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セタガヤとシブヤの間に位置する土地で奴隷市場が開催されていた。


メグロの国王の居る市場の一角が、異様な熱気を放っているのを開催者と商人達は感じている。


人間の奴隷を見ていたセタガヤ商人は顔見知りの同業者に話しかけられた。


「やぁお久しぶりです、今回はお互い大変ですなぁ」

「いや本当に……今回は異常な熱気がありますな」


「いや〜こんな時代が来たかって感じですね」

「お互い、新しい時代の波に乗れると良いですなぁ」


メグロの国王が直々に大量に奴隷を出品するらしいが、注視すべきはその奴隷……全てスケルトンらしい。


彼等は疲れないし、サボらないし、食事をとらない……これ以上好条件の奴隷は居るだろうか?……少なくともこの会場内には居ない……


スケルトン達の価格次第では奴隷の根本を覆す事になるだろう事は口には出さないが商人達は感じていた。


「しっかし……安全なんでしょうかね?あれは」

「私はセタガヤの商人ですので……

メグロの商人とも偶にお付き合いするのですが……

彼等はスケルトンに信頼を寄せてるみたいですね」


「そうなんですか……そういえば最近は山賊もウダゼの紋章を見ると襲わないって言いますしね」


カジロウはドリーの集めた情報で奴隷市場が開催される事を知ってこの機会にスケルトン達を他国にも広めようと思って参加した。


カジロウはスケルトン達を奴隷としては格安の値段で売り込んでいく。


「すいません、購入条件は?」

「ウダゼの教徒になる事、その他にはありません」


……フフフ、喰い付いてるぞ……

他の奴隷を売る商人達はこちらを睨んでいるな……フフフ……


白黒テレビが1万円の時代にカラーテレビを5千円で売ってる様なものだから負ける気がしないな……


「失礼ですが、本当にスケルトン達は強いのですか?どうも信じられませんね!」

人間の奴隷を連れて市場に参加していた商人が野次を飛ばした。


「ほぅ?ではどうすれば信じられますか?」

「丁度ここに元Bランク冒険者の奴隷が居ます……闘わせてみませんか?」


周りで見ていた商人達はその様子をマジマジを見学している。


「良いでしょう……但し、こちらも一番高値の隊長スケルトンを出させてもらいますよ?」


奴隷商人が元B奴隷に目配せすると元B奴隷は力強くうなづいた。


「良いでしょう……では始めましょう」


『隊長、遠慮はいらん!』

隊長スケルトンは元B奴隷の前に仁王立ちする。


「でやぁ!……ぎゃ!」


武器を受け取った奴隷は速攻で隊長に斬りかかるが、

隊長は所持していた斧を構え、正確に縦一閃に振り下ろし、奴隷を武器ごと真っ二つに引き裂いた。


「な……」


カジロウはゆっくりと商人に近づき、肩を揉んだ。

「力を抜いて……安心してください……貴方の奴隷達は買い取りますから……」


「……ウダゼ教になる!カジロウ様!売ってください!」

「俺も!」

「私もだ!」


カジロウのスケルトン達は飛ぶ様に売れ、商人達は自国に帰るとスケルトン達を労働力として売ったりレンタルしたりした。


トウキョウ地方にスケルトンは急速に蔓延し、

各地の生きた奴隷はすぐに廃れていく……

廃れて売れない奴隷達の維持費に困ってしまった商人達に甘い言葉をかけて、

カジロウは産廃品と化した奴隷達を安値で買い取って信者にした。


ーーーーーーーー2ヶ月後


カジロウは王宮に大臣や元国王などの地方を預かる貴族を集めた。


「みんな、よく来てくれた……

今日は降伏に応じない周辺諸国の王達をどの様にするかだ……

知っての通り、彼等の国は富裕層はいくつもスケルトンを購入して働かせ、

貧困層はウダゼ教に入信して受け取ったスケルトン達で仕事をしている……

彼等の王政はとっくに終わっているが……

どうも使者を送っても一部の王達は頑なに同意しなくてな……

降伏に同意しない国はこれだけいる……

この他の国は王を貴族にする事で同意した

ドリーこれを……」


ドリーは抵抗国の一覧を貴族達に渡していく。


ーーーーーーーー降伏拒否国

セタガヤ

シブヤ

シンジュク

チョウフ

ミタカ

フチュウ

ーーーーーーーー


「彼等は王の位を手放したくないらしい……」

「ふーむ……困りましたねぇ」

「やはりドワーフとエルフも……彼等のプライドは高いからなぁ……」


カジロウは溜息をついて語った。

「やはり……戦争しかないか……」

「カジロウ様……抵抗国のスケルトン達を使って、新聞で民衆を誘導し、革命を起こしたら如何でしょう?」

「それしかないでしょうなぁ……」


「……やってみるか……ダメなら戦争だ、各員覚悟はしておく様に!」

「はっ!」

貴族達は立ち上がって敬礼した。


抵抗国の新聞で、自らの欲のためだけに降伏を拒否する国王達の事を卑下し、革命を支持する内容の記事を掲載すると、革命軍と王政軍の内乱に発展したが、既に城壁の中にも外にもスケルトンは大量に存在している……

各国の王は1週間も持たずに捕縛され、処刑されて滅びて行った。


カジロウは自宅で新聞の記事を確認しつつ、ゼスタとドリーと共に食事をしていた。


「カジロウ様、来週は魔王会議です」


カジロウは新聞を畳み答える。

「ああ……わかったよ、冒険者も護衛として連れて行くからAランクの依頼出しといてね」

「そんなに警戒する事あります?ドリーさんやディアボロさんが気を悪くするでしょう?」

「俺は臆病だからね」


「ゼスタさん、問題ありませんよ……カジロウ様、手配しておきます……それと今日の予定ですが、魔王軍より2万の死体が送られてきましたので、処理をお願いします」


「……はぁ〜」

「カジロウさん、どうしたんです?」

「いや〜、働き続けで疲れちゃってね……」

「カジロウ様、ではスケジュールは全て無くして来週まで休暇なさってはどうでしょう?」


……最近本当に疲れが取れない……休みをもらおう……


「そう?じゃあ魔王会議まで休みをもらう事にするよ……じゃあネリマに行ってくるね」


カジロウは馬車でネリマに向かって走っていく。


ネリマには温泉街があるからな……浸かりに行こう……疲れが取れると良いが……

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