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新感覚『般若心経』 〜蒼龍くん物語スピンオフ〜  作者: 佐藤 堅明


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7/10

第七話:五蘊その4【行(ぎょう)】:空回りする、ボクの努力

おじいちゃんカモメは、蒼龍くんとの出会いにおいて「ただ、そこに在る」という一期一会の時間を楽しみました。

 しかし、孫のカモメの前にいるシャリホは、一刻も早くこの状況を変えようと、自分勝手な理屈で「無駄な努力」を積み重ねてしまいます。

 今回は、そんな空回りのエネルギー――【ぎょう】の滑稽さを描きます。

泥沼に沈んだ荷車を前に、シャリホはついに上着を脱ぎ捨てました。


短い足で踏ん張り、車輪を押します。

「見てください! 私は戦っているのです!

成功者は諦めません! 努力は裏切らない!」


力を込めるたび、車輪は空しく泥を跳ね上げました。

そしてその泥は、正確にシャリホの顔に戻ってきます。


ズブリ。

足がさらに沈みました。

(16時30分。英雄的奮闘。後世に語り継がれる可能性大)


「おじさん」

カモメの声が落ちます。


「泥は、あんたの演説を聞いてないぜ」

「黙りなさい! 動かなければ何も変わらないのです!」


シャリホが押す

→ 車輪がギギッと動く


「見ましたか! 世界は応えたのです!」

カモメが一瞬だけ黙る。


次の瞬間、

ズブリ。


車輪が横倒しになり、荷車がさらに傾く。

カモメ、低く言う。

「……動いたな。余計にな」


シャリホの呼吸が荒くなります。

一瞬だけ、手が止まりました。

泥は、それ以上沈みません。


……しかし。


「まだ足りないだけです!」

再び全力で押します。

ズブリ。


今度は腰まで沈みました。

(16時40分。鳥による士気低下行為。業務妨害の疑い)


カモメは空を見上げます。


「……やれやれだぜ」

動けば前に進むとは限りません。

止まったときだけ、沈まないこともあります。

それでも人は、動いてしまう。


次回、シャリホは(何故か)世界を敵に回して戦います!頑張れシャリホ!負けるなシャリホ!!

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