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お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
どうなっちゃうの!?最強無敵の花畑ダンジョン
65/71

21.大改造計画!


時系列をまとめると

First Stage:〜3ヶ月 

Second Stage:〜1年 早春に街へ行きハル攫われる

3rd Stage:〜4年 ◀︎イマココ 約3ヶ月ちょっと経過

Final Stage:4年終了時点


季節は夏が終わり秋に向かうところでしょうか。


 

 澄み渡る青空の高いところを雲が流れていく。

 暖かな陽射しが差して、スッキリと涼しい風が吹き抜けていくのが心地良い。


 気付けば大分秋めいた季節になってきた。


 魔王城の庭先に机と椅子それからパラソルを立てて、優雅なティータイムを楽しむ。

 マイスが淹れてくれたお茶は今日も格別で、紫のスイートポテトをおやつにのんびりと過ごす。


 あたし達の眺める先では、庭先に広がった花畑の上でサリーちゃんとコウ・ライ・ジンくんが赤ちゃん二人と戯れて遊んでいる。


「カルくんこっちですよ〜。よちよち、よちよち、わ〜すご〜い!」

「だぁうぅ」

「マル〜どこだぁ〜」

「ここかっ!」

「ここかなぁ?あっ、見つけたー!」

「きゃっきゃっ」


 まだ覚束ない様子でハイハイしている元ダリュンゴスのカルくんことカエサルくんと、ゆっくりな速度ではあるけど、もう四足で歩き回ってかくれんぼをしている元フェスキーモのマルくんことマルクスくん。


 転生したばっかりの時はよく眠ってたんだけど、次の日に目が覚めてからはよく食べてよく寝てよく動くようになった。

 カエサルくんはふくふくまるまるとしていて、首は座ってるけどハイハイをし始めたくらい。マルクスくんはネズミの獣人だからかちょっとシュッとしていて、高這いでゆっくり這い回ることができる。


 お座り上手なカルくんの周りをマルくんが這い回って二人でキャッキャしてるのが、もう本当に愛らしいの!


 地下ダンジョンからお城に帰ってからは、元気が有り余っていたマイスを始め、サリーちゃんやコウくん達が赤ちゃんの面倒を見てくれている。

 特にサリーちゃん達は、今まで自分達が最年少だったってこともあって、めちゃくちゃ可愛がってるんだけど……もうね、本当にね、尊いの。


 あたしも勿論いっぱい可愛がって遊んでるんだけど、こうやって眺めてるのもまた良いものですわ。



「なるほどぉ。これは尊いですわねぇ」



 胸弾むような香りと共に現れて、一脚多く用意していた椅子にいつの間にか座っているのは大精霊のマグノリア様。

 流れるようにお茶を淹れたマイスにお礼を言って、ティーカップを傾ける。


「お越し頂いてありがとうございますマグノリア様」

「可愛い可愛いあなたの顔が見られるんですもの、飛んできますわぁ」


 いやぁ〜可愛いだなんて照れますねぇ〜。

 あっ、そういえば!マグノリア様からアクセサリーをもらってたことを思い出してお礼を伝えると「あなたが無事ならそれでいいのよぉ」って満面の笑みで言われちゃった。正面からそんなの食らったら…恥ずキュン!


「それで、今回招待された理由は何かしらぁ?」

「実はマグノリア様にお願いがありまして。この土地は千年以上前は緑豊かだったらしいのですが、この地にあったダンジョンのせいで枯れ果ててしまいました。ここで育つ植物も少ししかなくて、どうにか昔みたいな環境に戻せないかなって!」


 頬に手を当てて、う〜んそうねぇと考えるマグノリア様。

 マグノリア様が言うには、この地は魔王城周辺に僅かに植物や苔が生える程度で、その外側は砂や岩ばかりの荒地に囲まれているらしいの。陸の孤島みたいになってるから、緑が戻るには相当時間が掛かるみたい。


