表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/195

137.神の扉を開く者

 


 英霊一の曲者ボーイがいる。

 名前はヴィルセナ・バビリムス。

 重力を操る原始『ネフィリム』の機士だ。


 他の機士が、イシスの義体完成を知るや否や、「おれもおれも!」、「妾も妾も!」と騒ぐ中、彼はおれに忠告してきた。


『順番を間違えるなよ。おれはお前の勝利に貢献できる』


 ヴィルセナの提案は、無視できないものだった。

 だからルージュ殿下に頼み、空中都市までお使いに行ってもらった。

 そして、彼の要求は、義体では無かった。



 ◇


 砂漠のど真ん中で彼を見つけた。

 おれは傘を差しだした。



「日焼けしちゃうよ?」

「誰?」

「ぼくだよ、ほら、砂漠の妖精だよ」

「砂漠の妖精とは、まだ知り合ったことが無いよ」

「どんな願いも叶えてあげよう。ただし、相応の対価をもらうよ」

「いいから早く助けてよ、グリム君」



 さすが、親友。

 この姿になっても、おれに気づくとは。



「ねぇ、今のぼくかっこいい?」

「街で会っても避けて通るよ」

「そっか」



 おれは血まみれのマクベスを抱きかかえ、ギアに乗せた。



「これは、おれの機体……どうしてここに? おれはどうすれば?」

「魔法の言葉を唱えるだけさ」



 マクベスは笑らって唱えた。



「神様、ちょっとズルさせてください」



 マクベスが機体と共に発光する。

 この不思議現象、無条件準原始化の逆転作用が働き、原始化に求められる状態が備わる。


 身体の傷、疲労は消え、魔力は十全に回復し、属性魔法を獲得。



 これはフリードマン大佐の功績だ。

 個人的に今年のグリム賞を進呈しようと思うぐらい、思わぬ効果を実証してくれた。


 おれの想定していた無条件とは、失敗のリスクがないことだった。


 だが戦闘中という、原始化に相応しくないコンディションで原始化を要求したことで、この逆転現象を引き起こした。


 いや、もちろん全くの予想外では無かったし、狙っていなかったわけじゃないし、もしかしたらあるかもとはもちろん気づいていた。

 ただ試していなかっただけなんだからね!




「さぁ、戦士マクベスよ!! 復活したまえ!!」

「はいはい。……情報部の皆さんは?」

「三人は亡くなっていたよ。君のせいじゃない」



 事情を聞いた。

 フェルナンドはマクベスに代わる戦士を手に入れたようだ。



「仇はとる。古代のガーゴイルは?」

「それは大丈夫。殿下がいるから」

「南部に? それも君がここに突然現れたのと関係が?」

「まぁね」



 聞かれたから答えよう。


 カンタンだ。



 ヴィルセナは、自らの魔力を宿した『ネフィリム』の欠片を『アトラス』に搭載させた。



「それってダイダロス基幹の空の中継局じゃなかった?」

「そう。アイゼン侯に製造を頼んでいた隠密ドローンだよ」



 ヴィルセナは空中から座標を特定する眼を求めた。


『お前が用いる重力魔法は、闇魔法の一端に過ぎない。闇魔法の本質とは――』

『空間の制御』

『そうだ。闇魔法は空間と空間の間の距離をゼロにする』



 英霊を宿した『アトラス』の指示を、空中都市のシステムが認識し、闇魔法の極致たる現象を起こす。



 ワープだ。



 ヴィルセナはこれを『神の扉』と呼ぶ。



「そんなことが?」

「まぁ、都市のシステムの演算能力をフルに使うわけだから、限度があるけどね」

「……グリム君、君がその義体を使っているのはその力と関係があるんだろ?」

「……」



 さすが親友。お見通しか。



 ヴィルセナの要求はおれだった。



『扉を開く闇魔法の者はお前しかいない。この時代で敗北したとき、お前だけは生き残れ』



 要するに、バックアッププランだ。



『地上に降りるな。それが最も合理的だ』

『え? 寂しくなったらどうするの?』

『なるべく早く勝つことだな』



 おれは空中都市に捕らわれている。

 寂しい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
***書籍発売のお知らせ***
書籍第2巻

『ギア×マジックの世界でエンジニアとして生きていく~転生者は悪役皇女を救いたい~』
[KADOKAWA エンターブレイン様より1月30日発売!!]
i1075979
↑画像をクリックしたらAmazonの予約ページにとびます

パワードスーツタグなろう史上最高ポイント作品!!
ヤナギリュータ様の細部にこだわりぬいたメカデザインは必見です!!
随時情報はXにて更新中!
― 新着の感想 ―
前から思ってたけど、書籍化決定したあたりから地の文での説明が少なくなって、作中でどんな状況なのかわからないことが多い
実際グリムが生きてれば負けはないからな。 というか歴代到達者がチートすぎる。
義体使用しての暗躍はもはや、悪役なんよな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