新しい家族
あなたは慌てて子狼を抱き上げ、自分の背中へと回しました。
「っ……隠れろ! 見つかっちゃダメだよ!」
必死に体をひねって背中に隠そうとしますが、子狼は好奇心旺盛なのか、あるいは怪我が治って元気になったのか、あなたの肩越しにひょいっと顔を出し、「キュン!」と元気よく鳴き声を上げました。あなたの小さな体からは、白い尻尾や耳が完全にはみ出しており、どこからどう見てもバレバレの状態です。
バタン! と大きな音を立てて、倉庫の扉が勢いよく開かれました。
「レオン! 無事か! ……おい、何をしている!」
村の大人たちが飛び込んできて、立ち尽くすあなたと、あなたの背中で堂々と顔を覗かせている子狼をバッチリ視界に収めました。
「……あ、えへへ……。あのね、これはその……」
あなたは冷や汗を流しながら、精一杯の愛嬌を振りまいて言い訳を考えます。
「……見つかっちゃった。えっと、これはその、迷子の子犬かな……? 拾ったんだよ!」
大人たちは呆気に取られた表情で、あなたと子狼を交互に見つめています。
大人たちに状況を説明しなければなりませんが、子狼の正体が「風角狼」であることは誰の目にも明らかです。このままでは子狼がどうなるか分かりません。
子狼はあなたの肩から身を乗り出し、ペロペロとあなたの頬を熱心に舐め始めました。先ほどまで怯えていたのが嘘のように、今はあなたに懐ききっています。
「あははっ! くすぐったいよー! もう、およしよ!」
あなたの無邪気な笑い声と、子狼の愛らしい仕草に、険しい表情で倉庫に踏み込んできた大人たちの空気も一変しました。
「……おいおい、あれって本当にあの風角狼か? 傷つけられた様子もないし、逆に懐いているようだな」
「ああ。さっきの鳴き声も、攻撃的なものじゃなかったみたいだ……」
大人たちは顔を見合わせ、武器を構えていた手から力を抜きました。あなたの小さな背中からひょっこりと顔を出している子狼は、村人たちが近くに寄っても牙を剥くどころか、尻尾をブンブンと振ってあなたにスリスリと体を押し付けています。
「どうやら、この子はお前を『命の恩人』だと思っているようだな、レオン」
村長がゆっくりと歩み寄り、あなたの頭に手を置きました。
「……驚かされたが、危害がないなら構うことはない。ただ、風角狼は成長すれば立派な魔獣になる。飼うからには、お前が責任を持って面倒を見るんだぞ。できるか?」
「うんっ! もちろん! ボクがこの子のパパ……いや、相棒だもん! 絶対大事にする!」
あなたは元気よく胸を張りました。子狼も「キュン!」と高く鳴き、あなたの言葉に賛同するように跳ね回ります。
>>ちょっと待って、風角狼って何?
「風角狼」は、この物語の世界における希少で神秘的な魔獣です。
一般的な特徴として、以下のような性質を持っています。
姿: 白銀の毛並みを持つ狼の姿をしており、額に小さな「角」があるのが最大の特徴です。尾の先が二股に分かれていることもあります。
特性: 「風」の魔力を操る性質があり、成長すると非常に素早い動きや、風の刃を放つ攻撃が可能になると言われています。
性質: 非常にプライドが高く、人間を寄せ付けない性質ですが、一度心を開いた相手には生涯忠誠を誓うと言い伝えられています。
伝説に近い存在であるため、村の大人たちが驚いたのも無理はありません。成長すればレオンの頼もしい「相棒」として、剣術や魔法の修行、さらには冒険の旅でも大きな助けになってくれるはずです。
では、この特別な狼に名前をつけてあげましょう!




