プロローグ
強い光に目を細めながら、ゆっくりと目を開いていく。
「ここは、どこだ?」
気がつくと、見知らぬ草原の真ん中に立っていた。
周囲を見回しても空と草以外は何も見当たらない。
ほっぺたをつねっても、、、痛っ。
どうやら夢の中ではないらしい。
さすがにおかしいと思い自分の記憶を探ってみる。
俺は鈴原健、17歳で帝都高校2年生。
「よし。基本的なことは思い出せるな。最後の記憶は、、、」
突然、光景が頭の中にフラッシュバックする。
「そうか、、、。」
頭の中に映った光景は、視界いっぱいに広がるトラックだった。
登校途中の信号待ちで靴紐を結ぼうとして、突っ込んできたトラックを避けられなかったんだ。
「俺は死んだのか?」
ゆっくりと空を見上げる。
目の前に広がる青い空と、永遠と続くような草原は現実の世界とは思えない。
しかし、ここであることに気がついた。
「にしては、この格好トラックに轢かれたのに綺麗だな。しかもこの穴、俺が今朝転んだ時のやつじゃないか?」
制服の右ひざには10円玉ほどの穴が開いている。
さらに、念のためにと全身に異常がないか確認してみる。
四肢は動くし問題はなさそうだ。目立つとこにも痣や傷は見当たらない。
ポケットの中身も、家の鍵やパスケースがそのままだ。
と、ひとつ気になるものが。
「なんだこれ。」
右のズボンのポケットから『マウテ』と書かれた1枚の紙切れが出てきた。
見覚えのない紙に少し戸惑うが、そんなものにかまっている場合ではない。
「困ったな。ここが死後の世界なのか、俺はまだ生きているのか、何か判断できるものは無いのか?」
思い悩んでいると、遠くから声が聞こえた。
「おーい!そこの不思議な格好の方ー!」
声のする方を向くと、少し離れたところに、1台の馬車とこちらに向かって走ってくる男が見えた。どうやらその男が声をかけてきたらしい。
息を切らせながら走ってきた男は、30代~40代だろうか、かなり恰幅がいい。
そして俺の目の前まで来て目を輝かせながらこう言った。
「その奇妙な格好はもしかして、『転移者』の方ですか!?」
俺は思わず言葉を失った。
「ああ、突然すいません。名を名乗っていませんね。申し遅れました、私は商人をやっている、ニール・ギャロといいます。ぜひ、ニールとお呼びください。あの、お名前をうかがってもよろしいですか?」
「あ、俺は鈴原健です。な、なぜニールさんは俺が転移者だと思ったんですか?」
「ニールで結構ですよ、私もケンと呼ばせてもらいます。その顔は、相当驚いているようですね。詳しい話は私の馬車の中で話させてください。今来たばかりで、この世界のことを何も知らないのでしょう?」
「ま、まあそうですけど。。。」
話もほどほどに、ニールは俺を馬車の中に押し込み、馬車は出発した。
のんびり投稿していくので、どうぞお付き合い下さい。




