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驚きの発見は
夏でも冬でも使える家具調こたつに、とうとう布団を掛けた。一人暮らしの小さな部屋に、ピンクの小花の散った上掛けが広がって、温かそうで、かわいい。長座布団も、二つ用意した。
さっそくスイッチを『大』にして、中に足を入れる。
「すぐあったかくなるよ、入って、入って」
こたつを出すのを手伝ってくれた彼氏に、向かいの長座布団を指してすすめる。
でも、彼は腰でぐいぐい私を押し退けながら隣に座った。
長座布団に二人のお尻はおさまったけれど、一人暮らし用に買った小さなこたつの一辺に、二人分の足を入れるのは、ちょっと無理がある。
ぎゅうぎゅうで、腿からくるぶしまで、ぴったりくっつく。……もちろん上半身も。
私を転ばさないように腰にまわっていた手が、背中を撫でて、肩にまわった。抱きよせられるままに顔を上げれば、自然に唇がよせられて。
そうか、長座布団はお昼寝に使うだけじゃなかったんだ。
驚きの発見は、ふれあった唇に、あっというまにはじけて消えた。