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第六章☆任務完了
数日後。
美里たちに利香のおじいさんから感謝の言葉があった。ただし、非公式にだった。
他の人たちはみんな利香の誘拐騒ぎがあったことは知らない。
「ありがとう。死ぬかも知れなかった」
利香が言った。
「だって、一緒に陽子ちゃんの劇を見に行くんでしょ」と美里は笑って言った。
「上谷君、もう、これ以上ごたごた起きないよね?」
美里が尋ねると、新しい学ラン姿の隆也は何のことかわからない様子だった。
「まあいいか。30年後にまた会えるはずだから」
美里はそう思っておくことにした。
「今度、あの五人で夜明けの空を飛ばないか?」
と一馬から誘いがあった。
「それもいいね」
と良平が言っていた。
やがて年が明けたら、昭和から平成へ時代は変わる。そんな頃の出来事だった。
☆
「任務完了しました」
「ご苦労様」
時空パトロール本部で、46歳の隆也に上司の美里がねぎらいの言葉をかけた。
もしあの時空に干渉していなかったら、神沢利香は存在しない。だから今回の任務を隆也に任せた。決して私情だけではない。神沢博士の研究も、敵の手に渡っていたら未来は変わる。それを阻止する。それが今回の任務だった。
「あの頃は良かったな」
と彼女は呟いた。
隆也も同感だった。
「今もきんもくせいの花が咲く頃になると、あの時代を思い出すのよ」
微笑む美里に、隆也は17歳の時の美里の姿を垣間見た。
今時代は、平成から次へ変わるところだ。
とても凄い時空旅行だったと隆也は思った。
エピローグ☆ペンネームの由来
・・・・海外SFだったら「アルフレッド・エルトン・ヴァン・ヴォクト」。国内SFだったら「梶尾真治」「新井素子」。漫画は「吉田秋生」「星野架名」「柴田昌弘」「樹なつみ」e.t.c.アニメはサンライズ作品、それから、えーとえーと・・・
私は本棚とビデオテープの山に囲まれてしばし至福の時を過ごす。
「・・・はっ!」
いかん。大学受験がある!今はそっちに全力注がないと、本当に全てを失ってしまう!
私は机に向かった。
「大学行けるくらい勉強したら、きっと良いSF作家になれるはず。だから、まず、今は先に勉強しなくちゃ」
・・・だけどここでペンネームだけは決めておこうと思った。
☆星野架名さんの名前から「星野」
☆パトレイバーの泉野明から「野明」
☆健身先生の「たけみ」
☆竹本泉さんのサインが「☆akemoto」みたいな文字なので「☆akemi」
(本当は星野☆明美で、読み方は「ほしのたけみ」だったけれど、「ほしのあけみ」に変更)
そして、「星野☆明美」に決めた。
・・・みさっちゃん、りょーへーごめん。「任務遂行!」はいつか必ず書く時が来る。今は無理。
私は書きかけの原稿用紙とプロットを引き出しにしまい込んだ。
これは30年前のことだった。
駆け足で書いた感じが否めませんが、完了です。読んでいただきありがとうございました。