第一回 ビクトンお世話選手権 ~ 抱っこの部~
さーて!やってきましたお世話選手権!競技は『抱っこ』『授乳』『子守唄』の三本勝負!負けたほうには罰があるぞー!
“ってことでまずは戦乙女様からでお願いします!”
「どういうことかはわかりませんが抱っこ致しますね。やはり勝負は初撃で決めるに限ります。女神との格の違いをみせてあげましょう!」
宙に浮くビクトンを優しく抱きしめその豊な胸元へ頭が全身が触れるようにきちんと抱きしめる。
これは、なんという大きさ!なんという柔らかさ!人を駄目にするクッションがまるでごみのようだ。それに戦いをメインとする方なのに手にはまめなんて一切なくスベスベだ!さらにはこの12の銀翼によるそよ風!素晴らしい!腕から豊かな胸から心地の良い熱が伝わってくるなか優しく頬をなでる風!最高に心地が良い!そして誰だよ血の匂いがするとか言ったやつは!ほのかに甘さはあるもののすっきりとしていてとてもいい匂いではないか!理性が壊れちゃう!
「ふふ、さていかがでしょうかビクトン。抱かれ心地は悪くないものと自負しているのですが、やはり殿方から褒めていただきたいものです。」
凛とした方が頬を赤らめるのはなんというかいいね!あーこのままでいたいです。
“戦乙女様素晴らしいです!最高です!”
頭がぼーっとしてきた。なんかもうどうでもよくなってくるよねー。
「それは嬉しいですね。おやおや大きなあくびまでして。ふふっ。」
微笑みながらほっぺをツンツンしたり時には頬ずりしたりしながら可愛がる戦乙女。それを見ていて面白くはないのは女神様。現状戦乙女の後ろ姿しか見えない。
『むぅーーーー!その羽むしり取ってやろうかしら!羽を使って扇ぐなんて卑怯!ビクトンもビクトンよ!素晴らしい!とか最高!とかいい匂い!とかとかぁーーー!まぁ、美の女神たる私の匂いなんてにおい立つような艶やかさと甘露といってもいいような素晴らしき香りだし、無駄に大きくなくベストな大きさと美しい乳房、そして滑らかな肌!』
己が体を抱きしめ天を仰ぎ歌うように紡いでいく。
『ビクトン、その程度の胸で肌触りで匂いで壊れてはだめよ。そんなものは底辺!上位も上位一番を味合わせてあげるわ!戦乙女交代よ!』
スイッチが入ったかのように動作には色香が混じりその艶やかさは他の追従を許さず見ているものすべてを虜にできるものであった。そして時に頬ずり、ツンツン、ちゅー、っと好き放題やりたい放題していた戦乙女からビクトンを奪い抱っこする。
艶やかな笑みを浮かべ儚いものを扱うかのように優しく抱きしめる。まるで慈愛に満ちた女神のように抱きしめる。
『さぁ、ビクトン。これが最高というものよ。』
勝利を確信し女神が女神たらんとして過去最高にして最も女神らしく振舞った瞬間であった。
「残念ですね。女神よ。あなたの負けは決まっているのです。ビクトンをよく見てください。」
だが常に勝利してきた戦乙女がどんな戦いの後にも見せたことの無いような晴れやかでそして力強い満面の笑みで勝利を宣言する。
『何を馬鹿なことを…。』
そうそして女神は気づいてしまった。
ビクトンは、そうビクトンは。
『寝ているわ…。』
この瞬間女神の不戦敗が確定するのだった。