訓練
上昇するためにエンジンを撫でるように上げる。いつもガールフレンドよりも優しくしろと口をすっぱくっして言われたものだ。その割りに戦闘中は荒っぽく使うから何がなんだか。鳳流は一気に高度を上げていく。この空軍はパイロット自身の自由度が高い。遼機はどちらかというと編隊の単位であって協力するものではない。
今回は邦人救出ミッションだ。大使館……と同じ大きさのビルに陸軍52式連絡機が着陸する。よくもまあたった15mしかない屋上に降ろすもんだ。はっきり言うと、52式連絡機は異常だ。風が吹いていれば失速とアスレティング・フックを併用すれば3mで着地できる……というより、地面に叩きつけることができる。滑走は6mで離陸できる。超が付くほど変態仕様だ。無論,これは作戦用特殊改造機だ。通常機は着陸に二倍かかる。
屋上に進入、縁に設置してある絞首ロープを上下反対にしたようなワイヤーに引っ掛ける。ただし、護衛機は単機しか出せない。多すぎると気づかれる。レーダーにかからないように低空飛行、途中で増槽を切り落とす。大使館と連絡を取りながら52式が進入、鳳流が機銃掃射をしながら援護する。
スロットルを押し上げ、52式を追い越し先行し、
機銃掃射で標的ビルの後方と右を攻撃。
左旋回で135度旋回し、前方と左を攻撃。紅いタンクが吹き飛ぶ。悪趣味な花火にしか見えない。
上昇する。ちょうど52式が進入している。
無事着陸した。やっぱり変態だ。
さて、ここで一芝居打っていこう。できるだけ敵の戦意がなえるように。
反転、スライスバックで入り込み、
フル・スロットル。低空で翔け抜ける。
少し上昇。
スロットルを絞り、52式の斜め右後方に着く。
後は帰還するだけ。鳳流は燃料は大丈夫だが52式は少し危ない。
さてと、後は帰還だ。
帰るまでが遠足。
気を抜くな。
鳳流は蛇行するように飛んでいる。52式に合わせる為だ。空軍は空対空と攻撃機以外の対地、陸軍は攻撃機と航空勢力が分けられている。これは攻撃機までは陸軍勢力と合同作戦が多いが、爆撃機以上はそれ単独の作戦が多くなるためだ。
52式を送り届け帰還する。
エンジンはこの作戦が終わったらオーバーホール。今回は新品が用意してある。このエンジンも後数回だろう。
後ろを向くと排気が黒っぽい。一度右ひざ奥のニードルをいじる。何回か試したが推力が変わるだけだった。水冷エンジンは故障に弱い。
一応、高度は高めにとっておく。ここでエンジンが止まったら終わりだ。
それに基地は山を削って作られたようなつくりだ。気流が強い。
やっぱりガールフレンドより優しくしなきゃ