第2章4話
ジリリリリ!! こんな感じの音の目覚まし時計がなる。何処の世界も目覚まし時計の音はこんな物なのか!? そう思いながら目覚まし時計を止める。時計の針は5時を指していた。扉の向こうには特殊部隊が見張り番をしている。
予定では朝食は6時。それまでにクローゼットにある服を着て用意しろとの事。俺はクローゼットを開ける。
クローゼットの中には俺のロングコートとミリタリーカーゴ、軍のバッチが付いたブレザーとズボンが入っていた。ブレザーの色は黒を基調として赤いラインが入っている。ズボンは完全に黒である。後支給品の黒いシャツが入っている。
俺は着替える。通っていた高校は学ランではなくてブレザーなので学校の制服を着ている気分である。そして、黒のネクタイを締める。
着替え終わったら今日の予定を見る。今日は朝食後、軍の機動兵器、新型兵器の視察と評価に行くらしい。俺からの視点での評価も頼まれている。帝国軍はなんだかんだ言って、軍事関連の技術が進歩している為、どんな兵器なのか楽しみである。機動兵器なんて架空兵器の代名詞である。凄く楽しみだ。
そんな想像を膨らませているうちに、いつの間にか時間が過ぎていて、扉がノックされる。
「おはようございます。朝食の準備が出来たのでお迎えに上がりました。どうぞ此方へ」
扉を開き、フロールが言う。俺はフロールについて行った。
朝食は夕食とは違ってバイキング形式で大きな会場でやるとの事だ。1階に会場があって、大きく立派な扉と受付が扉の前にある。フロールが受付で2枚の紙を渡す。受付が紙を確認すると扉を開ける。俺達はその扉に入って行った。
扉の中は凄く広くて、また多くの人がいる。その殆どが俺が着ている服と同じ物を着用している。フロールとかはチャイナドレスだが、他にも支給品の服を着ていない人は何人かいる。
手前に多くの種類のお皿。そして、それを入れる様のトレー。コップはガラスの長細い物とティーカップに分かれている。
俺はトレーの上にお皿を幾つかのせる。そして、食べ物が置いてあるところに向かおうとする前にフロールが話しかけてくる。
「朝食は基本的に自由行動です。時間が来ましたら此方から声をかけます。それまでは貴方の自由にしておいてください。それではまた」
フロールはそう言うと、食べ物を取りに行った。どうせ、この場で暴れても数の暴力で阻止されるし、ここは大人しく朝食を食べよう。
俺は適当に卵系の料理と野菜、ハムとベーコン、パンを取って席に座る。村に居た時は殆どの食事が肉類で、野菜やパンは滅多に見なかった。ブリリアントでは結構食べていたが、村とハクシャクの屋敷の生活の方が色々とインパクトが強いので完全に忘れてた。
「隣いいか?」
そう聞いてきたのは長身、190cmくらいの金髪のショートで胸の部分に多くのバッチを付けている。
「いいですよ」
レブルはそう言う。彼はトレーを机に置いて座る。そして、彼が自己紹介をしてくる。
「アッシュ・クレストだ。機動兵器隊の1番機だ。よろしく」
「レブルと言います。よろしく」
「君がレブル君か、丁度良かった。今日は君の護衛と機動兵器の解説を担当する者だ。もう1人いるが、その時に紹介しよう」
この人も護衛をしてくれるのか。今思ったけど服装といい、技術といい、何故帝国とブリリアントで差がついたのだろうか? やはり立地条件で差が出たのか? 魔力工学を取り入れているのが1番大きいであろう。
朝食をゆっくりと食べる。食べ終わると同時にフロールが声をかけてくる。
「時間になったので迎えにあがりました。此方へ」
俺はそう言われて席を立つ。トレーはその場に置いていいようだ。アッシュが話しかける。
「また会おうレブル君」
そう言われてレブルも返す。
「その時はよろしく」
そう言って、レブルはフロールについて行く。舞花も俺と同じ所に行くのだがスケジュールが違う為、別行動となる。舞花の護衛にアリスと別の護衛が居て、レブルの護衛にフロールとアッシュ、後1人居るらしい。
フロールと共に玄関から外に出る。レブルは一瞬、目を疑う。外見は馬車が機械化した様な見た目だがあれは確実に自動車である。偶然なのか工業系の行き着く先は自動車なのか!? まあ、そんな事を気にしている余裕が無いので機械馬車に乗り込む。運転は軍の服を着た軍人が担当するらしい。
中は普通の自動車だが、ハンドルやアクセル、ブレーキと言ったものは無く、クリスタルが2つあるだけである。拳3つ分の球体が運転席の両脇にあるだけだ。運転手は右にある球体に触れる。そして、少し前に球体を転がすと機械馬車が動き出す。
この世界に着て、信じられない事ばかりだったがこれが1番信じられない事だ。異世界まで、自動車らしき物があるとは魔力工学はかなり便利だと思った。
次は昼に投稿します。