表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛翔する燕  作者: 髙津 央
第一章 最初の任務

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/91

16.追跡の終了

 トルストローグが足音を殺して、こちらに来た。

 ずんぐりとして鈍重そうな体型に見合わぬ、しなやかな身のこなしだ。一体、どんな訓練を積んだのか。

 三人は中腰で先程の場所へ引き返す。


 パキッ。


 ナイヴィスの足下で、小枝が乾いた音を立てた。

 心臓が跳ね上がり、体が硬直する。


 〈いいから、早く行きなさい〉

 ポリリーザ・リンデニーの言葉で、今度は弾かれたように駆けだした。

 残された二人が息を飲み、後を追う。


 ナイヴィスは倒木の前で立ち止まり、膝に手をついて乱れた呼吸を整える。

 トルストローグが、ナイヴィスの肩に右手を置いた。


 「じゃ、急いで村に戻ろう。【跳躍】は俺が唱える」

 ワレンティナが(うなず)き、トルストローグと左手を繋ぐ。

 ナイヴィスが何か言う暇もなく、【跳躍】の詠唱が終わると同時に、村の入口に立っていた。


 濃紺の空に一番星が瞬いている。

 村の家々の窓には灯が(とも)り、夕飯の匂いが漂っていた。

 ナイヴィスは膝から力が抜け、その場にへたりこんだ。


 「おい、大丈夫か?」

 「……」

 返事の代わりに涙が(こぼ)れ落ちた。

 「ちょっ……お兄ちゃん、大丈夫?」

 ワレンティナが心配して、従兄の俯いた顔を覗きこむ。

 ナイヴィスはそんな自分が情けなく、涙が止まらなくなった。


 〈あぁもう……サフィール・ジュバル・カランテ・ディスコロール、しゃんとしなさい〉

 単に気合いを入れさせる為に真名を呼んだらしい。

 魔力を籠めない命令で、ナイヴィスの様子に変化はない。


 ワレンティナが井戸で水を汲んで来た。術で支配された水が宙を漂い、少女騎士の後について来る。

 「顔洗って、それからご飯」

 「腹減ってると、ロクなこと考えんからな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
【関連が強い話】
野茨の血族」 その後の護衛任務の話。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