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お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
人もモンスターも虜になっちゃう!魅惑の花畑ダンジョン
12/71

12.あたしは激怒した!


ちょっと時間跳びますよーっと。


 

「今日も平和だね〜ランちゃん」

「ぐらぁうっ!」


 花畑を駆け回るドラゴンパピーのランちゃんは、召喚から一ヶ月くらいで卵から孵ったの。正式名称はハービボロスドラゴンパピーって言うんだって。名前の正式名称はラングレイスちゃん!

 生命溢れるような綺麗な緑色の鱗に赤い瞳の可愛い女の子なんだけど、男の子ならドラちゃんにしようと思ってたのは内緒よ。


 ついでに言うと、名付けの時にDPを3000Pも消費した上に、魔力もごっそり使うことになったのよね…。丸っと一日お休みして、心配したマイスにすっごい怒られたのも内緒。

 だってランちゃんが可愛すぎてついつい……あははは。




 ダンジョンの隠蔽が解けてからあっという間に三ヶ月が経った。

 すぐにでも冒険者が来るかなってみんなで身構えたけど、特になーんもない。


 だから今までの防衛力強化とエリア拡張に加えて、ダンジョン近隣のことをマイスに教えてもらう授業も増えたよ。



 このダンジョンの周りにあるモンスターが多く住む森は通称魔の森と呼ばれていて、すごく広大で奥深くに行く程強いモンスターがいるらしいの。

 ウチのダンジョンは割と浅い所にあるんだけど、すっぽり森に囲まれてるからか発見されにくいんだって。ラッキーだよねー。


 でも、魔の森には薬効の高い薬草や強靭な武器防具の素材となる魔物がいて資源の宝庫っていう認識だから、近くには冒険者の集う大きめの街があるらしいの。

 ウチのダンジョンはその街から森へと続く道からは外れてるんだけど、見つかるのは時間の問題みたい。



 そんなこんなで、最近のDP消費はほとんど拡張に使ってるんだよね。森からはみ出ないように拡張する範囲を考えながら、森の中をダンジョン領域にしてるの。

 森の中は百合とか彼岸花みたいな背の高い花をメインに配置して、蔓植物と日陰に咲くような控えめな小花で神秘的に仕上げて、所々に薔薇や木苺などの目立つ色の茨植物を植えてみた。案はずっと温めてたから、今回も自信作よ!


 この新たにダンジョン領域にした森のエリアには、今のところモンスターは配置していないんだけど、周辺の魔の森から移り住んだホーンラビットや住むエリアを広げたスケープリザードがひっそりと暮らしている。



 ダンジョン防衛のお仕事はそんな感じで、あんまりやることがないのよね。なので、最近は余った時間で物作りに挑戦してるの!

 ダンジョンと言えばやっぱり目玉は宝箱じゃない?


 アムちゃんの糸玉とか、ウッディのトレントベリーとかの素材そのままでもいいんだけど、せっかくなら装備品も用意したいと思って作ったのがこちら!


 春告草の髪飾り:朗らかな春の始まりを告げる金糸雀のような花を結晶化した髪飾り。精神に作用する魔法への抵抗力が僅かに上がる。知力+2 精神力+5


 薬草染めの手袋:クイーンキャタピラーの糸で作られ薬草で染め上げた薄緑色の手袋。つるつるとした感触で肌に心地良いのに汚れに強い。極々僅かな回復効果があり、指先に気を遣いたい女性冒険者に人気。防御力+2 器用さ+3


 樹花精のねじれ杖:魔導芯にアルラウネの葉髪、先端に花結晶を嵌めた茨のねじれ杖。樹魔法への適性が大きく高まり、水・土魔法への適性もそこそこ上がる。その反面火魔法への適性が著しく下がる。知力+25 精神力+8 器用さ+3


 髪飾りはノーマル枠で、手袋はレア枠、ねじれ杖は超レア枠って感じで作ってみたんだけど、これがまた楽しいの!


 元々日本にいた時からレジンを使った小物作りとか好きだったんだけど、ダンジョンマスターの力である程度の品質保証がされてるみたいなのよね。

 しかも魔力を使うことで、花を花結晶にしたり、茨撚り合わせて杖にしたり、お鍋使わずに薬草エキスを染み込ませたりって便利なことまで出来ちゃう。


 だから退屈することなく充実した毎日だったわ。




 そんな穏やかな日々では滅多に見ることのなかった焦った様子のマイスが駆け寄ってきたの、ちょっと怖いんですけど……。




「ハル様!森方面からダンジョンに近付く存在を確認しました!ドライアドが一体にトレントが複数です!」


 なんだか緊急事態みたい!あたしも腕輪からモニター呼び出して見てみるけど、先頭を飛んでるドライアドは酷い怪我をしてる。


「ちょっ、あの子ヤバいじゃん!おばあちゃん傷薬持って!マイス行くよ!」


 他のみんなには何かあった時のためにダンジョンコアのところで待っててもらうようにアナウンスして、コアのモニターにはダンジョン内の様子をチェックする映像を流しておく。おばあちゃんが傷薬を大量に用意している間に迷宮主腕輪マスターリングから諸々の操作をしておいた。


