ヴィヴィ王女、洞窟から出る
ヴィヴィの身体を一通り堪能したあと、盗賊はニヤニヤといやらしい顔をヴィヴィへ向ける。
「なかなかだったぞ。これなら俺専用にしてもいいな」
「……消す、殺す、絶対に潰す!」
呪詛の声をあげるも、盗賊は鼻で笑い飛ばす。
「元気がいいじゃないか。それに最後の方はお前だって楽しんでいただろ」
「……消す、殺す、絶対に潰す!」
もっと笑え、もっと気持ちよさそうにしろ。隷属の首輪を付けたヴィヴィは、命令に逆らう事はできなかった。
隷属の首輪が付いている以上、主人である盗賊には逆らえない。
強がってはいるが、やる時には言葉に逆らえず従順になるツンデレビッチである。
「くそ、くそ!この、この首輪さえ外れれば!」
首の皮膚に張り付き、同化している首輪。
無理にはずせば皮膚が破れ死ぬかもしれない。
死すらも、ヴィヴィにとっては解放のように思えたが、隷属の首輪の効果なのか、自分の身体に傷を付ける事ができない。
「やるぞ」
「休んでいいぞ」
「よし、やるか」
「寝るか」
薄暗い洞窟の中、盗賊は戦利品としてヴィヴィを何度も使用した。
妊娠しないように術をかけているが気分がいい物ではない。
「どうすれば自由になれるのかしら……」
そんな事に思いを通わせながら、1日。また1日。
「やるぞ」
「……絶対に許さない!絶対に!」
二月ほど過ぎた頃、盗賊はヴィヴィを抱きながら、こう言った。
「飽きてきたな」
飽きた?何に?顔にハテナを浮かべるヴィヴィに、盗賊は言った。
「毎日、数回。二ヶ月だろ?同じ身体を抱いてたら飽きてくるだろ」
最初、何を言っているのか理解できず首を傾げるヴィヴィは、その意味を理解すると……
「は、はぁぁぁぁ?な、なら解放しなさいよ!!この首輪を外しなさいよ!」
「んー。解放なぁ、解放してもいいんだが……せっかくの戦利品だし勿体無いなあ」
そして盗賊は少しばかり考える素振りを見せ、ヴィヴィの裸体をジロジロと眺めた。
「……売るか」
「……!そ、そうよ!売りなさい!私を売りなさい」
ヴィヴィは久々に洞窟から出て、大きく息を吸い込む。
腐ったような匂いも、カビの匂いもしない。
草木の香りが漂う洞窟の外の空気を大きく吸い込んで、
「……」
喜びとともに、洞窟から外に出られたという小さな事で大きく喜んでいる自分が情けなくなる。
「よし、町へおりるぞ」
町へと降りる盗賊についていくヴィヴィ。
辺境とはいえ、この辺りはラング王国領内だ。
ヴィヴィの顔を知っている者がいるかもしれない。
盗賊を取り押さえて、首輪を外させた後……どうしてくれようか。
ヴィヴィは聖女らしからぬ暗い笑みを浮かべながら、盗賊についていく。
「ちょ、ちょっと。町はこっちでしょ?」
「あ?バカか。俺がまともな町に入れる訳がないだろ?賞金首に決まってる」
そして付いた先が……。
「え、オークの集落?な、なんでこんな所に!?」
町を超えた山奥に、オークの集落があった。
「安心しろ、ここに悪いオークは居ないから」
「悪いオークも何もモンスターじゃない!」
そして盗賊は笑いながら、ヴィヴィに向けて言った。
「こいつらは町を襲わないんだ」
オークの繁殖は人間の女が必要になる。
繁殖に必要だから、人間の女をさらう為に町を襲う。
ゆえにオークは悪である。
「ここのオークはな、女を買い取る方を選んで発展してきたんだ。さあ、いくぞ」
ヴィヴィは睨み付ける事もできず、
青ざめた泣きそうな顔で盗賊とオークの集落を眺めた。
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