「この土地の記憶を呼び覚まして緑を復活させることはできますよぉ。でも、そこまで大掛かりになると、対価もそれなりになるのだけれどぉ……そうね、ここはダンジョンらしくDPで頂こうかしらぁ」


 転生で一億使っちゃったけど、DPはまだたくさんあるからどれくらいか聞いてみることにした。


「ザッと5000万DPでどうかしらぁ?」

「オッケーです!やっちゃってください!」

「ふふふ即決なんて男前ねぇ。それじゃあ行くわよ」


 マグノリア様は厳然と聳え立つ崖のように凛とした表情で席を立った。

 どこからともなく琥珀色の宝環を戴く錫杖を取り出すと、地面に石突を打ち鳴らす。


 シャン………  シャン……  シャン…


 澄んだ音色が地の奥深くまで響いていく。


 シャン… シャン… シャン…


 音が響く度に地面が脈動しているのが分かる。


 シャン…シャン…シャン…


 地面が揺れてるわけじゃないのに、速くなる鼓動を感じる。その鼓動に共鳴してあたしまで息が上がってくるようで少し怖くなる。


 シャンシャンシャンシャンシャン……ダァンッ!!


 マグノリア様は錫杖を左脇に挟んで大きく踏み込んだ。

 すると地面は大きく波打ち波紋が広がるように植物が芽吹いていく。


 流れるようなステップを踏みながら錫杖を回して天へと突き出すと植物はぐんと成長する。

 勇壮に薙ぎ払って片足で静止すると、木々は幹を太くし枝葉をつける。

 地を突き鳴らせば下草が生え、回り踊れば花が咲く。


「これが大精霊の豊穣神楽ですか。圧倒されますね」


 あたしは声も出なくて頷くことしかできなかった。


 マグノリア様の踊りは続いて、さざ波が広がるように色んな木々や植物が生えて緑が広がっていく。

 だんだんと踊りのテンポが落ち着いてきて、最後に深く礼をするとあの荒れ果てた土地が緑豊かに様変わりしていた。


 あっという間に終わっちゃったように感じていたけど、時間を見てみたら一時間も経ってたみたい!


「マグノリア様凄いです!力強くて美しくて、めちゃくちゃ感動しました!」

「ふふふ、照れちゃいますねぇ。滅多にないことだから楽しんでもらえたら嬉しいわぁ」


 あれだけ激しく踊ってもマグノリア様は汗一つかいてない。ふぅと息を吐いてから椅子に座って新しく淹れたお茶を飲んでる。ささ、甘いものもどうぞどうぞ。


 紫スイートポテトを上品ながらも嬉しそうに頬張るマグノリア様は、でも…と釘を刺す。


「今起こした奇蹟は今の段階ではまやかしのようなものなのよぉ」

「まやかしですか?でもちゃんと触れますよ」

「確かに物質としてあるんだけれどね、ハルちゃんのダンジョンをしろとしてDPを対価に無理やり作り上げたから、永い時を経てこの地へと定着していくのよぉ。だから、定着する前にダンジョンがなくなっちゃうとすぐに荒地に戻っちゃうから気を付けてねぇ」

「それは責任重大!」


 それじゃあ、この魔国がこれからも平和でいられるようにあたしもダンジョンのお手入れしちゃいますか!


 マグノリア様には引き続き寛いでもらって、あたしは迷宮主腕輪からモニターを操作する。


 まずはダンジョン領域を示す大きな地図を表示。ここって周りを人族の国に囲まれてる大陸のど真ん中なのよね。

 草木の生えない荒地だから誰もちょっかい掛けてこなかったけど、緑豊かになったのがバレるのはあんまり良くないと思うの。


 だから、荒地と森の境目に小山を作ってグルっと一周させる。上から見ると、隕石が降ってきた跡地みたいな感じ。


 これなら、外からは荒地の部分しか見えないから安心ね。このエリアには緑を戻さないように気を付けないと。


 外側はこれくらいでいいとして、今度は地下ダンジョン!


