表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャルロットの日常  作者: アルタ
暗号解読プログラム
14/64

5 ☆3

「これ、アルファベットを3つずつずらしたら、丁度合いますね」

「「「あ」」」

 一部の妖精がぼちぼちとそのからくりに気づき始める。

「そうです、そうなのです。

 換字式と呼ばれるこの方法はローマ字に変換して行う方法です。

 例文の1文字目「H」は3つずらして「H」→I→J→「K」になります」


 「H」→I→J→「K」け

 「B」→C→D→「E」

 「K」→L→M→「N」ん

 「G」→H→I→「J」

 「V」→W→X→「Y」じゃ

 「X」→Y→Z→「A」

 「K」→L→M→「N」の

 「L」→M→N→「O」

 「Q」→R→S→「T」と

 「L」→M→N→「O」

 「R」→S→T→「U」う


 だから問題の「YIXZH」は「BLACK」→「ブラック」→黒が正解です。


 「Y」→Z→A→「B」

 「I」→J→K→「L」

 「X」→Y→Z→「A」

 「Z」→A→B→「C」

 「H」→I→J→「K」



 ここまで終わったところで、シャルロットは一回休憩を入れることにした。

 頭から湯気を出しそうな妖精もいる。とりあえず30分の休憩時間を設けて、甘いもの補給とばかりにティータイムを提案すれば、子供達も大賛成した。


 今日のおやつはベルギーワッフル。粗めのザラメを入れて、型で焼いたベルギーワッフルは食べると甘さが染み渡るようである。

 温めたミルクを飲み干せば、緊張していた頭がほぐれるような錯覚に陥るな、とフォルスはマグをテーブルに置いた。ツンドラは3個目のベルギーワッフルに手を伸ばしている。セブルスは珍しく、これまでの問題の復習をしていた。


「今日はあと2問です。最後まで頑張って考えたら、今日使った自動速記ペンをあげるので頑張ってね」

 彼女の言葉がやる気にさせたのかもしれない。



 では一息ついたところで4問めです。


「レッド」→「34.51.41」、「ピンク」→「14.42.43.13」、と表した時、

「21.23.15.51」と「55.51.23.23.53.35」を混ぜると何色になるか?


「ヒントはレッドをRED、ピンクをPINKと英語に変換してくださいね」

 シャルロットが付け加えると、

「グリーン」「緑」「黄緑?」「青と黄色まぜたら何色~?」

と、バラバラと答があふれはじめた。先ほど食べた格子状のベルギーワッフルからヒントを得たのだろう。多くの生徒の紙には5×5のマトリックスが書かれていた。


「なーんかこの数字に、法則があるような気がしたのよね」

「数字も1から5までしかないからね」

 ツンドラとセブルスが再度答えを確認している。


 そう、この暗号は5×5のマスに埋めるマトリックス形暗号なのだ。

 つまり、左上のマスを11、行を10の位・列を1の位として、下記のように箱に住所のような番号をつける。


1112131415

2122232425

3132333435

4142434445

5152535455


このマスに「レッド」→「34.51.41」と「ピンク」→「14.42.43.13」を入れてみる。


  KP 

     

   R 

DIN  

E    


 今度は左端からアルファベットで埋めていくと、例文と一致する。


AFKPU

BGLQV

CHMRW

DINSX

EJOTY


 最後に問題文のアルファベットを捜して当てはめると……


「21.23.15.51」→「BLUE」(ブルー)

「55.51.23.23.53.35」→「YELLOW」(イエロー)となる。


 よって答は、青と黄色を混ぜた色ということになり、緑が正解なのだ。



「今日の授業はレベルたっかいなぁ……面白いけど」

「確かに。ただ、パターンをある程度知っておけば、今後似た問題に直面したときの糸口になるかもしれない。今日の授業は、解くための柔軟な頭がないといけないというのではなくて、そういう考え方があるということの紹介みたいなものだからね」

 そういいつつも彼女は、かなりの人数がついてきていていることに驚いていた。ベルナーが一体どんなスパルタ教育してるのか気になるところである。



 では最後の問題です!

□□□■=1、□□■□=2、□■□□=4、□■■■=7のとき

■■□■はいくつでしょう?(注意;多分高校レベルです)


 


 最後に数学らしい問題をもってきたところ、皆うんうん唸ってしまった。

 この暗号を考えたのはミカエリスだ。(本物はもっと難しくて入り組んでいるため、問題として出す時には途中まで解いた状態で出題しているが)。記号と数字の列の暗号作りは彼の得意分野で、当時いろいろなものを並べては考え込んでいた記憶がよみがえる。


「数字を見すぎて……いまじゃデリバリーサービスの電話番号まで暗号に見える」

 そう言って額に手を当てながら、ピザの配達を頼んでいたのはいつの話であったか。


 アカデミーの妖精さんは大抵研究職が大半だ。

 しかし、彼は研究者の資格を持ちながら、進んで実験助手と秘書を希望した。どちらにウェイトが置かれたかといえば、明らかに後者である。(彼女は自分が結構大雑把だったから見るに見かねたと考えていた)。


 研究がしたかったなら、個人で研究室をもてるほどの実力だったのに、どうして助手になりたいと思ったのだろう。


「シャルロットさん、わかったよ」

 そんな思考は、フォルスが手を上げたことによって中断される。



 彼が個人の研究室を持ちたくなかったのかどうかは分からないが、自分がいなくなった今、アカデミーいち大きな研究室は彼のものになる。ただ、彼女は活躍を祈ることしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