閑話 コンちゃんの小正月
ご無沙汰して、申し訳ございません。
小正月の、スペシャル閑話です。
年が明けてから、二週間ほどが経った。
神棚の側には、私が淹れた「ほうじ茶ラテ」が2杯分。
「神様、どうぞお召し上がり下さい」
『お、サーンキュー! 』
声に出しながら神棚にお辞儀をすると、間延びした様な声が、頭の中だけで聞こえる。
もちろん、コンちゃん。である。
「いつも言っているじゃん! 神様が先! 」
『分かってるって〜! 』
いや、絶対分かっていないだろう。
一応、神様に捧げてから、自分が飲んでいる様だけど。
内心呆れながら1分ほど待って、神棚に一礼する。
そして、2つあるマグカップの片方を手に取って、湯気を吸い込む。
もう片方は、後でお下げして、午後にでも飲もう。
ふーふーと冷ましながら、一口飲んだ。
今日は小正月だけど、買い物のタイミングが悪く、お餅や小豆製品をゲット出来なかった。
おしるこ、食べたかったな。
後で、チョコ味のシリアルに牛乳か豆乳をかけて、雰囲気だけでも味わおう。
『プー、クスクス。色だけ同じ〜! ウーケーる〜! 』
「うるさいよ! 」
この狐男は、相変わらず白い着流しが、よく似合う。
今日は、上から白い羽織を羽織っている様だ。
最近は目を閉じなくても、なんとなく雰囲気が分かる。
「あ、あああああああーーー!! 」
思わず、部屋の真ん中で絶叫してしまった。
『んもう、突然何? なんなのよ? 俺様、びっくり。急に声を出されても。』
「忘れてた〜〜! 」
もちろん、コンちゃんとの会話は、ほとんど脳内にて行われている。
テレパシー? よく分からないけど、声を出さずに会話できる。
『俺様、お耳がデリケートなのに。』
きつね耳と人間の耳の両方を、小指でホジホジしながら、ぼやいている。
そう言えば、どうして耳が4つあるんだろう?
『人間たちの声を、よ〜く聞くためだよ〜。』
「何? その赤ずきんちゃんのお婆さんみたいな、セリフ! 」
『本当の事だよ〜? 俺様のすんばらしい高性能の、お耳なのよ〜。』
「……。」
有難いきつね様の、お耳の話をスルーして、状況を確認する。
8日の朝に、玄関ドアから外した、正月飾り。
先週末に、近所の神社の『どんど焼き』に持って行くのを、忘れていた。
「厄落とし的なやつが、あるじゃん。」
『あー、いろんな呼び方があるやつね。』
正月の松飾り・しめ縄、場所によっては書き初めも、受け付けてくれる。
お焚き上げして、今年1年の無病息災を祈る行事だ。
焚き火で、お飾り等を燃やす。
そして場所によっては、その火で焼いたお団子を食べる事も、あるとか。
行きたかった。お団子も、食べたかった。
だって、多少面倒でも、季節行事をすると厄落としになるって。
コンちゃんが、言ってたもん。
『カ〜! 真面目! めっちゃ真面目! 真面目過ぎる〜! 』
頭を抱えてから、天井を仰ぐコンちゃん。
『あーのーね、団子は自分で作るか、買っても良いし。お飾りは、自分で捨てれば良くね? 』
「……え、そうなの? 」
はぁ、っと、ため息をつきながら、
『あのね。近所の焚き火も、神社の焚き火も、処分場の焼却炉も、おんなじ! 火! 』
「……いや、分かっているけどさ。気分の問題があるじゃん! 気分の! 」
『ええ!? ……、うん、まあ。雰囲気は出るし、専門家のお祈り効果も、有るけどさー。』
お正月飾りは、毎年、近所の神社に持って行っていた。
ゴミに出すなんて……。
『気になるなら、白い紙で包んで塩を振って、一礼してから捨てたらどうだ? 』
「…それで、良いの? 」
『ついでに、酒も振って、祝詞も唱えておけば? 』
「ついで? 神様よりの方が、ついでってどうなのよ? 」
あっはっは! と、豪快に笑うコンちゃん。
とりあえず、言われた通りにしようと。
家にあった中古のコピー用紙と、塩とお酒とゴミ袋を用意した。
「祓いたまえ、清めたまえ、幸いたまえ。」
今年も良い年に、なります様に。
『素直なヤツには、良い人生があるぞ! 今年も、感謝を持って生きようね。』byコンちゃん。
皆様にとって、今年1年が、幸せであります様に。
今年も、よろしくお願いします。




