戻ってきたリィナとケーキ <ナナ>
ユリアが去った後。
間を置かずにリィナが戻ってきた。
「ちょっと待たせちゃったわね。先に食べてくれてた? あら、まだ食べてなかったの? うわ、本当にごめんなさい。じゃあ、すぐ出すから、一緒に食べましょう」
リィナは冷蔵庫にあるケーキをみて、すぐさま出して、ナナの前に並べる。
もちろん、皿に乗せ、フォークをつけて、だ。
「え、ちょっ…………」
(「あの変態を好き………? この人が?」)
信じられない現実に、思わずナナは、リィナの顔をじーっと見つめる。
「ん? どうかした? 私の顔に何か、ついてる?」
一緒にケーキを食べながら、リィナはきょとんとした顔。
あまりにも見つめるので、思わずリィナは、口元を拭く。
「そーじゃなくて……あのさー……」
言いたいことをなかなか口に出来ずにいるナナ。
「も、もしかして、ほっぺとかじゃなくて、鼻まで付いてる!?」
リィナはあたふたと鼻を擦っていると。
「あのさー、……変態……の事、すきなの?」
「え? 変態って、翔の、こと?」
リィナはどきまぎしながらも、考えながら答えていく。
「そ、そうねー。……うん、キライじゃないから、その、一緒に働いてるってカンジ?」
明らかに態度が変で、おかしい。
そんな煮え切らない様子にナナは。
「はぁ……しゃらくせぇーっ!! さっさと本当の事言え、アホ!!」
ぐさっと音が聞こえたような気がした。
それぐらい、勢いよくケーキにフォークをぶっ刺し、身を乗り出す。
「うっ……そ、そう言われると言い辛いんだけど」
ナナの態度に驚きつつも。
「うん、好き……かも」
小さな声でリィナは本音を零す。
「聞こえないなぁー」
うざったらしく、ナナは促す。
「ああんもう! そうよ、好きよ!!」
そう、リィナが大きく叫んだときだった。
がちゃりと音を立てて扉が開き。
「ん? 二人とも、仲良くおしゃべりタイムか?」
噂の翔が現れた。
「ぎゃあああ!!!」
それに顔を真っ赤にしてあたふたするのは、リィナ。
絶賛、大混乱中である。
だが、翔は気づいていない様子。
「あーそう。おしゃべりタイム中だ」
ナナは、あたふたするリィナをさておいて、にやにやと不適の笑みを浮かべている。
「なんだか、リィナの様子が、かなりおかしいんだが」
翔はというと、リィナの様子に思わず苦笑をしているようだ。
「で、どんな話してたんだ?」
と、話を切り替えるかのように翔が尋ねると。
「言わないでっ!! 絶対っ!!」
先ほどのことを知られるのが嫌なのか、かなり嫌がっている。顔は真っ赤なまま。
少し可愛そうになってくるが……。
「んー……こいつがお前のこと……キモイって言ってた!」
「なんだってー!!」
ナナの言葉に、ほっとした表情をするも、すぐさまリィナが気づく。
「そんなこと言うわけないでしょ?」
「いいや、お前なら言いかねん。いや、そういうわけじゃなくてだな、これでも外見とか香りとか、俺、超気をつかってんだぞ!! お前にそんなこと言われたくないわ!」
「だから、違うって言ってるでしょ?」
「だったら、何を話してたんだ?」
「そ、それは……その……」
「ほら、やっぱ図星じゃねーかよ!!」
「だから、違うって!!」
そんな風に言い争ってはいるが、リィナは、ちょっぴり楽しそうだ。
「ま、いっか、楽しそうだし」
ナナは目の前に放置していたケーキを、のんびりと食べ始めたのであった。




