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キュービット☆マジカ!  作者: 沖 智美
1/3

プロローグ~出会いは突然に~

 …眠いのぉ。

 まぁ、それだけ平和な証拠なのじゃろうな。

 さてまた今日も1日…。


 「お休みなさい、なのじゃ」


 …………。

 ……。

 …。


 一体どの位寝たのじゃろうか?

 ううむ、眠いが外の様子を見てみるとするかの。

 目向い眼を擦り、くああと欠伸をしながら洞穴の外へと這い出る。


 「はてな、此処は一体何処じゃ…?」


 洞穴から外へ出ると見知らぬ木々が辺りを覆い尽くしていた。

何処の森なのか。

 獣の状態から人間の姿に変わる。

見た目幼女らしき巫女服の人物がそこに立っているばかりである。


 「ふむ、どうやら(わらわ)は大変な目に遭ってしまったらしいの」


 掌を水平に、額に当てながらきょろり、きょろりと辺りを見回す。

 そこへ誰かの声が聞こえた。


 「――あれ、なんで人間が此処へ…あれ…獣人?」


 (け、獣が人間の様に服着て、喋って、二本足で立っておる!?

 しかもちっさい女子おなごとは…)


 「ふむ…? お主は一体何者じゃ?」


 確かに驚く事ではあるが、勇気を持って(わらわ)を見付けた人物に話す。


 「何言っているの?」


 ううむ、言葉が通じて無いのか一蹴されてしもたの。

 じゃが、それは兎に角こちらにも言える事なのじゃがなぁ…。


 「ううむ、言語の壁は厚いのぉ」


 言葉の通じ無さに(わらわ)はこめかみを指で押さえ、とほほ…としょんぼりと俯く。


 「仕方無い、あれを使うしかないの」


 ――――何時の間にやら木の葉が一枚、頭に乗っかっていた。


 「『あやしきわみ、”木の葉変化の術”』!」


 どろん、と音がしたと同時にそ女子おなごへと化けて見せた。


 「……!?」


 無理も無い、完璧に化けきっていたのじゃからの。


 「う、そ…?」


 再びどろろん、という音と共に元に戻った。


 「脅かしてすまんの、しかし、そなたに変化(へんげ)したおかげで大体の言葉が分かったのじゃ。兎に角すまんのぉ」


 「君、誰? 怪しい、人?」


 「(わらわ)か? (わらわ)(なぎ)羽衣巫(はごろもなぎ)じゃ。此方では確かナギ=ハゴロモと申したかの?」


 「あ、あたし…ルナ=ウルフォウス」


 「ルナか、良い名前じゃのぉ」


 「えへへ」


 獣人の幼女は初々しそうに照れた。


 「ルナ、兎に角近くに村か、町はあるかいのぉ?」


 「どうして?」


 「(わらわ)は迷ってしまったのじゃ」


 「どうして?」


 「(わらわ)にも解らんのじゃ」


 「キオクソーシツなの?」


 「難しい言葉をよく知っているの、だが違うのじゃ」


 このままでは埒が明かないと判断した(わらわ)は、ルナと申す女子おなごに訊ねてみる。


 「兎に角、案内(あない)して貰えんかの? (わらわ)だけでは心許ないのじゃ」


 「襲わ、ない…?」


 「うむ? 襲う理由が何処にあるのじゃ?」


 ルナは半信半疑で問うが、ナギは真顔で即答した。


 「本当の、本当?」


 「うむ、本当じゃ」


 暫く沈黙が続いておったのじゃが――――信用してくれたのか、(わらわ)の巫女服の袖を掴んでこう言ってくれたのじゃ。


 「…行こ」


 「恩に着るのぉ」


 (わらわ)達はそのまま、森の出口へと向う事となった。


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