第六話part6
ガチャ――私が自身の失態というか? やらかし? を思い出してるとそんな音が聞こえて扉が開いた。そしてそこから現れたのは野々野君だ。
いや、当たり前ではあった。だって私たちは二人でここにきた。このカラオケにね。でも……
「野々野君、よかった」
私はホッとしたのだ。だってあんな醜態というか? やってしまったんだよ? いきなり知り合い位の、ただのクラスメイトに告白されたら、どうしていいのかわからなくなるものじゃないだろうか?
私なら……
(逃げ出したくなる……よね)
少なくとも私はそういう風になってしまうかもしれない。自分で想像したら、受け止めきれないもん。だから……私は不自然に野々野君を観ないようにしてる。いや、どういう風に顔を合わせればいいのか? それがわかんないってのが正直な気持ち?
けど、ここには私と彼しかいないわけで、いつまでも顔を突き合わせないなんてできない……よね。けどそんな私の覚悟はあっさりと彼によって霧散することになった。
「あっ、飲み物冷たいものをもってきたよ。はい」
「あっ、ありがと」
私は飲み物を受け取った。デジャヴ? かとおもうような事がもう一度繰り返された。ここに入った時もこうやって野々野君はしてくれた。私はとりあえずその飲み物に口をつける。うん、最初に選んだ飲み物だ。
野々野君も私の事はそんなに知らないだろうから、冒険はしなかったんだろう。私が最初に選んだ飲み物なら、確実だろうとまたこれを選んだんだと思う。眠気を炭酸が飛ばしてくれる。
「どうしよっか? 一応延長はしておいたけど」
「え? 延長?」
「うん、そこそこ経ったからね。それにいつ目を覚ますかわかんなかったから」
私たちは一時間のコースでここにきてた。でも私が寝て、いつ起きるかわかんなかったから、野々野君は時間を延長してくれたみたいだ。うう……なんてことを……でも、そんな私に対して野々野君はマイクを差し出してきた。
「ま、せっかくだしさ。目いっぱい楽しもう」
そんな風にいってくれる。どういうことだ? 私はマイクを受け取って、何曲か歌いつつ思う。
(あれは夢? 私は……告白……したのかな?)
そこらへんが曖昧な感じだ。でも……それを聞くことはできなかった。だって……だってだよ?
「私って告白した?」
――とか言えるわけないじゃん。
(ええい、もう今は楽しもう!)
なんかいろいろと投げ飛ばすことにした。せっかくの野々野君との二人きりの時間だ。それに一応私は告白……恋愛感情じゃなく、力のほうね。それを告白したからちょっとはなんか心が軽くなってる気がする。
「あああああああああああああ!」
私は思い出した。だからマイクを口に持って行ったまま叫んだ。大音量の声が響く。でもそんな場合じゃない。
「野々野君手! 手は大丈夫!?」
私は思い出した。自分が犯した失態というか? 事件を。だから叫ばずにはいられない。でも……野々野君はなんでもないようにこういった。
「なにが? 手?」
野々野君の手はどうにもなってなかった。きれいなままだった。私は拍子抜けした。そして気のせいだったかって思った。うん、違和感はめっちゃある。でも事実、野々野君の手は無事だ。それから私たちは歌い合って、野々野君と少しだけ親しくなって別れた。




