第1章3話
龍司はログハウスらしき建物に案内される。この建物が一番立派だった。そこの広間で獣人の代表達と龍司がいる。
「我々の村は獣人とゴブリンやオーガと言った魔物、ドワーフやエルフと言った妖精で構成されています」
この村の代表と思われる狼の耳を生やした男が言う。
「我々はさっきも見たとおり、インパルス帝国の連中に奴隷も同様の扱いを受けております……」
さっき見た感じでそれは分かるな。
「毎月、作った農作物の9割は帝国の人間に持ってかれます。我々はここ数ヶ月、まともな食事を取れていません」
そりゃ、9割も取られれば当然だな。
「帝国に反逆しようとしても、まともな武器が無く、それも出来ない。ですが今日! 我々は希望とも言える人物に会いました!!」
この流れはまさか………
「そう、貴方様です! その圧倒的な魔力と武力! 我々を導いてくだされ!!」
そう言うと男は頭を下げる。それに続いて、他の獣人達も頭を下げる。
「お前らが苦労しているのは分かった。だけど、俺は国とか町とかを経営出来る程頭良くないし、とてもじゃないけど皆をまとめ上げれない!」
龍司はそう言って断る。だが、簡単には逃がしてくれない。
「我々が全力を持ってサポートいたします! ですから、我々を導いてくだされ!!」
そう言って再び頭を下げる。そこまでされてしまっては断りずらいのでやるか。
「分かった。引き受けよう! まずは村の状況を見たい。案内してくれる人はいないか?」
龍司がそう言うと獣人達の中から|蜥蜴人≪リザードマン≫の代表が出てくる。
「俺が案内しよう。俺は|蜥蜴人≪リザードマン≫のマインだ。よろしく!」
そう言うとマインは手を差し伸べる。龍司は帝国に名乗った名前を言う。
「俺はレブル。よろしく!」
そう言って握手を交わす。そして、マインが村の中を案内してくれる。
村は意外としっかりとしており、獣人や魔物、妖精はしっかりと共存出来ている。主に魔物が力仕事を担当し、妖精が職人の仕事を、獣人は頭を使うような仕事をしっかりとこなしている。
魔物が知能を持っていた事にはかなり驚いた。魔物は魔人から作り出された物で大量に作れる事がメリットで個々のスペックはそう高くない。だが、この村の魔物は皆それぞれ名前があるせいか、全てのスペックが大幅に強化されている。
ちなみに魔物や獣人、妖精にとって名前とはどんな物かという事を説明しよう。名前は、高位の能力者が持つというのが一般的な見当であり、高位の能力者から名前を授かる事を儀式という。そして、名前を付けられた者は名前付きと扱われる。ネームドは名前を付けた物には忠誠を誓う。それがルールらしい。
さて、名前の説明が終了したところで、村の状況を説明していこうと思う。
先ず、村の施設についてだがかなり充実している。ただ備蓄が殆ど無い。食料にしろ、武器などの素材にしろだ。先ずはこの問題を解決するところから始めるべきだと思う。
次に村の人達についてだ。やはり食料が足りていないせいか、全体的な士気は低い。食料問題の解決を早急に済ませるべきだと思う。
俺達はログハウスに戻り、今後の予定を決める事にした。
ログハウス内には獣人の代表がいた。そして、龍司ことレブルは話を切り出す。
「取り敢えず、今後の予定として、食料を蓄えていきたいと思っています」
代表達が頷いてくれる。
「農作物はどうにも出来ないから、戦闘能力の高い連中を集めて狩猟をしていきます。戦闘能力の高い種族は何がありますか?」
龍司が皆に聞く。狼の耳を生やした男がそれに答えてくれる。
「戦闘能力が高い種族なら狩猟狼がおります。その精鋭を何匹か呼び出します」
そう言って、男は外にでる。10分くらいしたら男が白い狼を5匹程連れて来た。
「これが狩猟狼でございます。この中に一匹に名前を付けるのはどうでしょう? 戦力強化になりますぞ」
名前を付けるか……。忠実な部下が居ても悪くないかも知れないな。
「なら………コクロウとかどうだ?」
俺は先頭の狼にそう言う。その後だった、魔力が吸い取られる感じがした。名付けた狼の色が徐々に黒に染まっていき、牙と爪が大きな物になっていく。そして、身体が一回り大きくなった。人が乗っても問題無いくらいだ。
「これは中々いいな。よし、マイン! コクロウ! お前らに狩猟部隊の編成を任せる」
マインは跪き、言う。
「了解しました。レブル様が満足する結果を出します!!」
それに続いてコクロウも言う。
「了解しました我がご主人」
そう言ってマインとコクロウは外に出る。
食料関係は上手く行けば問題無いであろう。まだまだやるべきことが山積みである。レブルの苦労はここから始まるのであった。
第1章4話は18時に投稿します