む


 驚愕した美少女は、否定したいが俺だ。


 鏡に映る『レッサードラゴン』ことドラゴン娘は、十代後半の整った顔で、蛇のような縦長の瞳孔を持つ赤い瞳をしている。

 髪は真っ赤なロングストレートで、尖った耳の上には、左右から後ろに向けて生えた二本の角がある。

 作業着を着た体は胸がかなり大きく、腰は細くて、お尻は綺麗な形をしている。触ったから間違いない。

 背中からはドラゴンの翼が生え、尾てい骨付近からは赤い鱗に覆われた立派な尻尾が生えている。どちらも自分の意思で自在に動かせる。動かせてしまう。


「よく分からんけど……これなら戦えるな」


 緩くなったベルトを締め直し、中がガバガバになってサイズの合わない安全靴が気になりながらも、ビビって動けていないゴブリンたちに向かって突撃!


 ――っ、速い!


 流石はドラゴンと言ったところか、たった一歩でゴブリンの目の前まで距離を詰めてしまえた。勢いのままに蹴りを繰り出せばゴブリンは反応できずに当たり、後ろにいるゴブリンを巻き込んで車に激突し、動かなくなった。


 よしやれる! ――ん!?


 死んだゴブリンが、幻であったのかのように霧散して消えた。


 死体が残らない!? ……今は後だ!


 素早く動いてゴブリン共を文字通り蹴散らしていく。戦い方は問題ない。祖父が元陸自で体に覚えさせられた。

 そうして戦っていると戦意を失ったゴブリンが蜘蛛の子を散らすように逃げ出し始め、一部は岩の中へと戻り始めた。


 あそこは……そうか、ダンジョン! “現代ダンジョン”か!


 最近のライトノベルやアニメの流行らしい、というのをネットで目にした記憶がある。


 だが、どうしてこんな現象が突然……?

 神様がいたずらでもしたのか?

 それとも、人類の愚かさに嫌気がさしてテコ入れでも始めた?

 まぁ、どっちでもいい。


 この状況は俺の望んだ闘争がある。ひと段落したらクソめんどくさい事後処理やら検査やらが待ち受けているのは確実だが、恐らく普通の人間には対処できない事態だからすぐに自由に動けるようになるはずだ。

 なにせ、現代ダンジョンというジャンルの定番は、モンスターに対して銃火器の効果が殆どなく、異能とか魔力とか手にした人間しか対処できない。

 とにかく、ダンジョンに突入したい思いを留めて、逃げたゴブリン共を駆逐して回る。被害を未然に防ぐ為の行動をしておけば、あとで行政とか民衆から文句を言われずに済む。


「ん?」


 岩から出ていたゴブリン共が突然、空中に浮いたと思ったら岩の中へと勢いよく吸い込まれた。

 なにが起こったのかと思ったところで、目の前にVRゲームみたいな薄っぺらいウィンドウが現れ、空中の各地に巨大なホログラムっぽい人が出現した。ほぼ同時にウィンドウに人が映った。

 ホログラムの人と同じ姿で、紫髪に白のメッシュが入った美少女なのだが、頭に猫耳、お尻からは猫の尻尾を生やしているのが見える。着ている服はブレザー制服風のなにか。

 彼女はまるでこちらが見えているかのように見渡すと、口を開いた。


「やぁこの世界の人間さん、初めましてこんにちは。私は猫神のチエだよ。いきなりの神の降臨で申し訳ないけど、ちょっとこっち側でトラブルがあってね……君たちのこの世界、ダンジョンが生えてモンスターが出てくるようになっちゃった。ごめんね」


 ごめんね、で済まんよそれは。


「言いたいことは色々とあるだろうけど、まずは落ち着いて聞いてほしい。いい? 落ち着いて聞いてね? ダンジョンが無くなることは、今後世界が滅びるその時までない。人間同士で争ってる場合じゃないから、そのつもりで。あと、ダンジョンへの対抗策として一部の人間がモンスター娘に変質するようになったから、彼女らを頼るように。た・だ・し、神である私がいる以上、彼女たちへの非人道的な研究や軍事利用はさせないよ。もし私の言いつけを破るような国や組織や個人がいれば……分かるよね?」


 うわこわっ。なんか身震いするほどに凄い圧を感じるんだけど。


「……脅しはこれくらいとして、君たちにとって嬉しい話をしよう。ダンジョンにはこの世界に実在しない素材やアイテムが手に入る。例えば……薬草とか。食べれば多少の傷なら瞬時に回復するよ。加工してポーションにして飲めば、さらに回復力が増す」


 おぉ、医療の革命が起きるな。


「そして最奥には、難易度に見合った願いの叶う聖杯が一つ配置されている。モンスター娘になった人たちはそれで元の人間に戻るもよし、別の願いを叶えるもよしだ」


 ほう、聖杯! ……願いが叶ってる状態だからいらないわ。


「あと、私の力で外に出ているモンスターを一時的にダンジョン内に戻したけど、話が終わったから止めるね。じゃあ頑張ってねー♪」


 ウィンドウとホログラムが消えると、岩の中からゴブリンがまた出てきて……俺と目が合うと慌てて戻った。


 これ、このまま潜って殲滅《せんめつ》しないとダメだな。別のところに行ったら確実にゴブリンが散らばって大変なことになるし。


 ダンジョンの前に来ると、入り口の上部にウィンドウが現れた。


『ゴブリンの大穴』

『☆☆☆』


「上はダンジョンの名前で……この星は難易度か」


 星一つあたりの難易度の差が気になるな。


「まぁ、初めてだし気にしても仕方ない。行こう」


 俺はダンジョンへ突入した。



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