 お城の北東にダンジョンの入り口があって、そこから地下空間は北に向かって伸びてた。北には森があるから、地下空間の真上に当たる部分には誰も住んでないってわけね。


 まずはダンジョン最奥の中心辺りの天井に大穴を開けちゃいます。ドゴーーーン!

 次に近くの山からその大穴目掛けて流れる川を引きます。水の計算は難しいからサポートのマイスにお任せ!

 続きまして、水の注ぎ口に当たる部分を滑らかに押し下げつつ、水の受け手になる部分を大胆にガツンと盛り上げます。

 そしたら、水の受け皿となった部分から零れ落ちた先が地底湖になるように深さを調節します。広い地底湖には子どもが遊べる浅瀬エリアや、ガッツリ泳げる深いエリアなど幅広くご用意!


 さぁ、段々形が見えてきたんじゃないでしょうか!

 今度は地下への階段に取り掛かって参りましょう。


 こちらのイメージは神秘的な鍾乳洞となっております。

 鍾乳洞入り口は間口を少しだけ広くして不気味に見えるようアレンジします。

 中はゴツゴツとした岩肌と水気滴る鍾乳石で構成して曲がりくねった道に。

 谷間を作って深さをアピールしつつ、段々と空間を広くして風を感じられるような工夫が光りますね。


 鍾乳洞から地下空間へと入る場所ではいきなりの開放感がポイント。


 地下空間の入り口側を深く掘り下げて、地底湖からの流れを作ることで鍾乳洞の谷間に水を通します。

 掘り下げた分鍾乳洞からは緩やかにカーブする階段で降りていくようにして、地下の巨大空間をゆっくりと堪能できるようにした。


 涼しさと深い闇の恐怖、それを織り成す岩の神秘を楽しめる鍾乳洞から地下空間に入るといきなりの大パノラマ!

 天井の大穴から差す光、光を浴びてキラキラと流れ落ちる滝、そして静かに佇む地底湖!緩急の付け方が憎いね!


 後は細かいところをちょいちょいとね。


 地下空間の表面を柔らかい土に置き換えてから植物を生やす。大穴から光が差す場所には果実のなる樹を植えて鳥が訪れるのを期待。

 壁面や地下空洞の天井にヤコウタケやヒカリゴケを点々と配置。暗くなってから見たらきっと星座みたいで綺麗だと思うの。

 道の端には足元を照らすように密度高めて植えていく。


 地底湖から鍾乳洞を通った水は、ダンジョンの超高性能濾過装置を通ってから地下水脈に流すことにした。

 排水とは言ってもガブガブ飲めるくらいに綺麗な水で、雰囲気作りのために地底湖の底には竹炭を細かい粒子にして混ぜ込んだ黒い砂を敷き詰める。


 地下空間中央には花畑エリアを作って、水の受け皿となる高台にかけてもお花で彩る。花の色は青系統を多めにしつつ、色んな色味も取り入れる。


 後は細かいバランス調整をして完成!今回もめちゃくちゃ力作に仕上がったわ!


 早速出来上がった地下洞エリアの観光をしに行こうと思ったら、お城の方から魔王とホルスト達がこっちに走ってくる。


 あ、聞いて聞いてー!めっちゃ良い感じになったのー!



魔国全土を領域とするダンジョンですが、扱いとしては花畑ダンジョンです。しかし、こちらは本家と違い季節が移ろうので今は初秋の気持ち良い時期です。


マグノリア様のご招待は、ダンジョンから帰った日の内に連絡済みでした。

迷宮主腕輪から花畑のダンジョンコアに繋いでメルちゃんから伝えてもらっています。


宝環を戴いた錫杖は、玉佩ぎょくはいという宝石でできた輪っかを錫杖の頭の部分に据えて、精霊銀の輪がそこに連なっているようなものだと思ってもらえたら。

宝冠を戴くような豪華な感じにしたくて使った表現です。


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