むきあい
「なんで、初火はぼくを避けるようなことをしたんだ?」
言いたいことは言ったけど、聞きたいことだってある。解決したことでも理由を知らなければ、向き合うことができない。
ぼくは初火とどこまでも向き合いたいのだ。
質問をするとピクッと初火が反応した。
「……それは、ね」
……言いにくいことなのだろう、初火が口ごもる。ゆっくりでもいいから、彼女からの言葉が欲しい。
「……言っても、わたしのこと嫌いにならない?」
初火が問う。まったくもって杞憂な質問だ。ぼくが初火のことを嫌いになるなんて。
「そんなことありえないよ」
たとえ今ここで初火に殺されたとしても、嫌いになったりしない。
「……言っても、わたしのこと避けたりしない?」
今朝まで、逆の状況になってはいたがぼくの方から初火を避けるなんてことはもちろんない。
「そんなこと、絶対にしないよ」
繋がりを求めるぼくがそんなことするはずがない。いつでも初火の隣に居たいのだ。
「……驚かないでね」
「うん」
できるだけそう心がける。
「……わたし、変なコト言うかもしれないけど……」
「………………」
初火はここで大きく間を取った。ぼくは次に初火が口を開くまでの数分、いや数十秒だったかもしれないその時間、黙って彼女の息遣いや心音、唾を飲み込む音、彼女から出る音すべてに耳を澄ませた。
そして、少し大きめに息を吸う音が聞こえた。覚悟を決めたのだろう。
「……わたし、お兄ちゃんが好き」