「ハル様!ドライアドに攻撃した者が追って来るかもしれません!こちらのローブをお召しになってフードで顔を隠してください!」


 渡されたローブを着ている間に、マイスはあたしに胸当て腰当て籠手と順に装着していく。膝下まである編み上げのブーツに履き替えたら準備完成。マイスもバッチリ戦闘準備を整えていて、おばあちゃんは大量の傷薬が入った大きな籠を背負ってる。

 迷宮主腕輪マスターリングを操作して、ドライアド達から少し離れた所に転移する。


「どんな事情があるかまだ分かりませんから、まずは私が話を聞きに──」

「おばあちゃん行くよッ!!」

「──ハル様ッ!!」


 酷い怪我をしてフラフラと飛んでいるドライアドを見た瞬間もう我慢できなくて走り出してたの。

 

 白くて半透明の妖精ちゃんが血塗れになってるのを見て、フードが外れるのも構わずに走った。

 あの子は風の妖精ちゃん達の次にウチのダンジョンに来ていた子で、よく遊びに来るからもう顔も覚えていた。

 

 あたしを見つけた妖精ちゃんはホッとした顔をしてそのまま落ちていきそうになって、慌てて手の平で掬い上げた。


「ハ…ハルちゃん、迷惑かけてごめんね…」

「謝らないでよ妖精ちゃん!大丈夫、すぐに治るから!」


 ドライアドの下にハンカチを敷いてポーションタイプの傷薬を回し掛ける。ひとまずハンカチを傷薬でひたひたにしてから身体を包んでおいて、おばあちゃんに裂いたハンカチと軟膏タイプの傷薬を用意してもらう。

 傷に薬が染み込んでシュウシュウと音を立てている。妖精ちゃんも苦しそうにしていて涙が出てきそうになる。


 音が小さくなってきたから、ひたひたのハンカチを開いて血を拭き取る。

 水魔法で手の平をいっぱいにしてゆっくり洗い流してから、綺麗なハンカチで身体を拭いて軟膏を塗る。裂いたハンカチを巻き付けて、ひとまず傷の処置はおしまい。


 深い傷があったわけじゃないから多分応急処置で大丈夫だと思うけど、体力の方がヤバいみたいだからポーションを少しずつ飲ませる。後のお世話をおばあちゃんに任せてトレントの方に向かわなくちゃ!


 トレント達の所に駆け寄ると、マイスが周りを警戒しながら事情を聞いていた。


「ハル様!急に飛び出しては危険です!!フードを被り直してください!」

「ごめんごめん。でもひとまず妖精ちゃんは大丈夫そうだよ」


 それを聞いたマイスもトレント達もホッとした顔をしていたけど、マイスはすぐに顔を引き締めて彼らの事情を説明してくれた。


「魔の森に冒険者崩れが住み着いたようで、探知能力の高い奴がねぐらの周囲のトレントを見つけて集団で襲いかかってきたそうです。トレントが傷を負ったことに気付いたドライアドが彼らのダメージを肩代わりしながら妨害しつつここまで逃げてきたと。移動の苦手なトレントが走って逃げられたのもドライアドが肩代わりしてくれたお陰だそうです」


 だから妖精ちゃんはあんなに傷だらけでヘトヘトになってたのね…!トレント達も根を痛めながら必死に走ってきたから今は動けないでいる。


「ダンジョンの森林エリアにも侵入者の気配が多数あります。そのまま攻めてくることはないと思いますが、すぐにそこまでやってくるでしょう」



 みんなが不安そうな顔でこっちを覗いているんだけど、あたし今怒ってます。ものすごーく怒ってます。



 逃げるトレントやドライアド達をしつこく追いかけて、一方的に攻撃し続けるなんて許せない!

 本来ダンジョンモンスター以外は転移させることができないんだけど、同意を得た上で追加の魔力・DP消費をすることで転移させることができるの。全然知らなかったけど、なんか出来そうだったからやるわ!


「ここにいたら追いつかれちゃうから、安全なところまで転移しようと思うんだけどいいよね?うん、それじゃ行くよ!」


 転移の準備が整う頃には森林エリアを抜けて冒険者集団がこっちの様子を窺っていた。

 これ以上手出しはさせないんだから!アッカンベーーーだ!!


 ダンジョンコアのある頂上エリアに転移して、すぐさま腕輪から砲塔マイマイ達にコールをかける。


「マイちゃんハナちゃんマイタちゃんヨネダちゃん、あいつらにキツイの一発お見舞いしてやって!!」


 はーいとのんびりした思念を受け取ると、すぐに何十本もの爆裂稲が空を駆けて冒険者集団目掛けて飛んでいく。

 わたわたと慌てるそいつらの頭上で爆発した爆裂稲は、ものすごい音と風圧で冒険者達を転がしてしまった。



 やるじゃないみんな!直接的なダメージはないけど、しばらくは目と耳が使い物にならなくなるはず!

 ふんっ!おととい(?)きやがれってのよ!!




アイテムの数字はフレーバー的な何かです。


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