34/34
おが。
お母さん。
誰かが、俺の頬を撫でている。
あたたかくて、滑らかな……手だろうか。
懐かしい。
花の様な、すこし埃っぽい匂いが鼻を掠めた。
優しい匂いだ。
「ごめんね」
ありふれた様な、でも、確かに特別な声がする。
誰に、何を謝っているんだろう?
「さみしかったろうね、美玲」
俺?
どうして、涙声なんだ?
俺は、さみしかったのか……?
「美玲……」
どうして、俺の名前を呼ぶの?
どうして、俺の頬を優しく撫でる?
「じゃあね、美玲」
あっ……。
待って。
行かないで。
「母さん」




