最終章 最終話
世界は終わらない。誰かの物語が終わっても、また誰かの物語が始まる。個々の時間は限りはあるけど複数の時間には継承があり、永遠に終わる事はない。
今までも多くの人々が歴史を作り上げた。その歴史は誰かによって伝承され、誰かに継承される。そうやって歴史は積み重なり、永遠となる。
現代。宇宙の96%は謎の物質に包まれている。その96%を解明していけば並行世界。つまりパラレルワールドの存在は肯定させるかもしれない。もしもの数だけ存在するパラレルワールド。それは無数に広がっている。
例えパラレルワールドが無数の世界だとしても、始まりと終わりは必ず1つになる。それは終焉と創造、そして開闢。これはどの世界でも同じだ。
終焉の銀河、レブルが居たあの場所は全ての世界の終わりの場所。そう、全ての世界の全ての生物はやがて彼処に辿り着く事になる。彼処に自力で辿り着いた者はもしかしたら特別な存在かもしれない。
そして、龍司が辿り着いた場所。ここが世界の始まりであり、開闢のスタート地点。そう、ここが龍司の始まりとなる場所。その名は
「果てしなき未来」
そこは上が下であり、前が後ろであり、右が左であり、左が右がある。この場所は何も決まっていない。全ての始まり。そして、始まりと終わりに立つ者それは
「ゼウス……」
『その通りだ』
龍司がそう呟くと声が聞こえる。だが、声しか聞こえない。この真っ白な世界で立っているのは自分だけだ。なのに声が聞こえる。
『よくぞこの全ての始まりの地に辿り着いた人の子よ。それは褒めてやろう』
低い声、歳をとった男の様な声が聞こえるが姿などは見えない。
『そして、貴様は我に最も近い存在となった。我は貴様のような人間を待ち続けた。やがて世界の終焉を知り、始まりをしり、この場にやってくる人間を。我は待ち続けた。何千年いや何万年いや何億年いや数え切れない年月が経った。ようやく我に終わりがやって来た』
何処からか黒い槍が飛んでくる。それは1mくらいの長さであった。
『ロンギヌスの槍。かつて我を突き刺した槍だ』
龍司はそれを聞いて疑問が出て来る。確かロンギヌスの槍で貫かれたのは
「貴方はかつてのイエス・キリストなのですか?」
『よく分かってくれた。そう、我はかつてイエス・キリストと呼ばれていた』
それを聞いて龍司は驚愕する。そして、キリストが話を続ける。
『全ての世界の我が集まりゼウスとなった。ゼウスはここに辿り着く事が出来た者がゼウスの力を受け継ぎ、ここに辿り着く者を探し続け、待ち続けなければならない。世界が何巡してもここは絶対に変わらない。ゼウスは世界を旅してここで待ち続けなければならない。ゼウスの名をここに継承しよう龍司』
龍司はそう言われる。龍司は少しうつむき考える。そして、ゼウスに言う。
「俺がゼウスを継承しよう。だけど俺は龍司であり、レブルだ。そして俺は元の世界に帰る。それでもいいなら」
『それでもいいさ。ゼウスの在り方は自身次第なのだから。受け取ってくれ。オリジナルのロンギヌスの槍を』
龍司はロンギヌスの槍を掴む。ロンギヌスの槍は掴まれた瞬間、粒子となりギャラクシア・リングに入っていく。
『いつか、何処かで会おう。我が最後の友よ』
キリストはそう言う。龍司はその世界で1人言う。
「随分と遠い所に来てしまったな」
龍司はそう言う。元々は龍司は普通の高校生だった。普通なら、進学して就職して運命の人と出会って、結婚して幸せな人生を歩む筈だった。だけど異世界に転移されてから、裏切りに会って殺されて、生き返って、色々な経験をして、ここに立っている。振り返ったら遠くまで来てしまった。
今、ルミナは戦争の中だ。ゼウスとしてやるべき事は
「さて、神様として最初の仕事をしますか」
戦争を終わらせる。そのためにはこの世界から魔力と魔法に関する技術を消し去らなければならない。だが、メビウスの輪によってルミナと日本は繋がっている為、この世界にある魔力と魔法に関する技術を俺達の世界に転移させる。
これで強い魔力を持つ魔王は完全に消滅はしないが力は限りなく弱くなり、姿とかも人間の姿になる。そして、魔物や龍人、獣人は魔力となり俺達の世界に降り注ぐ。どっちの世界もしばらくは混乱するがどっちの世界もやがてそれに順応するであろう。
無論、俺達の世界に魔力や魔法に関する技術がいけば技術の為、戦争が起きるかもしれない。リーブラの思惑通りになってしまうかも知れないが例え人間達が戦争しても、人間達は成長すると思っている。俺は人間の可能性を信じている。
龍司は手に魔力を溜める。そして、ホログラムの画面が現れる。それは地球とルミナ大陸が太い線で繋がっている。そして、その線は塞がれている。龍司は地球とルミナ大陸を繋いでいる線を開く。そして、ルミナ大陸の魔力を地球に移動させる。
「これで魔力は地球に流れ込む筈だ」
龍司はホログラムを消す。そして、1人座り込む。
龍司には未だ神になったと実感が湧かない。さっき、魔力を移動させる事が出来たのだから確実に他の者達とは違う。
龍司は立ち上がる。そして、
「帰るか。俺達の世界に」
そう呟く。
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10年後。
「彩香選手! 世界大会3連覇達成おめでとうございます。何か一言!」
「はい。私が世界大会3連覇出来たのは、応援してくだっているファンの皆さんと私と共に練習してくれる仲間、その練習を支えてくれるコーチや監督、サポーターの皆さんのおかげだと考えています。本当にありがとうございました!!」
