42.【俺】一夜漬けで作った街を見せてドヤる
隠し部屋をコンコンとノックする。何でこんな場所がと思ったのだがこの場所も部屋じゃなくて迷宮の町へと続く場所だったのかもしれないと改めて思った。
となればここを作ったのは俺と同じことができるプレイヤーNPCや魔王のNPCということになるが流石にそこまで設定を作り込んでいるかは分からない。
前に立てばノックすると出たので一応やっておく。ゲームとはいえ俺は紳士なのだ。ガバっと扉が開き、イミールさんが飛び出してきた。ゲームでも分かる窶れ具合。もしかしたら食料とかなかったのかもしれない。
寿司食ってたと言ったら怒られるだろうか。
イミール :おっ遅いじゃないかっ!!
魔王サブサ風呂:貴様ノ依頼ガ 無理難題ト 理解スルコトダ 苦労シタノダ
イミール :すっすまない……苦労かけたというのに私は動転して
ごめん、寿司食ってた。加えて寝ようとしてました。まあ徹夜で作業したので苦労したといえば苦労したけど。街づくりメチャ楽しかったです。
レナ :本当に来たのね。敵はいないようだけどイミールの体が目当てかしら
イミール :レナっ
レナ :男は信用ならないのよ。こんな子供相手によってたかって下種の極みじゃない
まあ、分からなくもない。彼女達が何をやったにせよギルドぐるみでやってるなら文明レベルは低いだろうなとは思った。初めは大犯罪者かと思ったがそういうわけでもなさそうだし。しかし、女の子攫うにしてもやりすぎじゃね?異世界ものってことでこんなもんなのか?ちょっと疑問だ。
身を乗り出し外をチェックしたレナだったが、ふらつきサブサブロが抱き留めた。
レナ :っ!?離して
魔王サブサ風呂:ソウイウ台詞ハ 地ニ足ヲ 踏ミシメテカラ 言ウモノダ
レナ :きゃっ!
そのままエルフの治療師さんをお姫様抱っこしてしまった。サブローがイケメンすぎる。俺には絶対できないムーブだ。離してとポカポカと叩いてるこのレナとかいうエルフの子が可愛い。
イミール :無理難題を言ってすまない……動けぬ者を先に連れて行って欲しい。貴方が引き連れているとなればきっと手は出せないはず……これが報酬だ。これで私の金庫が開く、場所はこれだ
「おおマジで資金難だからありがてえ」
魔王サブサ風呂 :不要ダ
イミール :え?
「え?」
魔王サブサ風呂 :ソノヨウナ モノノ タメニ 救ウ訳デハナイ。ナニヨリ ソレハ 理由ガアッテ貯メテ イタモノ デアロウ ナレバ ソノ目的ニ 使ウベキダ。受ケ取ッタ トコロデ 我ハ 使エヌ
イミール :貴方はっ……本当に貴方という人間を私は誤解していたようだ。これまでの非礼を深く謝罪する
「そうだな。俺も全く同じこと考えてたぞ、サブサブロ」
俺は今、噓偽り無き澄んだ瞳をしている。
イミール :とはいえ、ただ買い出しをするだけなどこっちの気が収まらない。報酬の話はまた後日させていただく。それで非常に申し訳ないが迷宮から動けそうにない者がいる。貴方でもこの全員は運べないだろう。私は動けない者とここで待ち最悪私を残してでもきゃっ
イミールも魔王サブサ風呂が腰から片手で軽々と担ぎあげじたばたと藻掻く。
魔王サブサ風呂:テンイスル ツイテコイ
パイネ :てっ転移っ!?
楽に使っているファストトラベルは彼女たちからすると凄いらしい。呆けてる女の子たちを前にライザという女性にサブサブロが視線を飛ばした。まだ目覚めないエリーの介抱をしている。それでも表示される顔色は良くなった。
魔王サブサ風呂:セオエルカ?
ライザ :はい
レナ :ちょっと分かったから離しなさいよ
イミール :私もできれば下ろしていただければと
魔王サブサ風呂:接触シテイル 必要ガアル コノママユク
引き連れて、裾を持つようにと指示しファストトラベルこと転移を発動させた。
魔王サブサ風呂:トブゾ
レナ :ちょっと!裾でいいなら抱く必っ
何かテキストが流れていたが転移し、暗転した。
◇◇◇
しゅぅうううんっと転移し、迷宮の奥──徹夜で作った俺の町に到着する。NPC達の反応が面白い。口をあんぐりと開けている。
パイネ :ほっホントに転移……した
騒がしかったエルフのレナも無言で降ろされペタンと女の子座りする。当然、イミールもだ。
イミール :こっこれがリーデシアの力……
ゲームとはいえここまでドヤれると嬉しい。
ライザ :あの、ここはいったい
≪町の名前を決めて下さい≫
決めていたのでささっと入力する。
魔王サブロ風呂:ワレノ マチ『スパーダ』ダ。
パイネ :スパーダ……
ライザ :あっ貴方の!?
町ぃ!?と全員で白銀連盟が驚く。そうだ驚嘆しろ。どうだこの一夜漬けで作ったと思えない匠の仕事は。社会、数学、理科の授業を捧げた男最上一郎渾身の力作である。ドヤ
≪クエストを達成しました≫
そこでコンコンっとノックされて俺は振り返った。
「はい」
「イチ兄お風呂空いたー。すぐ入れってさ」
「了解ー」
妹の足音が入ってくることなくスタスタと離れてゆく。キリがいいし眠いし今日はここまでかなと俺はグっと伸びをしてパキパキと骨を鳴らした。
メニューを開き、終了のボタンを押す。すると暗転したままテキストが流れた。
「ん?」
魔王サブロ風呂:ソコノ家ヲ 自由ニ使うトイイ 食料モ 好キニシテ 構ワヌ。我ハ チカラヲ 使イ過ギタ 少シ休ム
イミール :あっ
魔王サブロ風呂:オ前達モ 疲レヲ癒セ 話ハ ソレカラダ
ブツンっと切れた。何っつう細かく演出されるゲームなんだと思いつつ俺は着替えをひっぱりだすのだった。




