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第20章:初出勤(2) :またここで切ります。

 ・・・矢板駅を出た電車は、


 やがて、ぼくの大好きな、


 なつかしいエリアにさしかかった。


 木幡地区の・・・


 あの「そろばん塾」や「駄菓子屋」があったエリアだ。


 木幡西公民館を過ぎて、ほんの1、2秒もしないうちに、電車は「あの家」の前を通過する。


 ・・・かつて美絵子ちゃんが暮らしていた家。


 彼女のおばあちゃん、「山口セツさん」が住んでいた家。


 セツさんは、


 2003年に亡くなったけれど、


 ぼくと美絵子ちゃんが最後に会った1989年以降、


 ぼくが食糧事務所を2000年3月31日に退職した日も、


 1993年4月時点での初出勤のこの日も、


 まだご存命でいらして、


 ぼくが見下ろす電車の車窓から見えるあの家で、


 リアルタイムで生きておられたんだ。


 ・・・美絵子ちゃんのことは忘れてはいなかった。


 でもね、


 もう削除してしまってはいるけれども、


 『1990年8月12日リマッチ事件』を最後に、


 ぼくはもう、美絵子ちゃんのことを完全にあきらめてしまっていたので、


 このときのぼくの心はもう・・・


 『70番 あや』一色いっしょくに染まってしまっていた。


 それは・・・


 結論から言ってしまうけど、


 その後、まる30年も続くことになり、


 2023年までぼくは・・・


 あやの「とりこ」になってしまい、


 美絵子ちゃんのことを忘れたわけじゃなかったけれども・・・


 『あやいのち』となってしまったんだ。


 食糧事務所への採用がその場で決まった、


 記念すべき、あのめでたい日には、まだ「あや」に出会ってはいなかったから、


 純粋でまじめな『堅物公務員かたぶつこうむいん』になるつもりでいた。


 面接官の大森人事係長と面接で約束したように、


 食糧事務所の若い連中と積極的に交流し・・・


 スポーツサークルにも積極的に参加して、


 仲良くやっていく「つもり」でいたんだ。


 ・・・しかしながら、


 あの1月5日に彼女に出会ってしまったことで、


 ぼくの、その後の人生は大きく変わってしまった。


 これからそれはゆっくり語ってゆくけど・・・


 そのくらい、


 『70番 あや』・・・


 いやさ、『〇〇洋子』という女性ひとは・・・


 美絵子ちゃんの面影を忘れ去ってしまうほど魅力的で、


 あのなつかしい、甘い記憶を吹っ飛ばしてしまうようなレベルの・・・


 それは強烈に輝く、


 本当にまぶしい・・・


 ぼくにとっての『心の太陽の再来』だったんだ。

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