彩香がそう言うとパシャ、パシャとカメラのシャッターが大量に切られていく。
彩香は現在、総合格闘選手として活躍している。それも今年で3連覇だ。スポーツ新聞や雑誌などの1面には彩香が出て来る事であろう。
彩香は記者会見が終わると1人車を運転した。その時に彩香のスマートフォン端末がなる。電話のようだ。名前は本多美香と出ている。彩香は電話に出る。
「どうしたの?」
『直ぐにテレビをつけて! 龍司君らしき人がテレビに出ているのよ!!』
彩香はそう言われて車のテレビをつける。それは科学者による記者会見の様子だった。魔力発電に関して内容だと、テレビに出ている。
異世界の転移から10年間経って、魔法に関する技術は飛躍的な上昇を見せた。10年前に突然、魔法に関する技術の書類などが発掘された。その時点では皆、おとぎ話と思っていたがその2年後に、魔法は存在すると各国の優秀な研究者は言った。そして、魔法を使える者が徐々に増えてきて、アメリカの科学者のロビンは誰にでも簡単に魔法が使用出来る端末、魔法器具の開発に成功した。その時点では魔法器具はリュックサック型とかでサイズは大きく重たい物であった。
だけど、年月を重ねる事で魔法器具は小さくなっていき、アクセサリー型の物なども開発された。
今、世界には無限という魔力に満ち溢れている。その魔力を動力として発電する魔力発電の開発が今日終了した。
記者会見が始まり、白衣を着た身長190cmの男がマイクを持って立ち上がる。彩香はそれを見て驚愕する。それは龍司そのものであった。その男に向かって記者が質問をする。
『この魔力発電は快挙と言っても過言ではありませんが、実用化についてはどれ位かかると考えていますか? 龍司さん』
彩香は記者の最後の言葉を聞き逃さなかった。彩香は電話越しに聞こえる声を聞く。
『確かに龍司と言ったわよね?』
「言いましたね。確実に」
記者の質問に龍司が答える。
『この魔力発電を実用化するのはもう少し時間がかかるでしょう。魔力発電はコストの面で問題が多々ありまして、企業向けへの公開には時間はかからないと思っていますが一般向けへの公開はまだ先になると考えています』
彩香のその声を聞いて涙を流す。確かに龍司の声だ。終焉の銀河で別れた時の龍司の声だ。彩香は車の中、1人で呟く。
「おかえり。龍司」
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2013年5月 高校生の集団失踪事件が起きる。
警察が集団失踪の捜査を開始する。
2013年7月 捜査は難航した。警察は人員を多く派遣する事を決定する。
2013年9月 1部の人を除き、集団失踪の高校生達が帰還。それと同時に魔力と魔法に関する技術が地球に流れ込む。
2013年10月 魔法に関する書類が大量に発見された事を機に各国は魔法を研究。
2015年10月 ロビンによって魔法器具が開発される。魔法の実用化によって科学の面でも急激な成長を遂げた。
2017年 アメリカの研究者がVR仮想技術の発表が行われる。実用化はまだ先だが十分な快挙である。
2020年 VR仮想技術を利用したPCが企業向けに発表される。低コストで多くの機能を持つこれは多くの企業に取り入れられた。
2021年 VR仮想技術を利用した端末が全世界で一般向けに発売される。売り上げは1週間で100億であった。
2023年 細川龍司が魔力を使用した発電機関、魔力発電の開発に成功。発表をする。
2025年 仮想技術による端末が普及する中でスマートフォン端末は大容量化する事に成功。これによってスマートフォン端末の使用者も少しはいるようになった。
2029年 細川龍司が新型の魔力器具を開発。公開はしてなく、それを知る人物は殆どいなかったが龍司は1部の人間に手紙と共に新型の魔力器具を送った。
2030年 細川龍司。撤退を発表。そして、再開した舞花と結婚。式は上げずに2人で静かな場所に住んだと言われる。
2033年 龍司達は子供を授かる。一卵性の双子だった。
2035年 龍司の自室で大量の血痕が発見され、そろと同時に龍司が何処かにいなくなる。警察が捜査した物の手掛かりを掴む事は出来なかった。
2036年 龍司の葬式が行われる。
2040年 科学技術は飛躍的な進化とげ、魔法も科学として分類される事になる。
2050年 アフリカで巨大な戦争が起きる。
2060年 アメリカ、日本軍によりアフリカでの戦争は終結する。だが、各地では小規模の戦争やテロなどが行われる事となる。
そして、2100年 龍司のひ孫のとなる細川翔王、細川皐月が産まれる。
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2100年。アメリカのとあるビル。
「い、命だけは助けてくれ。頼む!!」
高そうなスーツを着た男性がそう言う。男性がいる部屋には死体と思われるものが多くある。
「兵器をアフリカにいるテロリストに送り、大量の金を手に入れていた。大統領は始末しろとだけ言った。信頼に関わるからここで死んで貰うぞ。じゃあな」
「なっ……ちょ」
バン、バン!
そう言った音が部屋に響く。銃を撃ったのは黒いスーツにシルクハット、サングラスをした190cmの青年であった。
「これで仕事は終わりか……。さて、次の仕事に向かうか……」
その男の銃にはこう刻まれていた。
REBELと
あとがきを後から投稿します。