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三 [4/11]

 ズキズキ痛むわき腹には、ボウガンの矢。急所は外れているが、うかつだった。ナイフを止める方に天力を使っていたため、全身の防御が不十分だった。


 与羽(よう)はまず左腕の傷をふさいだ。深かったが、水と同じ要領で血も操れば簡単に応急処置できる。


 次にボウガンの矢。

 戦う雷乱(らいらん)とソラに注意しながらも、矢を引き抜いた。

 こちらは、切り傷とは違って治療に時間がかかる。雷乱に時間を稼いでもらうしかない。


 雷乱が放った稲妻は、ソラに触れる間もなく、彼を守る天力に受け流された。渾身の力で放った炎もソラの髪の毛一本焦がせない。


「強えーな」


 雷乱は呟いた。与羽より強いし、夢見最強も頷ける。

 雷乱はソラの攻撃が与羽に届かないことだけを目標にした。


 ソラはナイフ、ボウガン、洋弓をすばやく使い分ける。雷乱が近づけば、ナイフで応戦し、隙を見てボウガンで死角から攻撃してくる。横からわき腹を撃たれた時は、一瞬他に敵がいるのではないかと思うくらい慌てた。


 雷乱が離れれば、ボウガンよりも強力な洋弓の矢が迫ってくる。

 与羽に当たらない矢は避けつつ、受けてしまった傷からあふれ出す天力を止めていった。天力でできた精霊は、天力が尽きれば消えてしまう。


 数分後、与羽が復帰した。数分がとても長かった。

 何度人間では致命傷になる怪我をしたことか。


 与羽はこのままでは勝てないし、自分の命が危ないことを悟っていた。

 何とか隙を見て退避し、術者を討ちに行きたいが、ソラでさえ操るような奴だ。守護の神のお守りがあっても、自分が無事な保証はない。

 術者の天力が尽きるのを待つ方法もあるが、それより先に与羽の天力が尽きてしまうだろう。


「雷乱、白銀(しらかね)と入れ替わってきて」


 与羽は命じた。


「だが――」


 雷乱は反論しかけたが、与羽の真剣な顔を見て従った。


 与羽はソラに飛び掛った。

 流王が炎のように激しい水を纏う。それを剣の形にして思いっきり斬りつける。

 しかし、岩でも切断する水の剣が、天力を纏わせたソラのナイフで止まる。


 それを感じた瞬間、与羽は水の剣をただの水にした。

 ナイフに肩を浅く切られながらも、ソラの懐に入り込む。

 そしてすばやく、さきほどほどのリーチはないものの、短剣程度の水の剣をつくり出してソラの腹に突き刺した。急所は外されたが、確かに手応えがある。


 剣を水にし、引き抜く手間を省いてソラの脇を抜けようとする。

 しかし、ソラのひじが後頭部に叩き下ろされて倒れた。

 一瞬意識が遠のいた隙に、背中を踏みつけられた。


 地面に押さえつけられながらも、ソラを見上げる。ソラは腹の傷の治療を優先したようで、与羽に気を払ってはいるもののまだ攻撃する気はないらしい。

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