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138.砂の王国への道しるべ

 

 ぎらつく太陽を反射するおれの身体。

 暑さは感じないが、孤独な空でモニターをチェックすると、義体の内部が熱さでアラートを発している。

 おれは氷魔法で冷えた車内へ退避した。

 準原始化を果たしたギアを搬送用クーガーに収め、マクベスが水を飲みながら戻った。

 彼はこちらを覗き、いぶかしげな視線を向けている。


「君が運転するの?」

「敗戦後気落ちしているマクベス君にそこまでさせないよ。さぁ、行こう」


 不安そうにそろそろと助手席に乗り込むマクベス。


「安心して。この義体は砂漠の砂が入り込まないよう対策済みさ」

「グリム君運転できたっけ?」

「誰がこのクーガーを開発したと思ってるんだよ。運転だったら誰にも負けないさ。出発進行!! ブーン!!!」


 魔力を注ぎ、アクセルを踏むと急発進でバックした。

 後ろの岩に激突した。


「……はぁ、はぁグリム君」


 マクベスが険しい顔でこちらを見つめる。


「……くそ、こんなときに故障だなんて!」

「ギアチェンジしろよ」


 運転を代わってもらった。

 ラクチンだ。


「気にすることないさ。おれはこの義体を操作しながら、運転までしてたんだ。無理もないさ」

「自分に言い聞かせてるんだね」


 砂漠の起伏の激しいコースをマクベスは難なく進む。

 おれのナビがいいからだと思う。


 古代のガーゴイルを眠りから起こした過激派の拠点は壊滅状態。因果応報、同情の余地なし。

 岩場に囲まれた集落は見る影もなく、地割れのような巨大な穴に飲み込まれている。

 空から見下ろす『アトラス』の視点だと、その中に興味深いものが見えた。


 地下への入り口だろうか。


《妾の国よ。お入りなさい、坊やたち》


 不意に通信装置から特徴的な一人称の声が聞こえた。


「妾?」


 マクベスが聞き慣れない言葉に首を傾げる。

 彼ら到達者は親切にも現代語を話すが、この人はちょっと引用が古い。

 声音は機械音だから誰だか分からないが、十分だ。


「妾さんっていうんだよ」

「ああ」


 理の世界では、金ぴか装飾だらけで黒髪の女の人だった。機士というより女王様って感じ。


《無礼な……妾はシャムマヌル・アスラム・クシャナーン、クシャナーン国女王であるぞ……はっ!! 妾に名乗らせるとは、無礼者な!!》


 本当に女王様だったか。


「よろしくね、シャムさん」

「シャムさん……初めましてマクベスと言います」

《略すな、無礼者めら!!》



 原始系『ガイア』の機士。

 シャムさん。おもしろい人だ。


 《妾の秘宝に触れることを許す。早よう、妾に義体を献上なさい》


 古代のガーゴイルがいたなら、神器があるのは推測できる。

 神器は元々原始系ギアの専用兵装であり、彼ら到達者の死後、討伐困難なガーゴイルを釘付けにするため使用された。


 過激派はその神器を移動させたのだろう。

 原始系と同じく神器もガーゴイルは吸収できないため、あの穴の中にあるはずだ。



「仰せのままに女王様。女王様ナビお願いします」

《うむ、そこをこう道なりに、その岩場に傍に停めて……はっ!! 妾に案内をさせおったな、万死に値する!!》


 シャムさんノリ良いな。


「女王様で遊ぶなよグリム君」

「いや、穴の中からって意味だったんだけど」


 もう目の前に見えてるんだから道なりに進むだけだ。

 巨大な縦穴に着いた。


「それで、シャムさん。あそこにあるのは何ですか?」

《知らない》

「いじわる言わないで」

《知らない》

「もしかして、呼び方ですか?」

《妾、もう知らない》


 めんどくさいな女王様。




 ヴィルセナを二番目にしたのは必須だったが、三番目をこのシャムさんにするのは成り行きだ。


 義体の視点映像や、『アトラス』の視点映像から視線を逸らし、別のモニターで戦況を確認することにした。


 確認したのは別の映像だ。

 南部都市に到達するサソリ型のガーゴイルは、ルージュ殿下が纏う表向きの専用機『メサイア』との戦闘中。


 到達者たるルージュ殿下の前に、古代のガーゴイルはひっくり返っていた。

 


《この程度か、もっと私を楽しませろ!》



 問題なさそうだ。

 ルイスという男は消えたな。

 逃げたか。だが、落とし物をして行ったな。



 飛び散ったガーゴイルの破片の中に、通常とは違う金属体が太陽の光をひと際反射し、砂の上を揺蕩っている。

 マクベスを退けた神器はギアと共に取り込まれることなく、入手確定。


 あれを元に、義体を造ることもできるわけだ。

 シャムさんは、後回しにされるかもしれないとわかったらどうするかな?

 おれの脳裏に、これを交渉のカードにしてシャムさんに言うことを聞いてもらう筋道ができたとき、同時に何かが引っかかった。


 マクベスの話ではルイスは水属性の魔法を用いた戦闘で、あの流体状の神器を使っていたという。

 本来のパフォーマンスを発揮しないのなら使い捨てても良いと思ったのだろうか?


 あの神器特有の理由で、要らなくなったのか?

 そこに、フェルナンドが神器を収集しているヒントがあるような気がした。



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